『スーパーマン』ダークすぎてカットされたシーンがあった ─ ジェームズ・ガンのブラックユーモア、あの有名映画監督がアドバイス

新DCユニバースの映画第1弾『スーパーマン』には、「ダークすぎる」としてカットされた場面があった。監督・脚本のジェームズ・ガンが明かした。
この記事には、映画『スーパーマン』のネタバレが含まれています。

問題のシーンは、レックス・ルーサーがクリプトン星からのメッセージ映像を公開したことで、スーパーマン/クラーク・ケントに侵略者の疑惑が持ち上がったあとの場面だ。スーパーマンは自ら出頭し、ルーサーが管理しているポケット・ユニバースの収容所に送られる。スーパーマンはルーサーとボラビア大統領グルコスの尋問を受けるが、その場には、メトロポリスでフードカーを営むマリクが人質として拘束されていた。
映画序盤、ボラビアのハンマーとの戦いで地面に叩きつけられたスーパーマンに、マリクは真っ先に駆け寄っていた。スーパーマンの支持者としてルーサーに目をつけられたマリクは、なすすべもなくルーサーの銃弾で頭を撃ち抜かれて死亡する。
ただでさえハードな展開だが、ポッドキャスト「Happy Sad Confused」によると、当初はさらにダークなやり取りを付け加えていたようだ。ガン自身、「(編集した)映画を観て、“これは……”と思った」と言っている。
「レックスが男(マリク)の頭を撃つところは、常に超ロングショットで撮っていたので、さほど直接的ではありません。ただ、男が倒れると血が床に流れ出ていて、レックスの靴に血がつきそうになっている。彼は“大変だ、靴が!”といい、“グルコス、寝転んで血を吸い取れ”と言う。グルコスが“何だって、嫌だ!”と答えると──ニック(ニコラス・ホルト)の演技は素晴らしかったですよ──まっすぐにグルコスを見て“嫌だ?”と言う。グルコスは恥ずかしそうに、悲しそうに、おずおずと進み出て、仰向けに寝転ぶんです。」
ルーサーの恐ろしさが強烈に出たシーンとなっていたはずだが、ガンは、グルコス大統領役のズラッコ・ブリッチの演技が「本当に面白かった」と笑いながら話している。「彼が仰向けになって血を吸い取りはじめると、ニックはスーパーマンに“また明日”と言って去っていくんです」。
このくだりは実際に撮影されたものの、かなり早い段階でカットされたとのこと。「テスト試写の段階ではもう入っていなかったと思う」という。

愛犬クリプトがひどい目に遭うシーンを削除し、スーパーマンがリスを救うシーンは残すなど、ガンは本作のトーンを細やかに調整するよう心がけていたようだ。映画のラスト、クラーク・ケントやロイス・レインの同僚であるスカイラーが、ルーサーのアシスタントだったイブを抱きしめ、笑顔を浮かべるシーンも同じく調整を経たものである。
ガンによると、このシーンにも複数のバージョンが存在し、当初はスカイラーがイブを抱きしめながらも「暗い目で虚空を見つめていた」とのこと。これでいよいよイブから逃れられない──というユーモアをガンは気に入っていたようだが、これに意見を述べたのが『キャビン』(2011)の監督ドリュー・ゴダードだった。
米The New York Timesで、ガンはゴダードから「彼(スカイラー)が笑顔にならないのはおもしろいけど、そういう映画じゃないでしょう」と言われたことを明かしている。これを聞いたガンは、「そのとおりだ、ここは笑顔にしよう」と納得し、完成版のバージョンを採用。ゴダードの残した一言は、編集作業中ずっとガンの指針になっていたという。
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Source: The New York Times, Happy Sad Confused, Collider