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【ネタバレ】『スーパーマン』の設定改変、ジェームズ・ガンが込めた思いとは ─ 「バランスが大切だった」

スーパーマン
(c) &TM DC(c)2025 WBEI        IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.

この記事には、映画『スーパーマン』のネタバレが含まれています。

スーパーマン
(c) &TM DC(c)2025 WBEI  IMAX(R)is a registered trademark of IMAX Corporation.

スーパーマン、両親の真意は

スーパーマン/カル=エルは、故郷クリプトン星が滅亡に瀕するなか、両親の手で“最後の希望”として地球に送られた。カンザス州スモールヴィルに飛来したカル=エルは、農場を営むジョナサン&マーサ・ケント夫妻に拾われ、クラーク・ケントとして愛されながら育ってきたのである。

『スーパーマン』のクラーク・ケントは、クリプトン人である亡き両親からのメッセージ映像を繰り返し見ている。メッセージの後半部は破損しているが、両親の願いは自分の力で地球を守ることだと考え、3年前からスーパーマンとしてのヒーロー活動を始めているのだ。

ところが、レックス・ルーサーが両親のメッセージを修復したことで思わぬ事実が明らかになる。父ジョー=エルの願いは地球を守ることではなく、圧倒的な力で地球を征服し、人類を従わせ、クリプトン星を再興することだったのだ。これはルーサーの手で偽造されたメッセージではなかった。不在の愛する両親は、スーパーマンとは異なる思惑を抱いていたのである。では、彼はいったいどうすればよいのか──。

スーパーマンのオリジン・ストーリーとしては強固なものだった「両親の善性」を覆すことは、早くからファンの間で賛否を分けた。ジェームズ・ガンの描く物語としては、この葛藤からいかにスーパーヒーローとして再起するかが見どころになるわけだが、あまりにも大胆な改変だったためだ。

IGNのインタビューで、ガンは「バランスが大事だった」というクリエイターとしての見解を明かしている。

「スーパーマンの大ファンとして、維持すべきスーパーマンの要素に敬意を払うことを決意しなければいけませんでした。しかし同時に、うまく機能する可能性があり、キャラクターの整合性を損なわないのならば、変更を加えることを自分自身に許すことも必要だったのです。つまりはシンプルに、DCユニバースにおいて面白くなる形でストーリーを変更しつつ、スーパーマンの本質には反しない、というバランスが大事でした。」

ガンの描くオリジン・ストーリーは、“両親のメッセージは捏造されたものだった”というところには着地しない。むしろ、生みの親が善人ではなかったとしても、自分自身の力で善を選び取ることはできるのだという力強いメッセージこそが本作の核心だ。これは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)にも通じるもので、自身も機能不全家族に育ったというガンにとって、“親の影響をいかに克服するか”というきわめてパーソナルなテーマだといえる。

映画『スーパーマン』は公開中。

Source: IGN

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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