クエンティン・タランティーノ、映画監督引退作は当面先に ─ 小説・演劇・ドラマへの意欲を強調

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)のクエンティン・タランティーノが、かねてより“映画監督引退作”とする意向を明かしてきた長編映画第10作が当面先になることを示唆した。2019年11月13日(現地時間)、イギリス・ロンドンのイベントに登場したタランティーノは、いまや映画以外の創作に強い関心を抱いていることを強調したのだ。米Varietyが伝えている。
「普通は脚本を書き終えると、すぐさま撮影へと進んでいくものです。だけど『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を書き終えた時には、まだその準備ができていなかった。理由のひとつは、その当時、僕が執筆に熱を入れていたからです。『ワンス~』を書き終えた後、それを横に置いて戯曲を書きました。それからテレビドラマを5話ぶん書いたんです。」
ここでタランティーノが言っている「テレビドラマ」とは、『ワンス~』の劇中に登場する、レオナルド・ディカプリオ演じる俳優リック・ダルトンの代表作「賞金稼ぎの掟(Bounty Law)」のこと。1950年代の終わりから放送されたという設定の西部劇ドラマだが、主人公として設定した人物ジェイク・カーヒルに惹かれはじめ、実際に脚本を書き始めたという。以前、タランティーノは全8話を書き終えてから自身の手で映像化したいとの希望を語っていた。
もっとも、「賞金稼ぎの掟」の残り3話が書かれるのももう少し先のことになりそうだ。現在、タランティーノは小説の執筆に入っており、こちらは「うまくいけば(2020年)3月までには書き終わる」とのこと。その後、舞台やドラマを手がける可能性があるという。「その後、10本目の映画をどうするのか考えることになるのかも」。
現在、タランティーノは「10作目は撮りますよ」と言いつつも「どんな作品になるのかは分かりません。ちょっと先のことになりますね」と話している。タランティーノは長編10作目を映画キャリアの“エピローグ”として位置付ける意向だが、まだその内容は決まっていないのだ。現状、「宇宙版パルプ・フィクション」を自称する『スター・トレック』最新作のほか、『キル・ビル』シリーズ(2003-2004)の第3作、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)続編企画も存在するようだが、これらを本人が撮るのかどうかも未知のままである。
ちなみにタランティーノが執筆している小説は、1950年代のアメリカを舞台に、第二次世界大戦に従軍していた男が日本やイタリアの映画に惹かれていく物語。シネフィルとして知られるタランティーノだが、執筆にあたって、新たな形で過去の映画に触れ直していることを明かしていた。
Source: Variety