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『TENET テネット』キャラクターを読み解く ─ 記者会見レポート、出演者が語るノーラン流の人間ドラマ

TENET テネット
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

── ジョン・デイビッドが笑っています。なにか付け加えたいことはありますか?

ワシントン:いえ、ケネスに会えたのがとにかく嬉しくて(笑)。みなさんが言っていることと同じですが、これほどアーティストとして支えられていると思えたのは初めてでした。とにかく挑戦させてもらえて、失敗しようが何だろうが、あれこれ試すことができる。肉体的な挑戦も大きい役でしたが、やり遂げられたのはみなさんのおかげだし、現場の環境のおかげです。とにかく大笑いで、ランチの話でも爆笑してましたね。おかげでさらに楽しい経験になりました。

ブラナー:ランチの話って? 撮影中、君はランチなんてまったく取ってなかったでしょ(笑)。

TENET テネット
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── セイターという人物は、あなたの演技によって非常に深みのある人物になっていたと思います。“悪”を演じる上で大切にしていることを教えてください。(THE RIVER)

ブラナー:セイターが“悪”だということはあまり考えないようにしていました。僕が思い出したのは、あるイギリスの若手下院議員が大学に入り、そして政界に入った時の記事を読んだこと。彼が言ったという、「輝かしいものはすべて手に入れてやる、そう決意した」という言葉を覚えていたんです。 ファウストの伝説にも描かれているように、巨万の富を入れるためならば、多大な犠牲を払うことも厭わないという人間は存在しますよね。

とてつもない野心とは、ある意味では貪欲さだけれど、また別の意味では、自分が交わした契約の代価はいずれ払わなければならないということ。つまり、恐ろしい行為に出る人物でさえ、大きな弱点は生まれうるのだと思います。僕はクリスの脚本をそのように解釈しました。ただし、そういうこと以上に大切なのは、クリスのように、指先までアーティストたる人物と仕事ができること。『ダンケルク』(2017)の時も同じでしたが、とても素晴らしかった。心から尊敬できる、信頼できる人と出会えれば、あとは現場に行って、その場に任せればいいと思えるんです。

第1回「ストーリー編」

〈時間〉から脱出して、世界を救え。名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、突然あるミッションを命じられた。それは、時間のルールから脱出し、第三次世界大戦から人類を救うというもの。キーワードは〈TENET テネット〉。名もなき男は、相棒(ロバート・パティンソン)と共に任務を遂行し、大いなる謎を解き明かす事が出来るのか……。

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)全国ロードショー

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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