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『TENET テネット』作曲家、完成版に感激「今こそ人々に必要な映画」 ─ 音楽面は「本気で実験した」

TENET テネット
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クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』では、ノーラン作品に初参加となるスタッフにも注目だ。音楽を担当するのは、『ブラックパンサー』(2018)や「マンダロリアン」(2019-)の新鋭ルドウィグ・ゴランソン。ノーラン初期作品を支えたデヴィッド・ジュリアン、『ダークナイト』3部作などの重鎮ハンス・ジマー、ジェームズ・ニュートン・ハワードに続く4人目の作曲家である。

新型コロナウイルスの影響を受け、ハリウッドが未曾有の状況に置かれる中、ゴランソンは過去数ヶ月にわたり『TENET テネット』の仕上げを続けてきた。米Deadlineでは、2019年夏ごろに始まった音楽作業の終了が本人の口から報告されている。「ほとんどの曲は自分のスタジオ、自分のパソコンで作っています。スタジオごと家に持ち込んで、寝室で3ヶ月間働きました。とてもうまくいきましたよ」。

大編成のオーケストラを率いるのではなく、ゴランソンが自宅にて作業を続けられたことは、無事に『TENET テネット』が劇場公開を迎えられる一因だっただろう。本作はコロナ禍に世界が向き合うさなかの世界順次公開となるが、ゴランソンは「これこそが今、人々に必要なものだと思います」と自信をにじませる。

「すべてがどのように仕上がるのか、自分の仕事がどうなるのか、とても興味を持ってきました。僕はこれこそ、みなさんが劇場で味わうべき体験だと思うんです。なにかを観て、体験するということが人々には必要。少しのあいだ、現実を離れることが必要なんですよ。この作品を観るたび、僕は感激してしまいます。すごく多層的で、考えられることが本当にたくさんある作品。みなさんの反応を楽しみにしています。」

現在、ゴランソンはインディペンデント映画から大作映画、テレビドラマの音楽だけでなく、チャイルディッシュ・ガンビーノのプロデューサーを務めるなどボーダレスに活躍中。ノーランとは初タッグとなるが、監督の音楽への精通ぶりには驚愕させられたという。

「彼(ノーラン)の映画を観ているので、音楽に詳しいこと、きちんと音楽を理解していらっしゃることは分かっていました。だけど音楽について、熟練のミュージシャンのように話せる人とは思っていなかったので驚きましたね。実験することにも前向きなので、僕も新しい挑戦を本気でやらせてもらいました。人がやめておきたがるようなことを、“やってみて判断しよう”と言う。目が覚めるような経験でした。」

ちなみにICG Magazineでは、ノーランもゴランソンとの作業を「すごく楽しかった」と振り返っている。スタッフを起用する際には過去の作品を基準にするというノーランは、ここ数年間のゴランソンの仕事が印象に残っていたといい、「映画音楽をいかに変化させるかというアプローチが新鮮だなと思っていた」と話している。映画音楽界の新たな鬼才は、若き巨匠とのタッグでどんな世界を聴かせてくれるのだろうか?

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)全国公開予定

Sources: DeadlineICG Magazine

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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