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『TENET テネット』アジア&ヨーロッパで先行公開の可能性、ハリウッドの「新標準」生まれるか

TENET テネット
Tenet c 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

クリストファー・ノーラン監督による最新作『TENET テネット』が、米国公開の無期延期を受け、ヨーロッパやアジアにて先行公開される可能性が高まっているという。米The Hollywood Reporterが報じた。

2020年7月21日、米ワーナー・ブラザースは『TENET テネット』の米国公開を無期延期することを決定。当初は7月17日の米国公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で3度目の延期となった。ワーナー側は2020年内の米国公開を目指し、新たなスケジュールを近日中に告知する方針。トビー・エメリック会長は「従来型の世界同時公開ではない」「今後のマーケティング・配給計画に(現状を)反映する」との声明を発表していた。

“ワーナーの関係者”である情報筋によると、スタジオ側は『TENET テネット』を、すでに映画館の営業が再開されているヨーロッパやアジアにて先行公開する見込み。もちろん正確な情報は正式発表を待たねばならないが、ワーナーは8月下旬に海外公開を開始し、9月前半には、たとえ一部都市であっても米国公開を実施したい構えだという。しかしながら、「状況は流動的」と強調されていることにも留意しておきたい。

『TENET テネット』の米国公開が無期延期された7月21日の時点で、全米35州では映画館の営業再開が公的に認められている。ニューヨークやニュージャージー、メリーランドなどでは依然として目処が立たないが、大手映画館チェーンは再開のタイミングを揃えるのではなく、各劇場の営業を順次再開する方針だ。あとはスタジオ側が、映画館に観客を呼び戻せるだけの話題作を封切るという決断を下せるかどうかにかかっているだろう。

全米劇場所有者協会の代表を務めるジョン・フィシアン氏は、『TENET テネット』の無期延期が発表された直後、「配給側は公開日を守るべき」「(配給側は)ニュー・ノーマルに対応すべき」と苦言を呈していた。従来、大作映画は米国公開が優先される、また米国内でも大都市での公開が重視される傾向にあったが、コロナ禍は業界の配給計画にも影響を及ぼすことになりそうだ。

なお、The Hollywood Reporterには、ハリウッドのスタジオ幹部による「アメリカでは我々こそ世界の中心だと考えてしまうが、実際はそうではない。すべてが完璧に整うのを待つわけにはいかない」「既存の枠や、時代に合わないものに囚われずに考えられる好機だ」との証言も掲載されている。

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)全国公開予定

Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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