『ザ・バットマン』リドラー役、納得できずに200回撮り直したシーンとは? ─ 「私でもクラクラしてしまった」と監督

ワーナー・ブラザース/DCコミックスが手掛ける最新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』でメインヴィランのリドラーを演じたポール・ダノは、とあるシーンの撮影に凝りすぎるあまり、200回以上のテイクを重ねていたという。ダノ本人、そしてマット・リーヴス監督が撮影当時を振り返っている。
本作で、バットマン2年目のブルース・ウェインの前に立ちはだかるのは、奇妙なマスクで顔を覆う“リドラー”と名乗る正体不明の男。知能犯といわれる彼は、バットマンに向けて挑戦状を送り、仕掛けた罠へと誘い込む。ある場面では自らブルースにコンタクトを取り、その手段としてスマートフォンのビデオ電話を用いていた。
ポール・ダノが200回以上撮り直したシーンとは、まさにブルースとのビデオ通話シーン。米The Hollywood Reporterでリドラーの撮影を振り返ったマット・リーヴス監督によると、演じたダノはスマートフォンを渡され、部屋に1人残された状態で撮影に挑んでいたという。イヤーピースを通してダノに指示を出した監督は、当時のやり取りについてこう語っている。
「彼は、“分かりました。映ってないところから頭を出すところをもう一度やらせてください”的なことを言っていましたね。“すでに座っているところから試させて下さい”とかも。彼はiPhoneでの一人芝居を自分で演出していました。私もクラクラしてしまうほどでした。まるで彼はゲームショーのホストのようで、すごく独創的でクリエイティブでした。彼は自分自身に対しても批評的な姿勢でしたね。」
ダノといえば、2018年に映画『ワイルドライフ』で監督デビューを果たしている。リドラーを演じるにあたっては、フィルムメーカーとしての経験も大いに活きていたようだ。キャラクターの動きに細部までこだわったダノは、容姿についても試行錯誤を重ねていたようで、劇中でリドラーがかけている透明のプラスティック製メガネは、数百種類のメガネを試した末のチョイスだったという。ダノは、役との向き合い方についてこう語る。
「僕は、“もし足がカメラに映っていなかったら、もっと履きやすい靴を履くことにする”みたいなことが出来ないんです。それでは成り立たないんですよ。」
劇中では、知能犯リドラーへの圧倒的な憑依ぶりを見せつけてくれるであろうダノ。ちなみに、あまりにも激しかった撮影が終わった日の夜は眠れなかったことも明かしていた。

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は全国公開中。