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『ザ・フラッシュ』でマルチバースが交わる、DC映画の可能性さらに拡大 ─ 「すべては統合された宇宙の中に」

ジャスティス・リーグ
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ワーナー・ブラザース/DCコミックスは、フラッシュ/バリー・アレンの単独映画『ザ・フラッシュ(原題:The Flash)』をもって、いよいよ複数の世界線、「マルチバース」構想へ本格的に乗り出していく。『IT/イット』シリーズで知られるアンディ・ムスキエティ監督は、本作を“マルチバースの接点”と形容した。

もともと『マン・オブ・スティール』(2013)から始まったDC映画ユニバースは、紆余曲折を経て、『ジャスティス・リーグ』(2017)ののちに大幅な方針転換を図った。ひとつの世界観のもとに複数の作品を収める“ユニバース構想”ではなく、それぞれの作品を第一とするコンセプトに切り替えたのだ。たとえば、ホアキン・フェニックス主演で大ヒットした『ジョーカー』(2019)は、ジャレッド・レトが『スーサイド・スクワッド』(2016)で演じたジョーカーとはまったくの別人だったのである。

Vanity Fairによれば、現在ワーナー・ブラザースは、DC映画のマルチバースを実現させることで、あらゆるファンベースが共存しうる方法を形づくろうと試みているとのこと。そして『ザ・フラッシュ』は、まさしくそのターニングポイントとなるものだ。本作にはティム・バートン版『バットマン』(1989)からマイケル・キートンが、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)『ジャスティス・リーグ』からベン・アフレックが、それぞれバットマン役として復帰するのである。

『ザ・フラッシュ』において、キートンとアフレックがどのような形で登場するのかは不明。しかし本作は、コミック「フラッシュポイント」を原案としており、時間旅行ならぬ“次元旅行”を描く物語であり、2人のバットマンはそれぞれ重要な役割を担っているという。ムスキエティ監督は、『ザ・フラッシュ』がDCマルチバースにおいて果たす役目をこのように語っている。

「この映画は、ある意味で“接点”のようなもの。今までに観てきた(DCの)あらゆる映画版がすべて成立する、とある統合された宇宙があることを示唆する物語です。これまでに観てきたものも、これから観ていくものも、ひとつの統合された宇宙の中にすべて存在する。そういう包括性です。」

ここで監督が言っているのは、単一の宇宙が存在するのではなく、あらゆる宇宙がひとつの宇宙の中に存在するのだという、まさにマルチバースの考え方だ。ちなみにキートンの『ザ・フラッシュ』出演交渉が報じられた際、キートンは今後も『バットガール(原題:Batgirl)』など複数の作品に登場し、マーベル・シネマティック・ユニバースにおけるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)のような役割を担うともいわれていた。もちろん真相は不明だが、キートン演じるバットマンが、ここからマルチバースの水先案内人として活躍する可能性もありそうだ。

なお、『ザ・フラッシュ』にキートンやアフレック以外のバットマンが登場するのか、DC映画ユニバースとして扱われていない作品から出演者が招集されるのかは未知数。ともあれ、DC映画の可能性はここにきて無限に拡大し始めたことになる。

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Source: Vanity Fair

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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