【ネタバレ】『ザ・フラッシュ』ラスト解説 ─ 衝撃サプライズなぜ実現?全3バージョン製作された結末の全容

この記事には、『ザ・フラッシュ』の重大なネタバレが含まれています。

最後のサプライズ、ジョージ・クルーニーに白羽の矢
ともなって『ザ・フラッシュ』では、また別のエンディングを用意することとなった。旧計画のスーパーガールやバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンを登場させるわけにはいかなくなったDCスタジオで、共同会長ジェームズ・ガンとピーター・サフランは、より多くのバットマンを登場させるというアイデアを実行。かつてバットマンを演じたジョージ・クルーニーのエージェントに連絡を取り、ほぼ完成した映画のカットを見せた。クルーニーは作品を気に入り、オファーを快諾したという。

ジョージ・クルーニーがブルース役を演じた『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』といえばその悪評で知られ、この映画はゴールデンラズベリー賞の標的ともなっている。クルーニーにとってはすっかり自虐ネタ化しており、恥ずかしくて奥さんにも絶対に観せないようにしているともジョーク。2021年10月までにも『ザ・フラッシュ』のオファーは来ていないと話していた。
情報によれば、クルーニーが再演を承諾してから物事は速やかに進み、撮影は2023年1月のある朝に行われた。さらにこの日は、度重なる不祥事でスタジオに謝罪して治療に専念していたエズラ・ミラーの現場復帰日ともなったようだ。
ミラーはクルーニーとの撮影を滞りなく進めるため、「最高のコンディション」の状態だったと伝えられる。2人は撮影の合間に歓談し、クルーニーはミラーのために公の場での振る舞い方などについて助言を与えていたという。
かくして『ザ・フラッシュ』の結末は、全部で3バージョンが製作されるという経緯を辿ることとなった。もしも途中で何かが違っていれば、映画は全く別のエンディングを迎えることになっていたと思うと、それ自体がまさにマルチバースの神秘を物語るようだ。
ジョージ・クルーニーの再演は今後につながるのか?
ジョージ・クルーニーの登場には、今のところ単発サプライズ以上の意義を見出すことはできない。DCスタジオの新シリーズではすでに新たなバットマン映画『バットマン:ブレイブ&ボールド(原題)』が予定されており、『ザ・フラッシュ』アンディ・ムスキエティ監督が再就任したと伝えられたばかり。ムスキエティ監督がクルーニーを再起用させるのではないかと考えられるかもしれないが、今度のバットマンは30〜40代になるというから、60代のクルーニーでは設定が合わない。
おまけに、マイケル・キートンが『ザ・フラッシュ』に復帰する条件が、将来的なバットマンの単独映画を製作することだったという。これが中止となったのに、クルーニーで映画を作るのは筋が通らない。そもそもクルーニーの方だって断る可能性が高いだろう。
前2バージョンのエンディングが今後の作品への伏線として機能するはずだったことに対し、最終版はクルーニー登場のサプライズというお楽しみとなった。カジェ版スーパーガールとキートン版バットマンも死んだままとなっているから、この2名は今のところ本作限りの出演となる可能性が高い。
なお『ザ・フラッシュ』は、これからDC新シリーズが始動するにも関わらず、続編の可能性がある。すでに脚本も書き上げられており、ムスキエティ監督はもしも実現するなら主演エズラ・ミラーを再び起用したいと語っている。
エンディング後のおまけシーン、アクアマンも登場
『ザ・フラッシュ』のサプライズはジョージ・クルーニーらだけではなく、エンドロール終了後のポスト・クレジット・シーンにも見られた。どうやら元通りになっていないらしい世界でバリー・アレンは、ジャスティス・リーグの仲間たちを探し求めている、という内容だ。

そこでなんとかたどり着いたのが、アクアマンことアーサー・カリー。しかしこの世界のアーサーは飲んだくれで、とてもヒーローとは思えない。ところがこのアーサーは、水溜りに顔を沈めて「ここが自分の家」と言ったり、海底王国アトランティスの指輪をはめていたりと、実際にはアクアマンとしての背景を持っていることを示唆する。
果たしてバリーは、この酔っ払いの“スーパー人魚”をヒーローに導くことができるのだろうか。わざわざアーサーを登場させたということは、2023年12月に米公開予定の『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』とどう繋がるかにも注目だ。

ちなみに『ザ・フラッシュ』のエンドロール映像では、冒頭の赤ちゃんを救助するシークエンスに登場した救助犬が落下する様子がコミカルに描かれたが、こちらも関係者向け試写にはなかった映像だ。
『ザ・フラッシュ』は大ヒット公開中。
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Source:THR