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『ザ・フラッシュ』の今後、ワーナーが想定する「3つのシナリオ」 ─ 公開かお蔵入りか、エズラ・ミラーの不祥事で

ジャスティス・リーグ
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DC映画『ザ・フラッシュ(原題:The Flash)』は、主演俳優エズラ・ミラーの複数回にわたる逮捕と起訴で重大な岐路に立たされている。現時点で本作は2023年6月23日に米国公開予定だが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーはいよいよ「すべての可能性を検討している」というのだ。

では、その「すべての可能性」とはどのような内容なのか? 米The Hollywood Reporterは、現在ワーナーが想定している“3つのシナリオ”を報じている。『ザ・フラッシュ』を予定通り公開できるのか、あるいはそうでないのかは、もはや渦中のミラーひとりにかかっているようだ。

ひとつめのシナリオは、ミラーがプロフェッショナルによる適切な支援を得たのちに『ザ・フラッシュ』を公開するというものだ。現在、ミラーは母親の付き添いのもと生活しており、ワーナーはミラー自身が支援を必要としている兆候を確認したとのこと。もし支援が行われた場合、ミラーはどこかのタイミングで近年の不祥事について説明する機会を持ち、その後、限定的な形で本作のプロモーションに参加。この場合、予定通りに映画を公開することができる。

ふたつめのシナリオは、ミラーが適切な支援を得ないまま『ザ・フラッシュ』をなんとか公開するパターンだ。本作はDC映画の今後を鑑みても重要な一作とみられ、ワーナー&DCはテスト試写の好評を踏まえて現行のバージョンで劇場公開に漕ぎつけたい構え。しかしワーナーは本作をめぐる対応ですでに批判を受けており、強行公開に踏み切ればさらなる批判は避けられない。しかもこの場合はミラーのプロモーション参加は絶望的であり、フラッシュ役も本作を最後に降板となる可能性が高い。

そして最悪のシナリオは、ミラーをめぐる状況が現在よりも悪化し、『ザ・フラッシュ』が完全にお蔵入りとなる事態だ。本作でミラーは複数の役どころを演じており、ほぼ全シーンに出演しているとのこと。全編の再撮影は不可能であることから、ワーナーはミラーの逮捕後も本人のままで再撮影を実施していた。しかし『ザ・フラッシュ』は製作費2億ドルを投じた大作であり、お蔵入りとなればほぼ前代未聞の決定となる。

2022年3月、ミラーはハワイにて治安びん乱行為とハラスメント違反のため逮捕。翌月にもハワイで第二級暴行罪のため逮捕され、6月には、過去に暴行や脅迫などにより少女を支配したとして少女の両親から告発を受けていた。その後、8月7日(米国時間)には留守中の住居から酒瓶を盗み出したとして“重罪強盗”での起訴を受けている。

もはやワーナーにとっては、『ザ・フラッシュ』を公開すれば大きなバッシングを受けることは間違いなく、しかし公開しなければビジネス的に極めて大きな損失を被る状況。“進むも地獄、戻るも地獄”とはまさにこのことだ。今後、ミラーは罪状認否のため9月26日に高等裁判所へ出廷する予定。ワーナー側の次なる判断が待たれる。

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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