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【解説】『ソー:ラブ&サンダー』神殺しゴア、驚異の造形の裏側 ─ クリスチャン・ベール、毎日午前2時半起き

ソー:ラブ&サンダー
©Marvel Studios 2022

マーベル・シネマティック・ユニバースソー:ラブ&サンダーはコメディ色の強いコミカルな一作だ。ただし、ヴィランである“神殺し”ゴアの登場場面を除いては。

平和を愛する敬虔な男だったゴアは、信奉していた神に見捨てられた怒りが契機となり、「神々は自分のことしか考えていない」と逆上。邪悪な剣ネクロソードに取り憑かれ、神々の殲滅を目論む危険な存在となった。ゴアは宇宙各地の神を殺めてまわり、ついに“雷神”ソーのもとにも出現。影に紛れて神出鬼没のゴアに、ソーは悪戦苦闘する。

シリーズ最恐のヴィランを演じたクリスチャン・ベールといえば、DC『ダークナイト』トリロジーでバットマン/ブルース・ウェインを演じたことでもお馴染み。『ラブ&サンダー』では、スーパーヒーロー姿の印象を吹き飛ばすほどの怪演を見せつけている。

白い肌の不気味な佇まいは、『ダークナイト』(2008)で対決したヒース・レジャーのジョーカーを彷彿とさせるが、ベール自身はその影響の有無について明確に答えてはいない。一方、造形については『ハリー・ポッター』のヴォルデモート卿からは差別化したかったと、ワイティティ監督は話している

ベールといえば激しい肉体改造も厭わぬ役作りもこなす“カメレオン俳優”であることが知られているが、ゴア役にあたっては特殊メイクが重要だった。人間離れした恐ろしい風貌を作り上げたのは、クリーチャー&プロスセティック・デザイナーのアダム・ヨハンセン。「最高な様相に仕上がったと自負していますし、あれは、これまでのマーベル映画には類を見ないものですね」と、ゴアの造詣には胸を張っている。

ソー:ラブ&サンダー
©Marvel Studios 2022

「ゴアは完全にグレーで、そのグレーの中に複数の色合いが使われています」とヨハンセンは言う。「あのモンスターの様相を作る際には、まず彼の眉毛を隠した上で、よりヘビーな眉と歯と爪と脈筋と傷跡をほどこしました。彼の口や舌のピンク色をすべて埋めるために、黒い粘着質の物質を使っています。また、色々な傷が至る所にあります。ケロイド状のギザギザした傷ですね」。

ゴア役で付け爪を使ったことで、ベールは「今では、長いアクリルのネイルを付けて生活している女性たちを尊敬しています」と語っている、「僕にとっては、情けなくなるほど手に負えないものだったからね。あれを付けた状態では何一つできませんでしたよ。それと、牙をつけたまま人と話さなければならないのも困ったね。ものすごくクリアに正確に話さなければ伝わらないんです」。

ヨハンセンは「最初の週には、3日かけて色々と試しました。モンスターの様相についても、人間の時の様相についても、色々な種類のメイクを試しています。クリスチャンが納得してあのキャラクターを見い出せるまで続けました」と、語り、ゴア役の造詣には試行錯誤があったことを明かしている。「特殊メイクを実際に行なうプロセスには、最初は4時間から4時間半を要しましたが、徐々に慣れて3時間半でできるようになりましたね。私たちにとってラッキーだったのは、クリスチャンがメイクアップに常に真剣に取り組む人物だったことです。すべて完璧にしたいと思っている人物なので、私たちにもそれをするのに十分な時間を与えてくれました」。

そのために午前2時半に起床していたベールは、神殺しのゴアの様相を苦労しながら手作業で作り上げてゆくヨハンセンのチームと深い絆を深めていった。「アダムはクレイジーなほど素晴らしい才能の持ち主だし、彼が率いるカラとエミリー(ジェームズ)は本当に最高でした」とベールは言う。「ゴアというキャラクターを描く上で、彼らには、私に課せられていた責務と同じくらい重大な責務が課せられていたんです」。

こうして完成したゴアは、ベールの怪演と融合して、真に恐ろしいヴィランとなった。ジェーン役ナタリー・ポートマンでさえ、「私たち全員が本当にゴアの存在をちょっと恐れていた」と話している。

ちなみに家族とともにロサンゼルスで暮らすベールははじめ、本作参加への決心がつかなかった。撮影がオーストラリアだから、家を離れることになるためだ。しかし最終的には、家族と食事している時に子どもたちから「行こうよ!」と後押しされ、参加を決めたそう。「家族全員からやるべきだって言われた映画は、これが初めてですよ」。

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Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューさせていただきました。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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