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『シャン・チー』ウェンウー役、トニー・レオン出演映画を厳選紹介 ─ ウォン・カーワァイやアン・リー作品、スコセッシがリメイクしたノワール傑作など

※SNSアイキャッチは別 トニー・レオン
Photo by Lucie Otto-Bruc https://www.flickr.com/photos/lucie_otto-bruc/8907652258/

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)では、『アイアンマン』(2008)より影を潜めてきた犯罪組織、テン・リングスのリーダーであるウェンウーが登場する。演じたのは香港を代表する名優のトニー・レオンだ。

ホウ・シャオシェンをはじめ、ウォン・カーウァイやアン・リー、チャン・イーモウなど、錚々たる巨匠監督たちと仕事を共にしてきたトニー・レオンは、『シャン・チー』にてマーベル映画に初参加。テン・リングスを操い、ある野望を叶えるため息子と娘を組織の陰謀に巻き込もうとする男を演じていた。哀愁漂う彼の繊細な演技に魅了された方も多いだろう。

本記事では、トニー・レオンがこれまでに出演した5本の傑作映画を厳選して紹介したい。

『恋する惑星』(1994)

返還前の香港を舞台にした青春映画の傑作。クエンティン・タランティーノ監督が絶賛し、ウォン・カーワァイ監督の名を世界中に知らしめた作品のひとつである。

『恋する惑星』は、二組の男女の恋愛模様を斬新な演出で捉えた群像劇だ。恋人に振られたばかりの警官と麻薬密売人の女、そして恋人とすれ違いが続くもうひとりの警官と飲食店で働く女性店員。トニー・レオン演じる警官に淡い恋心を抱いた女性店員は、ある日偶然彼が住む部屋の鍵を入手し、そこに忍び込んでいく。

独特な色で彩られた香港、クリストファー・ドイルによるスローモーションやハンディカムを駆使した斬新な撮影法、小説を読んでいるかのような詩的な台詞が、若者たちの出会いやすれ違い、刹那的な恋を繊細に捉えている。25年以上経った今も色褪せない輝きを放ちつづけている一作だ。

共演者には、歌手・女優として活躍するフェイ・ウォン、『楽園の瑕』(1994)などのブリジット・リン、『LOVERS』(2004)や『レッドクリフ』シリーズなどの金城武らが名を連ねている。トニー・レオンは本作にて香港電影金像奨および金馬奨で最優秀主演男優賞をそれぞれ受賞した。

『花様年華』(2000)

トニー・レオンがカンヌ国際映画祭にて男優賞に輝いたほか、モントリオール映画祭で最優秀作品賞、セザール賞で外国語映画賞など世界中の映画賞を総なめにした名作だ。

“女は顔を伏せ、近づく機会を男に与えるが、男には勇気がなく、女は去る”。印象的な言葉から幕を開ける本作の舞台は、1962年の香港。偶然同じ日に引越し、隣同士となった新聞記者のチャウ(トニー・レオン)と、社長秘書のチャン夫人(マギー・チャン)。ふたりは共に配偶者が不倫関係にあることに気づく。裏切られた者同士、やがて親密な関係へと発展していく。

互いに傷を負った男女の切ない恋と哀愁漂う互いの表情を見事に捉えた、鏡を駆使した秀逸な撮影、そして赤と緑を基調とした魅惑的で官能的な映像美。まさに題名の通り花のように美しい映画で、ウォン・カーウァイ監督の最高傑作との呼び声も高い一作だ。ちなみに本作は、『欲望の翼』(1990)の続編、『2046』(2004)の前日譚とも言われている。

HERO(2002)

HERO
『HERO』(TCエンタテインメント)

トニー・レオンをはじめ、ジェット・リー、マギー・チャン、ドニー・イェン、チャン・ツィイーら豪華俳優陣が集結した武侠映画だ。

舞台となるのは、戦乱下の中国。ある日、後の始皇帝となる秦王のもとに、王を狙った刺客たちを倒したという無名と名乗る謎の男が現れる。これまで誰も自分の側に近づけることのなかった秦王だが、無名には近くまで寄ることを許し、彼に事の経緯を詳細に説明するように促すのだった。トニー・レオンは、秦王の命をあと一歩で奪うところまでに迫った刺客、残剣役を演じている。

黒澤明監督『羅生門』(1950)を彷彿とさせる謎が謎呼ぶ物語が、『乱』(1985)を連想させる強烈な色彩を通して語られていく本作。無名を巡って繰り広げられる迫力満点な剣劇にも思わず息を呑むだろう。監督・共同脚本を務めたのは、チャン・イーモウ。ベルリン・カンヌ・ヴェネツィア、世界三大国際映画祭すべてでの受賞歴を誇る巨匠だ。なおイーモウ監督の作品は、『シャン・チー』のアクションに影響を与えたと思われる。

インファナル・アフェア(2003)

インファナル・アフェア
『インファナル・アフェア』(カルチュア・パブリッシャーズ)

Writer

Minami
Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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