最近はスーパーヒーロー映画が多すぎる?ジェームズ・ガンが指摘 ─ 「ヒーローものに怠惰になってきている」

最近、アメコミスーパーヒーロー作品が多すぎると思う?「イエス!多すぎると思う」と答えたのは、今後DC映画の全てを率いることとなったジェームズ・ガン自身だ。米ポッドキャスト番組に出演したガンは、最近のスーパーヒーロー映画が抱える問題点についてを指摘した。
ガンといえば、マーベル『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを成功させた後、DCに移って『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でスーパーヒーロー映画の新境地に踏み込んだ。こうした手腕が高く評価され、DCスタジオの共同会長に大抜擢。バットマンやスーパーマンらを新たに生まれ変わらせる壮大な新ユニバース起動に向け、現在開発に勤しんでいるところだ。
そんなガンはこの度の番組で、自身が手がける新DCユニバースについて「過剰にしすぎないようにします。作品には細心の注意を払い、すべての作品をできる限り最良に仕上げてお届けします」とクオリティ・ファーストを宣言。続けて、現在のスーパーヒーロー映画に対する改善要望点を述べている。
「実際問題として、人々がスーパーヒーローの物語に怠惰になっています。今や、“あっ、スーパーヒーローだ!映画化しよう!”というところにまで来ている。“1作目はうまくいった!よし、続編をやろう!”という風にね。
しかし、どうしてこの物語は特別なのか?他の物語と何が違うのか?その核心は何か?このキャラクターはどうして重要なのか?この物語が、映画館に観に行く人のニーズを満たしているのは何故か?ということについては、思考停止しているんです。」
ガンはスーパーヒーロー映画について、「ビシ!バシ!ドッカーン!なシーンが多い。僕もスーパーヒーローものを観ていて、第三幕でリズムが崩れたり、起こっていることの意味を見失っているようなところがあると感じます」と本音を吐露。このジャンルが「一般化されすぎている」こと、「中途半端なジャンルやトーンのスーパーヒーロー映画が多い」ことを指摘し、もっと異なるジャンルになるべきだとの提言を続けた。
「僕はすごくシリアスなスーパーヒーロー映画も好きだし、すごくコメディなスーパーヒーロー映画も好き。殺人ミステリだけど、そこにスーパーヒーローが登場する、というものも良いと思う。同じようなストーリーを繰り返し何度も観るのではなく、そんな風に異なるジャンルの物語を見たいですね。」
最近では“スーパーヒーロー映画疲れ”という事象も指摘されるようになっている。マーベルやDCといった巨大ユニバースが次々と繰り出すヒーロー作品に、人々が疲弊したり飽きたりしているというものだ。ガンはこの話題について、以前にも「スーパーヒーロー映画かどうかは関係ない」「どういうストーリー次第かということです。集中して観れないことがあれば、それはキャラクターのせい」と話していたことがあった。
この度のガンも基本的に一貫した主張で、「スーパーヒーロー疲れは事実でなく、実際には同じものを繰り返されるのに疲弊しているのだと思います」との見解を語っている。「しかも、これはスーパーヒーロージャンルに限ったことではなく、スペクタクル映画全般でも起こっていることなのです」。
ガンの指摘通りによるものかはわからないが、リニューアル目前のDCは苦境に立たされている。『ブラックアダム』『シャザム!〜神々の怒り〜』が2作続けて興業赤字に見舞われた後、スタジオの自信作『ザ・フラッシュ』も期待を大きく下回る低パフォーマンスに。米公開2週目末は前週比マイナス72.5%と大暴落し、このままでは『ブラックアダム』にも及ばぬ結果になりそうだと危惧されている。
果たしてガンの打ち立てる新ユニバースは、異なるジャンルの特色も活かした斬新な物語を提供できるか。起死回生のプランに期待がかかる。
▼ ジェームズ・ガンの記事
Source:Inside of You with Michael Rosenbaum