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『トップガン マーヴェリック』のための『トップガン』見どころ解説 ─ 若きトム・クルーズ、音楽、爽やかな人間ドラマに注目しよう

トップガン
©Paramount Pictures 写真:ゼータ イメージ

2022年5月27日公開の映画トップガン マーヴェリックは、1986年の名作映画『トップガン』から36年ぶりに公開される続編だ。当時のファンは胸熱でいるだろうが、前作の時は生まれていなかったという方も大勢いるだろう。また、前作の面白いところをあまり覚えていないという方もいるはずである。

しかし『トップガン マーヴェリック』のありがたいところは、予習の際に『トップガン』たった1作を観ればOK、という事だ。主演のトム・クルーズはこの作品を大変気に入っており、本当に納得できる内容でなければ一切の続編の製作を許さなかった。だから『トップガン』にはこれまで、この1作以外に続編もなかったし、スピンオフやドラマシリーズやアニメやコミックも全くない。この頃は“昔の映画の続編”が登場して話題になることも多いが、我々はこの新作を観るために過去作をいくつも観る必要がないのだ。

本記事では、オリジナル作『トップガン』について改めての見どころと、新作『トップガン マーヴェリック』に期待したいポイントを解説しよう。もちろん『トップガン マーヴェリック』といえば、今観ても手に汗握る圧巻のスカイアクションが最大の魅力。本作に触発され、戦闘機パイロットの志願者が急増したという逸話は有名だ。今回はそれ以外に、「トム・クルーズの若さ」「ノスタルジックな音楽」「爽やかな人間関係」についてご紹介した上で、『マーヴェリック』の注目点を語るとしよう。

『トップガン』1作目、ここに注目してみて

若きトム・クルーズの輝き

驚くべきことに、1962年生まれのトム・クルーズは今年(2022年)で59歳、還暦目前だ。にも関わらず、『トップガン マーヴェリック』をはじめとして『ミッション:インポッシブル』最新作でもハードなスタントアクションに果敢に挑戦。『マーヴェリック』共演者に言わせれば、トムは本作での過酷な訓練を「22歳みたいに」こなしていたというから、そのバイタリティには頭が上がらない。

しかし『トップガン』1作目を観れば、さすがに「こんなに若かったのか」と驚かされる。何せ、公開当時は23歳。目安として、同じトムのトム・ホランドは『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2021)時点で23歳である。

トム・クルーズは当時、1983年の『卒業白書』でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされ、注目を集め始めたばかりのフレッシュスターだった。『トップガン』は、そんなトムの、まだあどけない姿が見られる貴重な一作だ。本作の後、トムは『レインマン』(1988)や『ア・フュー・グッドメン』(1992)といった作品で次々活躍。ちなみに、有名な『ミッション:インポッシブル』(1996)1作目の公開は、『トップガン』からちょうど10年後、トム34歳の頃である。

疾走感あるノスタルジックな音楽

『トップガン』を『トップガン』たらしめる要素、その一つに音楽があることに異論はないはずだ。夕焼けをバックに航空母艦から飛び立つF-14のシルエットと共に爽やかに流れるのは、ケニー・ロギンスによる主題歌「デンジャー・ゾーン」である。

“♪Highway to the Danger Zone……” 跳ねるようなベースと軽やかなギター、そしてまさに空を飛ぶように伸びやかなボーカル。同曲を収録したサウンドトラックは、日本でもオリコン洋楽アルバムチャートで11週連続1位に輝く大旋風ヒットに。人気番組の名コーナー「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」では、「迫力のあるイントロの割に歌い出しが弱々しい 映画『トップガン』のテーマ曲」というネタも登場し共感を集めた。つまりは、日本のお茶の間にもそれだけ浸透した、誰もが知る洋楽の大ヒットナンバーということだ。

同曲だけでなく、『ストリートファイターⅡ』ケンのステージの曲とやたらイントロが似ている「マイティ・ウィングス」や、弾けるようにダンサンブルな「リード・ミー・オン」、ムーディーで官能的な「愛は吐息のように」などなど、『トップガン』の楽曲は、1980年代らしさ溢れる名曲揃い。1980年代の映画には、『フラッシュダンス』(1983)や『フットルース』(1984)、『スタンド・バイ・ミー』(1986)など主題歌も大ヒットした作品が多いが、『トップガン』は紛れもなくその代表例のひとつだ。

ほか、 ハロルド・フォルターメイヤーによる劇伴も80年代センチメンタルの極み。エレキギターの旋律は、紅い空を焦げ付かせるように旋回しながら、観客のハートを一直線に貫く。ゲート・リバーブを使ったドラミングが軽やかに鼓動を打つ。ザ・80年代を堪能できる、キラキラ輝いてノスタルジックなサウンドに、不思議と胸が締め付けられるだろう。

どこまでも爽やかな人間関係

若きエースパイロットを目指す若者たちが集う『トップガン』は、言わば学園モノであり、スポ根モノである。しかし、類似ジャンルの他作品と『トップガン』が決定的に違う点のひとつは、登場人物に悪意を持った者が一切いないということだ。

例えばライバルのアイスマンだって、いたずらにマーヴェリックを蹴落とそうとはしない。彼は、危険を省みないマーヴェリックを冷静な立場から注意喚起しているだけなのであり、その主張は理にかなっている。そもそも彼らは自分たちの役割について、国家の保安と莫大な予算、そして人命がかかったものであるという自覚がおのおの明確なのだ。

アイスマンは、グースの事故の後にはマーヴェリックにさりげなく弔いの言葉をかける人格者でもある。友を失ってさすがに意気消沈した様子のマーヴェリックに、ロッカールームで「グースはいい奴だった。残念だ」と、言葉少ないながらも慎重に言葉を選んだ姿に感激した観客も多いだろう。あの時、もしかするとアイスマンは、マーヴェリックと二人きりになれる機会を伺って、ロッカールームに入るタイミングをわざと合わせたのかもしれない。そうした見方も自然とできるほど、彼らのライバル関係はどこまでも爽やかである。

同じように、マーヴェリックらを指導する教官たちにも、理不尽なところは全くない。『トップガン』の翌年に米公開された戦争映画『フルメタル・ジャケット』(1987)では、鬼教官が新兵らを狂気的なまでにしごきあげる様が描かれたが、『トップガン』はまるで違うのだ。

教官が厳しい顔を見せる瞬間があったとすれば、それはただ海軍兵という仕事の重大性に基づくだけものである。マーヴェリックは初日から危険飛行をしたことで教官にこってりと絞られたが、主に非があったのは未熟なマーヴェリックの方だ。上司バイパーは彼をフォローするような役割となり、「ルールは君らの安全のためにある」と、至極真っ当な指導に終始する。

教官たちはいつだって、合理的な観点から訓練生を気遣い、彼らのためを思った。グースの死亡事故があった後でも、マーヴェリックに責任を求めなかったのは、その最大の例である(妻だったキャロルですら、マーヴェリックを咎めないのだ!)。

だからこそマーヴェリックも教官を信頼し、迷った際にはわざわざ休日のバイパー宅を訪れてアドバイスを仰いだ。「私はヘタな慰めはしない。自分で判断するのがパイロットだ。君にもできるはずだ。飛んだら命を懸ける。それが務めだ。君の道を決めるのは君なのだから」。映画の終盤にバイパーがマーヴェリックに与えた助言は金言だ。

このように『トップガン』はひたすらに自己責任の世界が描かれているのであり、だからこそ登場人物たちは他人を攻撃したり、貶したり、イジメをしたりすることがない。『トップガン 』に西海岸の青空を思わせるカラリと爽やかな鑑賞感があるのは、こうした性善的な人物描写によるものなのだろう。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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