『トップガン マーヴェリック』よくばりセット ─ おもしろ裏話コンプリートまとめ

1作目を再現したオープニングシーンのこだわり
おなじみのテーマ曲「デンジャー・ゾーン」と共に、技術クルーが戦闘機に乗り込んだパイロットたちを空へと送り出す離陸の風景が映し出される冒頭シーンは1作目へのアツいオマージュ。コシンスキー監督はこのオープニングについて、「僕にとって『スター・ウォーズ』並みに象徴的な存在なんです。だからこそ、映画を1作目と同じように始めたいと思ったのです」とこだわりを語っている。
ちなみに1作目ではパイロットたちが「men」とのみ記されていたのに対し、本作では「men and women」とアップデートされている。「気づいてもらえたらなと思います。今では、女性もトップガンとして空を飛ぶんですから」。
オープニングシーンには別案があった
このオープニンには全く異なるアイデアも存在した。「マーヴェリックが海に向かって立っていて、そこで彼がこう言うんです。“守ってくれ、グース(Talk to me, Goose)”って。ある意味、第三幕の始まりを先にやってしまっていましたね」と、編集者エディ・ハミルトン。「守ってくれ、グース」とは、1作目で亡きグースのドッグタグを握りしながらつぶやいたマーヴェリックのセリフへのオマージュだ。
主題歌「デンジャー・ゾーン」ケニー・ロギンスの感想
『トップガン』主題歌「デンジャー・ゾーン」を歌ったケニー・ロギンスは『トップガン マーヴェリック』で引き続き楽曲が起用されたことについて、事前にトム・クルーズと交わした会話を明かしている。「『トップガン』の新作を作るそうだが、『Danger Zone』は使うのかい?」と尋ねるとトムは「『デンジャー・ゾーン』無くして『トップガン』は作れませんよ」と答えたそうだ。
ロギンスは本編を鑑賞した感想について、次のように述べている。「今作の方が良いと思います。1作目もかなり好きなのですが、今作は『インディ・ジョーンズ』や『スター・ウォーズ』を思い出させるようなエネルギーがありましたね。脚本がよく練られている。新キャラクターたちの設定や、崖っぷち感がよく合っていたと思います」。
グース役アンソニー・エドワーズの感想
1作目でマーヴェリックの親友として登場し、悲劇の死を遂げたグース役アンソニー・エドワーズは、トム・クルーズに招待を受けて本作の上映会に参加。映画の感想について、次のように述べている。「それぞれがオリジナル版への思いを持っていますが、この続編では、その1作目を初めて観たときの感覚になりました。トムには、“ミッション達成”と伝えましたよ。彼らはまさにやり遂げたんです。本当に大変な仕事だったはずですから。あの雰囲気やトーン、みんなが求めていたものが詰まっていました」。
ルースター役マイルズ・テラー、撮影で「死ぬかと思った」

ルースター役のマイルズ・テラーには、撮影時に「間違いなく死ぬかと思った瞬間」があったという。戦闘機が地面に向かって垂直に降下していくシーンだ。「地面に着く直前に機体を引き上げるというものなんですが、これがパイロットにとっては本当に大変なことで。これまでずっと訓練してきたことではあるんですけど、そんな経験を実際に体験したのはこれが初めてだったので、完全に演技どころではありませんでした。地面を見たとき、これは自分にとっていい結果にはならないと思いましたよ」。
敵国がどこか明言されない理由
『トップガン』でも『トップガン マーヴェリック』でも、米海軍が戦う相手は単純に「敵国」とのみ呼ばれ、その国がどこであるかや、敵国パイロットの顔がわかることはない。「この映画は、競争(コンペティション)映画です。構成としては、どちらかというとスポーツ映画に近いですね。友情や奉仕についての物語なので、地政学のお話ではないんです」とコシンスキー監督。「世界情勢は毎年変化します。この映画は2018年に撮影していたのですが、今の世界情勢を予測することなんて出来ませんでした」「僕はこの映画を、10年後や20年後に観ても変わらずに楽しめる作品にしたかったんです。“2020年代初頭に作られた作品だな”とは感じて欲しくない」と、時事性のある地政学の導入を避けることで、普遍的な物語にする狙いがあったと語っている。
サイクロン役ジョン・ハムが撮影中も優しかった

養成学校で若手パイロットたちの指導にあたったサイクロン海軍中将を演じたジョン・ハムは、撮影中もリアルに若者たちの指針となった。クランクイン時には若手キャストたちを夕食に誘い、さらに自身の控室を「アドバイスやスポーツゲームをするために」開放していたのだという。ハングマン役のグレン・パウエルは、ハムについて「素晴らしいチームメイト」と感謝を伝えている。
トム・クルーズが撮影中もカッコよかった
スーパースター、トム・クルーズは自ら危険なスタントをこなす超人ぶりで知られているが、本作撮影も同様だ。ある日トムは「今日は3回飛ぼうかな」と言って、映画のクライマックスである大爆破シーンの撮影をこなす(一度の飛行でも相当な体力を要する)。精神的にも肉体的にも過酷な撮影を終え、地上に戻ってきたトムは椅子に倒れ込んだ。「トム、どうだった?」と尋ねられると、黒いレイバンのサングラスをかけたまま一言、「楽勝でした」と答えたという。
トム・クルーズ、トラブルで死にかけたのに笑顔

戦闘機での飛行シーン撮影中、トム・クルーズは機械トラブルに見舞われて緊急着陸することがあった。危険な状況だったにも関わらずトムはニコニコ笑顔で飛行機から出てきたといい、「あの人、死にかけたのに、笑ってるぞ……」とハングマン役グレン・パウエルは驚いている。
ヨットのシーン、速さを求めて荒波へ
劇中でマーヴェリックとペニーがヨットに乗るシーンでは最初サンディエゴの海で撮影していたが、「これじゃつまらない。速さが足りないし、カッコ良さが足りない」とトムが言うためにサンフランシスコまで移動し、強風吹き荒れる荒波の上で撮影を決行。このシーンでトムは「美しく穏やかな天候」よりも「力強くアドレナリン湧き出る体験」を求めたということだ。
もう二度と出来ないシーンがある
劇中で描かれる不可能ミッションを突破するため、マーヴェリックが自ら危険な低空飛行を行うシーンでは、時速600マイルで50フィート以下を飛行するため海軍から特別な許可を取得していたという。そのため、「もう二度と出来ない」とコシンスキーは語っている。
戦闘機F-18の撮影使用料は1時間100万円超

撮影で使用された戦闘機F/A-18 スーパーホーネットの機体使用料は、1時間あたり11,374ドルだったという。製作には米国防総省の協力を得たわけだが、国防総省グレン・ロバーツによれば、長年勤める中で『トップガン マーヴェリック』の仕事ほど盛り上がっていたことはなかったという。
マジの極秘施設を撮影に使ったため他国の人工衛星が動く
冒頭に登場するダークスター格納庫は、チャイナレイク海軍航空兵器基地内に存在するマジの極秘格納庫。本来は絶対にロケ撮影できない場所だが、コシンスキー監督が「あーすごいなー、あそこで撮影ができたら最高なのになー、残念だなー」とアピっていたら、なんと撮影許可が降りてしまう。
実際に極秘格納庫に撮影用ダークスター機体を収めて出庫させる様子を撮影していると、あれは一体何だということで、どこかの国の人工衛星が写真撮影のため動き始めてしまったという。「いやーすごいですよね、ズームアップしてコックピットのトム・クルーズが写っていたら、めっちゃカッコいいですよね」と、監督はどこかお気楽である。
マジの軍事機密を撮ってしまい米海軍にデータ消される

米海軍全面協力で行われた撮影では、一般市民が絶対に入れない場所に立ち入ることもあった。ある時には軍にカメラを没収され、データを消されることもあったという。「何枚か写真を撮っていたんですが、多分撮っちゃいけないものを撮っちゃった。カメラはすぐ返却されたんですが、写真は全部消されていました」とコシンスキー監督は語っている。
マジのトップガン・パイロットも飛行シーンを絶賛
1994年に実際のトップガンを卒業し、現在はアメリカ太平洋艦隊を率いるサミュエル・パパロ司令官は本作を鑑賞し、飛行シーンについて「完全に通用する」「1作目での飛行シーンはスゴイと思ったのですが、『トップガン マーヴェリック』ではさらにリアルでした」と絶賛。同じくトップガン卒業生のパトリック・タッカー海軍少佐も、「飛行はかなり正確です」と映画を讃えた。