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『スター・トレック』現実に? ─ トラクター・ビームの開発が前進、音波の渦で物体を浮遊

©University of Bristol

『スター・トレック』に登場するトラクター・ビームのように、物体を特定の空間上に浮遊状態で固定させたり移動させる未来技術が、実現に近づいている。Newsweekなどが伝えている。

イギリスのブリストル大学の研究者らは、小さな物体がまるでピタリと静止したように空中に浮かべて見せる。仕組みは、「ミニ・トルネード」と呼ばれる極めて強力な音波の渦だ。現在では直径2cmのポリエステルの物体のみでの成功だが、「将来的には音響出力を上げ、もっと大きな物体も固定できるようになる」とミハイ・カリープ教授。「これまでは、もっと弱いピッチだったために音響が聞き取れてしまい、人間には危険と考えられていた」と語るように、最新の研究では人間には聞き取れない4万ヘルツの超音波を用いる。

トラクター・ビーム現実化の研究はかねてより進められてきた。初期の装置では、物体のサイズを大きくすると安定が得られず、「ミニ・トルネード」によって高速回転し、弾き飛ばされてしまった。「音波研究者は長年、物体のサイズ限度に挫折してきた」と語るのは、研究者のアシアー・マルゾ氏。最新の研究では、右回転と左回転の「音波の渦」を織り交ぜることで物体の空中固定に成功、装置をいくら傾けても全く動かぬほどの安定性を生み出している。渦の直径が広がったことで、固定できる物体のサイズ限度も広がった。アシアー氏は「解決策が見つかって満足」と語る。

©University of Bristol

「音響トラクタービームは様々な応用が効く」──このプロジェクトの監督を務める機械工学科のブルース・ドリンクウォーター教授は、「デリケートな物体が並ぶ、非接触式生産ラインも作ることができる」というアイデアに興奮を覚えるという。

研究では、既に装置上で物体を上下左右に動かしてみせることも可能になっている。『スター・トレック』のトラクター・ビームや昔ながらのSF映画におけるUFOのように、離れた物体を吸い上げるように持ち上げたり引き寄せる技術が、近い将来に実現するかもしれない。

Source:http://www.newsweek.com/physics-breakthrough-sound-tornado-acoustic-tractor-beam-levitate-humans-786695

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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