ジェームズ・ガン、『ザ・スーサイド・スクワッド』R指定は譲らず ─ PG-13指定でお願いされるも断固「ノー」

DCコミックスの悪党、“スーサイド・スクワッド”たちによる血なまぐさいサバイバルを描いた映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』劇中の過激描写は、ジェームズ・ガン監督のとある主張無しには実現しなかったかもしれない。少年少女には悲しいが、本作をR指定で製作するという主張だ。ガン監督によれば、製作の米ワーナー・ブラザースからは、アメリカのレーティングシステムでは階級が1つ下のPG-13指定での製作をお願いされていたという……。
本作は、作風だけ見れば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督ではなく、『スリザー』(2006)や『スーパー!』(2010)のジェームズ・ガン監督と紹介したほうがしっくりくるような、まさにキャリアの原点回帰とも言える激しめの描写がふんだんに詰め込まれている。同2作を優に超えるヤバい描写が容赦なく登場する本作を製作するにあたっては、なおさらR指定の年齢制限は欠かせなかったはずだ。
もっとも、米Colliderにガン監督が語ったところによると、ワーナー・ブラザースは「PG-13で作れたりしますか?」と製作の初期段階で相談を持ちかけていたという。完全に自由な制作権を与えられたと伝えられてきたガン監督だが、ワーナー/DCコミックスにも希望の条件があったようだ。
「彼らは僕に(映画を)作らせてくれると信じながら脚本を書いたんですけど、最初に“この映画、PG-13指定にできませんか?”と訊かれました。それはお断りしました。“でしたら他の誰かに監督をやってもらってください。そうしたらPG-13にできると思います。でも僕が監督するならR指定です”と伝えました」
2016年公開のデヴィッド・エアー版がそうであったように、ガン監督版でもPG-13指定を望んだワーナー/DCコミックスだが、その一方で近年は『ジョーカー』(2019)や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020)など、R指定での製作を行っている傾向もあった。PG-13指定を要求した理由は、鑑賞可能なファンの母数をより多く確保するなど様々に考えられそうだ。ともあれ、最終的にはガン監督の断固主張にスタジオ側があっさりと譲歩したというのが話のオチで、監督いわく「それなら、オッケーです。私たちにとってもやる価値のあることです」と言われたとか。
上述の『スリザー』や『スーパー!』、脚本を手がけた『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)など、フィルモグラフィーにR指定作品を多く持つガン監督だが、「ストーリーに見合うものであれば何でもできると思います」とも話し、R指定に特段のこだわりがあるわけではないことも明かしている。代表作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を例に挙げ、「あのシリーズでは絶対にR指定はつくらないです。作品とは合わないいし、家族向けのモノで、年配の方も好きになるようなおとぎ話のような作品ですから」としながら、『ザ・スーサイド・スクワッド』がR指定でなければいけない理由をシンプルに語った。
「『ザ・スーサイド・スクワッド』はそれとは全く違うモノです。危険度も違うし、全てが違うんです。もし『シャザム!』を僕が撮るとすれば、R指定である必要はないでしょうね。僕がやったらPG-13指定になると思います。『デッドプール』ならR指定でしょうけど。」
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は全国公開中。
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Source:Collider