17世紀「チューリップ・バブル」って一体なに? 映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』2分でわかる本編映像

『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)のアリシア・ヴィキャンデル、『ヴァレリアン千の惑星の救世主』(2018)や『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)のデイン・デハーンなど、豪華キャストが出演する映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』より、新たな本編映像が公開された。
この映像を見れば、本作の舞台である17世紀のオランダ・アムステルダムで実際に起こった「チューリップ・バブル」について理解することができるだろう。
「チューリップ・バブル」とは?
「チューリップバブル」とは、1636〜1637年のオランダで発生した世界最古のバブルであり、世界3大バブルの1つとも言われている。
当時のオランダは、スペインとの独立戦争で勝利をほぼ手中に収め、国民の気持ちが高揚していた。そんな時、オスマントルコからチューリップが持ち込まれ、たちまちブームになったのである。チューリップは突然変異の起こりやすい品種であるため、球根の段階ではどんな花が咲くかわからない。そのため人々は突然変異を求めて次第に高値で球根を買い求めるようになり、チューリップは「富の象徴」となっていった。
本映像でも確認できるように、チューリップの投機家たちは取引場所として酒場の奥の部屋を使うようになり、人々は我を忘れてチューリップを手に入れようとしたそうだ。金持ちや貧乏関係なく皆が大枚をはたいて投機に熱中した結果、球根の値は上がり続け、しまいには球根と家が同じ価格にまでなったという。
実在の「3億円チューリップ」について
チューリップは色と縞模様で識別されており、当時高い値がついたのが花びらに斑の入る「ブレイカー(色割れ)」と呼ばれるものである。斑が入る原因はウイルスなのだが、当時はまだその事実が明らかになっていなかった。ウイルス感染により株が弱り、栽培が難しかったことから、希少な球根として高値で取り引きされたそうだ。
その中でも特に珍しく、繊細で優美な模様を持つセンペル・アウグストゥスという品種の球根には、1万ギルダーの値がついたと言われている。これは当時の庶民が稼いだ年収の67倍で、現在の日本円で換算すれば3億円ほどにもなるそうだ。栽培家らは新品種に対し高貴な品種名を付け、初期の新品種名はAdmirael(提督)という接頭辞に、しばしば栽培家の名前を組み合わせた。本作でも「マリア提督」という品種が物語の鍵を握る。
ちなみにセンペル・アウグストゥスだが、現在はウイルス病に罹ったチューリップは品種として認められておらず、売買の取引が禁止されている。そのため、一般的に手に入れることのできない幻の花となっているそうだ(現在、日本で流通しているセンペル・アウグストゥスに似た斑入り模様のチューリップは品種改良によって作られたもの)。
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