北米の映画館約5,000館が休業、興行の96%が消失状態 ─ ディズニー&ユニバーサルが興収データ発表を見合わせ、ランキング集計不能か

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、アメリカ・カナダで一時休業に入った映画館が約5,000館におよぶことがわかった。米Deadlineによれば、これは北米映画興行の96%が失われているに等しい状況だという。
2020年3月19日(米国時間)時点で、北米で営業を継続している映画館は450~500館ほど。4,900館以上が休館に入っており、なかでもカナダでは614館、アメリカ中西部では362館が休業する状態となっている。こうした状況ゆえ、3月18日(水曜日)には、国内興収が全作品合計で26万ドルという異例の事態となった。2019年の3月第3水曜日(1,060万ドル)からは98%減、前週水曜日(769万ドル)からは97%減である。しかしながら、今後は新作映画の公開がほぼ見送られているため、さらに厳しい数字となる可能性もある。
北米以外では、中国・フランス・ドイツ・イタリア・スペインの映画館が稼働していない状態であるほか、イギリス・韓国・ブラジルなどで一部劇場が閉鎖状態にあるほか、オーストラリア・ロシア・シンガポール・台湾などでは劇場の入場者数が制限されている。新型コロナウイルスの感染拡大によって、映画の興行は世界的に極めて厳しい状況に置かれていると考えるべきだろう。この状況を受けて、ウォルト・ディズニー・カンパニーとユニバーサル・ピクチャーズは、興行収入データの発表を一時見合わせると発表。ディズニー、20世紀スタジオ、ユニバーサルのデータが得られない場合、日々の興収ランキングの発表はほぼ不可能だと伝えられている。スタジオ各社は新作映画の早期配信に踏み出しつつあるが、新型ウイルスが映画興行にもたらしている被害は非常に甚大だ。
なお、北米の映画館がほぼ休業している状況下で、思わぬことに好調といわれているのが、全米に305軒あるというドライブイン・シアターだ。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)にも登場した、車に乗りながら、野外で映画を観る形式のシアターである。営業が禁止されないかぎり、これらは感染拡大を防ぐための接触を避けながら映画を鑑賞できる絶好のスポットといえるのだ。しかしながら、これらの劇場についても、今後しばらくは新作映画が登場しないことになる。
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Source: Deadline(1, 2), Reuters