『デューン 砂の惑星』ヴィルヌーヴの撮影現場、携帯電話は使用NG ─ 「映画監督はとことん集中しなければならない」

『デューン 砂の惑星』シリーズなどの名匠ドゥニ・ヴィルヌーヴは、盟友クリストファー・ノーランと同じく、撮影現場に携帯電話の持ち込みを固く禁じている──。米Los Angeles Timesの取材に対し、自身が明らかにした。
インタビューのなかで、人間とテクノロジーの関係について「今の人間はアルゴリズムに支配されていると思います。AIのように振る舞い、狭量な二分法で世界を見ている。私たちは互いに分断され、社会はある意味で崩壊しつつあります」と語ったヴィルヌーヴ。しかし聞き手は、この言葉を口にした本人がスマートフォンを見ながら話していたことを指摘した。
“あなたとスマートフォンの関係は?”と問われたヴィルヌーヴは、「みんなと同じですよ」と一言。「どんな情報や楽曲、本にもアクセスできるという事実には中毒性がある。気持ちを持っていかれてしまう、まるで麻薬のように」と話した。脚本の執筆中は必ず手の届かない場所に置いておき、撮影現場でもスマートフォンの使用を禁止しているという。
「映画とは、その時、目の前にあるものの営みです。画家がキャンバスに色を塗るのと同じく、あるいはダンサーが身体を動かすのと同じく、映画監督は(その場に)とことん集中しなければいけません。クルーの全員が集中し、その場所にきちんと存在し、互いの話に耳を傾け、関係を築かなければならないのです。だから、撮影現場で携帯電話を使うことは初日から禁止です。厳禁です。カットをかけたとき、すぐにFacebookを見てほしくはないから。」
互いの映画製作に賛辞を寄せ合う関係であるクリストファー・ノーランも、キャスト&スタッフに撮影現場での携帯電話使用を固く禁じていることで有名だ。『オッペンハイマー』(2023)では名優ロバート・ダウニー・Jr.に「彼を見たら携帯電話を投げ捨てる」と言わしめ、かつて“ノーランの現場には椅子さえない”という話題が物議を醸した際は、これを否定する広報担当者のコメントに「セットで禁じられているものは携帯電話(持ち込まれることもあります)と煙草(一切持ち込まれていません)だけ」という異例の記述があった。
ちなみに、ヴィルヌーヴの撮影現場にも椅子は用意されている模様。ただし『ブレードランナー 2049』(2017)の撮影中、長時間座りすぎたせいで背中を痛めてしまったらしく、『デューン 砂の惑星』2部作では撮影監督のグレイグ・フレイザーとともに「立ちっぱなしでいることにした」という。「落ち着く時間を最小限にすると、柔軟になれるし、素早く動ける。血液の流れもよくなるし、眠くもなりません」とメリットを強調した。
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Source: Los Angeles Times