『猿の惑星:聖戦記』と過去作品『創世記』『新世紀』はどこが違う?物語へのこだわりを監督が語る

映画『猿の惑星:聖戦記』は、2011年に『猿の惑星:創世記』で始まった同名映画シリーズのリブート版3部作を締めくくる作品である。
この作品で監督を務めたのは、前作『猿の惑星:新世紀』(2014)に引き続きマット・リーヴス。次回作にはDCコミックス作品『ザ・バットマン(仮題)』が控える、現在ハリウッドで高い注目を集めるクリエイターだ。
本作『猿の惑星:聖戦記』において、リーヴス監督は脚本の執筆も担当している。そこで彼は、リブート版『猿の惑星』3部作の流れを汲みながら、そのストーリーの転がし方に意図的な変化を加えたようだ。完結編である『聖戦記』で、その試みはどのように結実したのだろうか?
大切なのは「視点の変化」
リーヴス監督が前作『新世紀』から強いこだわりを見せたのは、映画のストーリーを引っ張っていく人物の視点だったという。米CinemaBlendの取材で、監督はこう語っている。
「『新世紀』では、シーザーという存在を最終的にどう作るかよりも、ストーリーの方に力を入れていました。けれども『創世記』から『新世紀』までにはドラマティックな変化がありますから、(物語の)視点を変更して、人間の存在を対比的に描くストーリーが必要になったんです。
そして映画を作り終えてみると、『聖戦記』でもこの方法を使える、完全に猿の視点から描けるなと思いました。この映画には猿の出てこないシーンがありません。これはすごく挑戦的でしたが、同時にエキサイティングなことでもありました。Weta(CGスタジオ)や映画の強みが活かせると思ったんです。」

つまりルパート・ワイアット監督が手がけた『創世記』から、リーヴス監督による『新世紀』『聖戦記』と、このリブート版『猿の惑星』3部作は物語を語る視点を少しずつずらしてきたというわけである。
しかし『聖戦記』でこうした変化を取り入れたことには、3部作の第1作である『創世記』を観たリーヴス監督が、そのストーリーと鑑賞後の感覚に驚かされたという背景があったようだ。
「(『聖戦記』では)これまでの作品以上にシーザーの視点から物語を旅してみたいと思いました。私がやろうと考えていたことが『創世記』に入っていたことは大きかったですし、驚かされましたね。
それは、(『創世記』が)まさしくシーザーの物語だったということなんです。映画の最後に、“ほとんど人間のキャラクターなのに、一番共感したのは猿だった”と気づいたんですよ。すごくクレイジーだし、だからあの映画は画期的なんです。常々(Wetaの)仕事やアンディ(・サーキス)の演じるキャラクターは見事で魅力的だと思っていましたが、『創世記』は感情移入のレベルが新たな高みに到達していました。」
こうしてシリーズの流れを汲むことによって、リーヴス監督は自身の作家性に基づきながらリブート版『猿の惑星』3部作を作り終えた。
そんな彼のストーリーへのこだわり、具体的に言えば「物語を語る目線」へのこだわりは、次回作である『ザ・バットマン(仮題)』にも活かされることになりそうだ。かつて監督は、同作の構想について語る際にもこんなふうに話していたのである。
「僕にとっては、視点がとても重要なんです。物語の主人公の目線で物事を体験してほしいと思っています。僕はヒッチコックの大ファンで……ある目線の中にすっかり入り込んでしまうというアイデアが好きなんですよ。」
映画『猿の惑星:聖戦記』は2017年10月13日より全国の映画館にて公開中。今後も大作映画を次々に手がけていくであろう俊英の最新作として、その手腕を劇場で確かめておきたい一本だ。
Source: https://www.cinemablend.com/news/1680239/the-biggest-difference-between-war-and-the-previous-planet-of-the-apes-movies
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