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『ウォッチメン』幻の映画化企画、『ジョーカー』に近い作風だった

ウォッチメン
Photo by Tristan Bowersox https://www.flickr.com/photos/9516941@N08/3944029615

アラン・ムーア&デイヴ・ギボンズによるアメコミ史に残る金字塔ウォッチメンが、DC映画『ジョーカー』(2019)に近い作風で映画化される計画があったことがわかった。もっとも、企画が練られていたのは『ジョーカー』に先がけること約15年。当時、監督に就任していたのは『ボーン・スプレマシー』(2004)『ボーン・アルティメイタム』(2007)などのポール・グリーングラスだった。

ポッドキャスト「Happy Sad Confused」に登場したグリーングラス監督は、自身の構想した『ウォッチメン』について「結局は作れなかった映画ですから、どういうビジョンだったかをはっきり明かすことはしなかった」と述べており、今回も具体的なアイデアまでは言及していない。しかし企画当時、監督にはコミックを大胆なアプローチで翻案するという狙いがあったという。

「私は原作が大好きだし、コミックを忠実に翻案したザック(・スナイダー監督)の映画も大好きです。ただ、私としては忠実に映画化することはしたくなかった。それはとんでもなく悲惨な挑戦になっていたかもしれないし、だからおそらく実現させられなかったのだと思います。(コミックの)キャラクターが現実世界に存在して、彼らの考えや行動はほとんど妄想なのだと思えるような作品にしたかったんです。」

ここで監督は、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督による『ジョーカー』の名を挙げて、「『ジョーカー』みたいだと思われそうですが、こちらの方がアイデアは先だったんです」と一言。同時に「『ジョーカー』は実に素晴らしい映画だと思います。[中略]あのジョーカーは現実に存在していたし、妄想でいっぱいだった」と賛辞を述べている。

「(『ジョーカー』のように)スーパーヒーローのアイデンティティも人々の脳内にあるもので、現実ではなく妄想だったらどうだろうと。筋が通れば、収まるべきところに収まったと思います。それが実際に成功していたかどうかは分かりませんが。」

残念ながら、グリーングラスは予算の都合から企画を離脱。その後、『ウォッチメン』は2009年にザック・スナイダーによる映画版が製作され、コミックに詳しくない映画ファンにも広く知られることとなった。『ダークナイト』(2008)や『アイアンマン』(2008)の翌年、すなわち現在のアメコミ映画の隆盛に繋がる時期に生まれた一作として現在も根強い支持を得ている。ちなみに2019年にはドラマ版「ウォッチメン」が製作され、“コミックの続き”を描く新解釈のストーリーとリアルな作風が話題を呼んだ。もし、グリーングラスによる映画化が実現していたら……?

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Source: Happy Sad Confused, IndieWire

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。外部寄稿に『TENET テネット』『ジョーカー』『シャザム!』『ポラロイド』劇場用プログラム寄稿など。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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