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【考察】『ジュラシック・ワールド2』何故、マルコム博士は戻る必要があるのか?

HE IS BACK.(奴 が 帰 っ て き た)

マルコム博士 ジュラシックワールド2

あの、史上最傑作の映画『ジュラシック・パーク』ではカオス理論を展開するだけではなく、ご自慢のすんばらしい胸板を惜しみなく披露し、続編ではなんと主役を務めたあのジェフ・ゴールドプラム演じるイアン・マルコム博士(Dr.マルコム)が、現在撮影中の『ジュラシック・ワールド2(仮)』に再登場する事が発表されました。

 

『ジュラシック・パーク』ファンに愛されるマルコム博士とは

さて、ここで『ジュラシック・パーク3』or『ジュラシック・ワールド』しか観た事がない、または観た事はあるけど誰の事だかピンとわからないという方に、マルコム博士がどのような人物であるかおさらいしたいと思います。

マルコム博士は『ジュラシック・パーク』の主役であるアラン・グラントやエリー・サトラーとともに、ジョン・ハモンドによってパーク視察に招待された学者のひとり。控えめにいってイケメン、スマートな皮肉をかます女好き、筋肉が最高にホットな男です。

このセクシーショットがネット上でネタ扱いされているのも確かです。

しかし、彼は数学者。グラント博士は古生物学者、サトナー博士は古植物学(アランの恋人)ということで、恐竜のテーマパークに招致されるのも納得ですが、彼は数学者であるのにも関わらずパークに対して見解を求められる存在でした。

マルコム博士の役割・立ち位置とは

そもそも、『ジュラシック・パーク』では投資家がオープン前にもう一度施設の安全性を確認するために、徹底的な視察検分を行いたいという理由でアラン・グラント博士とイアン・マルコム博士にそれをお願いしたのです。マルコム博士は数学者、特に無秩序(カオス)理論学者であり、位相空間のシステムにおいて無秩序(カオス)がないかと視察しにきました。

ぶっちゃけ一体なんの役に立つのかさっぱりわからない、と一見思われがちな立ち位置なのですが『ジュラシック・パーク』には実は欠かせない存在なのです。

彼はグラント博士やサトラー博士のように恐竜についての知識があるわけではありません。グラント博士を真似て、自らの元にTレックスを誘き寄せて大怪我をするくらい、無知です。しかし、一方で恐竜にキャッキャしている彼らとは違って、冷静にパークや恐竜の再生について見解を述べる事ができる人間だったのです。

彼はDNAを操作するラボにて、Dr.ウー(『ジュラシック・ワールド』にも再登場した)がパーク内にいる恐竜が全て雌である事に関して、以下のように述べています。

100%の確立を保つ事は不可能だ

進化の歴史を振り返ればわかる 生命を抑えつけることはできない

生命は危険をおかしてでも垣根を壊し自由な成長を求める 

“Life finds a way(生命は道を見つける)”という名言を残した彼ですが、彼は数学者としてパークの最高責任者であるジョン・ハモンドに対して、猛烈に反対意見を述べます。

自然の力を甘くみて思い上がると怖いぞ

あなた方は危険をもてあそんでいる、おもちゃではないんだ

君等が用いている科学技術や知識は誰もが手軽に入手できる

誰かの本を呼んで応用するだけで、自分たちの責任を問う事もない

彼はここで今回の研究に携わる研究者たちを“研究一筋で倫理的責任を追わない奴ら”と呼び、ジョン・ハモンドの行為を“破壊を呼ぶ行為だ、有害行為だ、自然界をレイプする行為だ”と強く否定しています。

これらからおわかりいただけるように、彼は数学者として以前に誰よりも恐竜(生物/生命)に対するリスペクトを持ち、自然淘汰を重んじている人物なのです。彼は、この作品において誰よりも倫理的であり、正しいことを言っているんですね。そして彼は、恐竜は人間の考えたパターンには従わず、そこにカオス、つまり複雑なシステムに生じる予測不可能性が生まれると考えています。

マルコム博士が再登場する必要性は『ジュラシック・ワールド2(仮)』の作品性に関連している?

『ジュラシック・ワールド2(仮)』はこちらの記事でも述べた通り、現代の動物実験や生物兵器問題といって、アニマル・ライツを問う作品となるようです。前作で調教されたラプトルたちを「最高の兵器」と考え、軍事利用を画策していたホスキンスの計画が、Dr.ウーが恐竜の胚を持ち逃げしたことによって始動する可能性が高まりそうですね。

これこそマルコム博士の指摘していた、「君等が用いている科学技術や知識は誰もが手軽に入手できる」という最悪の事態なのです。

このインジェン社の恐ろしい企みに真っ向に反対し、阻止するには彼のような生命の尊厳を重んじる存在が不可欠といえるでしょう。

しかも実は『ジュラシック・ワールド』では、彼の書いた著書「GOD CREATES DINOSAURS.(神が恐竜を創造する)」が度々登場しています。それは従業員ロウリーのデスクに置いてあるのですが、それもまた上で紹介した記事「ロウリー不在が意味すること」で述べたロウリーの人物像に関係がありますね。

もしかしたらマルコム博士はオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)を手助けするようなキーパーソンとなるのでは?再登場シーンで、『ジュラシック・パーク』でのこちらのシーンと同じ台詞を言ってくれると、鬼アツなんだけどなぁ。

クレアをカオス理論を用いてナンパしたり(サトナー博士にしていたように)、オーウェンに「彼女(クレア)は彼氏いないの?」と聞いてみる(グラント博士にしたように)というようなマルコム博士らしいムーブも見られるのでしょうか!?……さすがにもう良い歳ですよね。

新規ファンと旧作ファンを一気に獲得するため?

また、今回マルコム博士再登場の理由として、新規ファンと旧作ファンを同時に獲得するためということも考えられます。ご存知の通り、『ジュラシック・ワールド』はクリス・プラットが主演を務めていましたが、彼は主にMCU作品である『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスター・ロードとしての認知が高いです。

それ故、ガーディアンズ直後に公開された『ジュラシック・ワールド』にはスター・ロード(MARVEL)ファンという新たなファン層が誕生したように思えます。そのファン層は、正直旧作の『ジュラシック・パーク』層とは年齢的にズレがあるので、旧作ファンにとって『ジュラシック・ワールド』は「なんだかナウい」という印象がありました。そこで、今回続編にマルコム博士を登場させることで旧作ファンにとってもノスタルジーを感じる喜ばしい展開となり、離れた可能性のあるファンを呼び戻すことができるのではないでしょうか。

ハン・ソロ的な展開にならないかが不安

今回ジェフ・ゴールドプラムが復帰するのは、21年ぶりのこと。まるでハン・ソロが『スター・ウォーズ フォースの覚醒』に復帰した時のようですね。そこで少し不安になるのが、ハン・ソロ的な展開にならないかという点。マルコム博士は一作目、そして二作目でも生存しています。そこからも何だか漂う死亡フラグ。『ジュラシック・ワールド2(仮)』をよりダイナミックな作品にするべくして、彼がその犠牲者にならなければ良いのですが……やられるとするのであれば、一作目のオマージュとしてT-レックスの餌食になるのでしょうか。いや、お願いだから生き延びてください。

期待が高まる一方の『ジュラシック・ワールド2(仮)』は2018年6月22日にアメリカで公開予定。随時解禁される新情報をお見逃しなく!

Eyecatch Image:©THE RIVER

Writer

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ANAIS

ライター/編集者/Ellegirlオフィシャルキュレーター、たまにモデル。ヌーヴェルヴァーグと恐竜をこよなく愛するナード系ハーフです。

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