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『シャン・チー』ウェンウー役トニー・レオン、なぜ出演を引き受けたのか ─ 「自分の安全地帯を出て、挑戦すべき年齢だと思った」

シャン・チー/テン・リングスの伝説
©Marvel Studios 2021

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作シャン・チー/テン・リングスの伝説』でウェンウー役を演じたトニー・レオンは、映画の公開後、日本だけでなく世界中の観客から熱い視線を寄せられることになった。“犯罪組織のリーダー”、“極悪ヴィラン”という前情報を裏切るような人物像を、視線や表情の繊細な演技をもって演じきったのである。

『レッドクリフ』『インファナル・アフェア』シリーズやウォン・カーウァイ作品、そして『悲情城市』(1989)など数々の名作・話題作に出演してきた名優であるトニーは、本作で初めてのハリウッド映画出演となった。幾度となく海外からのオファーを断ってきたというトニーは、なぜ『シャン・チー』を“ハリウッド進出作”に選んだのか? CNA Lifestyleにて、トニーは「“映画づくりには運命がからんでいる”とよく言うんです」と語った。

「(映画づくりは)誰にも強制できるものではありません。僕が“こんな映画を作りたいな”と思っていても、そういう作品からは声が掛からないことはある。今回はタイミングが良かったんでしょう。この役(ウェンウー)が僕に合うと思ってくれて、僕も心から参加してみたいと思った。とても心地良く思えたんです。」

かねてより言及されてきたように、トニーが出演を決めた理由のひとつは、監督・脚本のデスティン・ダニエル・クレットンだった。「電話で話した後、信じられる人だと思いました。最初はストーリーも役柄もほとんど知らされなかったけれど、なぜか自分の直感を信じようと思ったんです」とはトニー自身の談。監督ははじめからウェンウー役にトニーを希望していたが、最初は「絶対に受けてもらえない」と考えていたそう。そこでプロデューサーのジョナサン・シュワルツが「オファーしてみましょう」と背中を押し、この運命が繋がったのである。

トニーの「タイミングが良かった」という一言は、自身の俳優としてのキャリアを指すものでもあった。折しも、トニーは「今の自分は安全地帯を出るべき年齢、今まで挑戦しようとしなかったことに挑むべき年齢」だと考えていたのである。

「キャリアを振り返れば、僕は同じ監督との映画製作に20年を費やしていて、よく知る監督たちとしか仕事をしてこなかった。あまり知らない方々と仕事をする機会は少なかったんです。それは、僕自身がすぐに調子を整えられる人間じゃないからだし、周囲とうまくコミュニケーションを取る方法を知らないから。快適に仕事ができるようになるまでに時間がかかるんです。けれども今回は、年齢のせいかもしれませんが、挑戦したいと思ったし、安全地帯の外に出ようと思えました。だから、いろんな要因から叶ったことなんです。」

ウェンウーの妻を演じたファラ・チャンは、こんなトニーの告白を裏付ける証言をしている。「実際のトニーは紳士的で穏やかで、シャイな人と言ってもいいくらい。自分のエネルギーを隠して周りには見せないし、話すのも映画や脚本のことだけ。しかも“まだ考えているところだから”とか、“帰って稽古しないと”とか」。しかしセットに入ると、その演技は言うまでもなく周囲を惹きつけた。数々のスターを相手にしてきたマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長さえ、トニーを前にして「ほとんど言葉を失った」と言っている。

俳優デビューから約40年を経て、トニーがハリウッドのヒーロー映画でヴィランを演じたことは、少なからぬ映画ファンを驚かせもした。安全地帯を飛び出したトニーが、今後、新しい活躍の場に身を投じていくことも大いに考えられるだろう。なにしろ米GQの取材にて、トニーは別の悪役にも意欲を示し、「あなたの新時代が始まるかもしれません」との言葉に「そうですね」と答えたのである。

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Sources: CNA Lifestyle, ComicBook.com, GQ

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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