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【ネタバレ】『ワンダーウーマン 1984』2つの冒頭シーン、スタジオから削除要求されていた

ワンダーウーマン 1984
(c) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics

DC映画『ワンダーウーマン 1984』(2020)のオープニングについて、米ワーナー・ブラザースが、パティ・ジェンキンス監督にシーンのカットを申し入れていたという。しかしジェンキンス監督は、スタジオの要望をはねのけて映画の冒頭を守り抜いていた。米JoBloにて、監督が製作中のエピソードを語っている。

この記事には、映画『ワンダーウーマン 1984』のネタバレが含まれています。

2つのオープニングが意味するもの

『ワンダーウーマン 1984』は、ワンダーウーマン/ダイアナ・プリンスの故郷であるセミッシラにて、アマゾン族の戦士たちが競い合うアマゾン・オリンピックのシーンから幕を開ける。幼いダイアナは年齢も体格も優れた選手たちと渡り合い、勝利を収めるかと思われたが、その矢先にアクシデントに見舞われる。窮地に立たされたダイアナが選んだのは、レースをショートカットするという“反則技”。その行為は認められず、ダイアナはスタジアムに一位で戻ってくるも、栄冠を手にすることはできなかった……。

このシーンに続くのは、1984年のショッピングモールにて、すっかり大人になったワンダーウーマンが悪党を退治する場面。80年代の映画を彷彿とさせるルックや演出が目を惹くシーンとなった。もっとも、ジェンキンス監督は「この映画にはオープニングが2つあります。スタジオからはいつも、どちらかをカットするようにと言われていました」と振り返っている。「どちらもカットできない、と答えましたが」

セミッシラのシーンには、前作でヒッポリタ女王を演じたコニー・ニールセン、アンティオペ将軍を演じたロビン・ライトが再登場している。このシーンは脚本に常時組み込まれていたものではなく、前作が大ヒットを収めた影響で誕生した側面もあったとのこと。しかし、監督は「ヒットしたからといって無理に詰め込もうという気はありませんでした」とも述べている。カットしないという判断は、まったく別の理由によるものだったのだ。

「アマゾン族のシーンが必要だと思ったのは、ある時、誰もが前作を観ているわけではないことに気づいたからです。基本を押さえていなければ、ダイアナがどういう人物で、これがどんな物語なのかを理解することはすごく難しい。また、“偉大なるヒーローであることは、自らの人生を捧げること”という教えを語っておくのもすごく良いと思いました。真のヒーローになるには、強さや速さではなく、人生を通して複雑な問いに取り組むことが重要。彼女がその意味を理解するのはラストのスピーチですが、そのこともすごく良いと思ったんです。」

すなわち、2つのオープニングにはそれぞれ異なる意味があったのだ。セミッシラではダイアナというキャラクターの基本を示し、物語のテーマをあらかじめ仕掛けること。かたやショッピングモールでは、80年代の懐かしさとともに、ワンダーウーマンによる痛快なアクションを見せることである。事実、この作品は、これらのオープニング・シーンで示された要素を巧みに織り合わせることで展開していく。

Varietyにて、ジェンキンス監督は「(製作で)一番大変だったのは自分の設計図を守り抜くこと、信念を失わないことだった」と述べている。監督は脚本も兼任しているが、巨額の予算が投じられ、大勢のスタッフが参加する大作映画とあって、撮影中も自分自身を見失わないことが課題だったというのだ。「撮影の中盤に、スタジオから“ここが分からない”というようなことを言われるんです。その時は、“まだCGも入っていないんだから判断しないでほしい”と。今はバカバカしく見えるけど、もう少し待ってほしいと言いました。そういう作業はすごく孤独なものです」。

DC映画『ワンダーウーマン 1984』は2020年12月18日(金)より全国公開中。

Sources: JoBlo, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。