社会問題からコスプレまで!『ズートピア』リピーターに注目してほしい5つのキーワード
興行収入70億円を突破し、日本では今年最大のヒット映画となっている『ズートピア』。さすがディズニーとも言うべきクオリティーの高さに加え、テーマソング『Try Everything』のヘビーローテーションなども人気に追い討ちをかけている。そこで、リピーターのみなさんに『ズートピア』をより楽しんでいただくため、『ズートピア』を読み解くキーワードを以下に挙げてみた。
ディズニー作品は単なるファミリー向け映画ではなく、フィクション界のトレンドや社会情勢が織り込まれている。『ズートピア』ももちろん、例外ではない。さらに広がる『ズートピア』の世界にようこそ!
キーワードその1.「バディ映画」Buddy Film

刑事映画の定番である「バディ(相棒)」ものとして、『ズートピア』は制作されている。『バッド・ボーイズ』(’95)、『マイアミ・バイス』(’06)、といったハリウッド大作のみならず、日本でも『あぶない刑事』シリーズ、『相棒』シリーズは有名だろう。
また、正義の警官(ジュディ)と小悪党(ニック)という組み合わせも、映画史において異色ではない。二人の関係は『48時間』(’82)のニック・ノルティとエディ・マーフィーにそっくりだ。
キーワードその2.「偏見」Sterotype
人を見かけや人種で判断しない、ステレオタイプな考え方をしない、これは『ズートピア』のテーマだ。キツネというだけで、周囲からずるがしこい奴と偏見を持たれてきたニック。彼の姿は、現在、アメリカ国内におけるメキシコやコロンビアなど、南米からの移民への偏見が反映されている。この点は、『クラッシュ』(’04)などの映画作品でも問題として取り上げられてきた。
裏社会を牛耳るマフィアのボスが、愛らしい姿のネズミなのも、ステレオタイプなイメージへの反動と言えるだろう。
キーワードその3.「人種のるつぼ」Melting Pot
肉食動物が本能を制御し、草食動物と共存している世界、それがズートピア。これは、さまざまな人種が共存して「人種のるつぼ」と呼ばれているアメリカ社会の理想の形でもある。しかし、現実には人種をめぐる問題はいまだ山積み。だからこそ、『ズートピア』は実現可能な未来として「やるっきゃない!」と人々に問いかける。
『ズートピア』に感動したあなたは、『グローリー/明日への行進』(’14)や『ミルク』(’08)などの映画で、社会的弱者のために闘ったヒーローたちを勉強してみては?
キーワードその4.「女性の社会進出」Women’s Liberation
ヒラリー・クリントンが大統領選に出馬するなど、アメリカにおいて女性の社会的立場は年々向上している。しかし、まだまだ障害が消えたわけではない。『ズートピア』で男性社会の壁に挑むジュディや、逆に男性の市長にこきつかわれているベルウェザー副市長の姿には、そんな障害が反映されている。
『アリスの恋』(’74)『ジュリア』(’77)といった映画は、当時アメリカで起こっていたウーマンリブ運動の影響が色濃い。
キーワードその5.「擬人化」Prosopopoeia
最後はユーモアで締めよう。『ズートピア』で驚かされるのは、世界中に生まれたコスプレイヤーたちの数!ネットを検索すればジュディやニックや、なんとベルウェザー副市長にまでなりきったレイヤーの写真がたくさんヒットする。

また、イラストレーターたちの熱もすごい。ジュディやニックを擬人化したアツアツなイラストが大量に描かれ、SNSでアップされている。ニックの日本語吹き替えがカリスマ声優、森川智之だったのも、女性声優ファンを虜にしたようだ。確かに、意地悪でチャラくて、でも最後は優しいニックって、女性にモテるタイプ!?
https://theriver.jp/zootopia-review/
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