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2023年を総括、洋画シーン6つの重大キーワードを振り返り解説

#フランチャイズの低迷

2023年、苦境にあえいだのはスーパーヒーロー映画だけではない。『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は、シリーズ15年ぶりにハリソン・フォードがインディを演じる最新作として注目を集めたが、結果は振るわず。3億ドルとされる高額な製作費に対しては9億ドル程度の興収を稼ぐ必要があったものの、結果は3.8億ドル。インディ・ジョーンズという巨大なブランドをもってしても、2023年の観客の心を掴むことは難しかった。

映画の不振などで「疲弊している」

また、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』も3億ドル近い製作費に対して5.6億ドルほどの着地。トムは前年に『トップガン マーヴェリック』を世界的にヒットさせていただけに期待も大きかったが、今回のミッションは完遂とならなかった。

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大作映画がまさかの赤字

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』のエンジンも調子が悪かった。世界興収は7億ドルとなったが、最高期の『ワイルド・スピード SKY MISSION』の15億ドル、『ワイルド・スピード ICE BREAK』の12億ドルと比較すると物足りない数字だ。

昨年は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『トップガン マーヴェリック』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』とフランチャイズものが年間トップ3を占めたが、今年は『バービー』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『オッペンハイマー』に。全体的にフランチャイズ作品が期待通りのパフォーマンスを発揮できない一年となった。

#Wストライキ

2023年の映画業界に最も大きな影響を与えたのが、脚本家組合、俳優組合によるWストライキだろう。両組合が同時にストライキを行うのは63年ぶりのこと。

このストライキのポイントは、全米脚本家組合と全米映画俳優組合が、主要スタジオの加盟する全米映画テレビ製作者協会との間で結んでいた契約が同時期に更新のタイミングを迎えていたこと。ストリーミング配信事業やAI技術の活用方法など、業界にはここ数年で現れた新たな課題について検討する必要が生じていた。

はじめに全米脚本家組合が5月にストライキに突入すると、さまざまな映画やドラマ、TV番組の制作が一時停止や延期を余儀なくされた。一部の作品はストライキ中にも撮影を決行したが、続いて7月には俳優組合もストライキに入ったことで、俳優たちも業務ストップ。これによりハリウッドは開店休業状態となった。この影響で、予定されていたトム・クルーズやマーゴット・ロビーの来日が中止となった。

それぞれ交渉は長引いたが、9月に脚本家組合が合意を勝ち取ってスト終了。11月には俳優組合も終了に至った。一時は2024年にまで持ち越す可能性があるとも思われたが、脚本家組合は146日間、俳優組合は118日間の戦いをようやく終えた。ハリウッドの脚本家や俳優がAIの台頭をいかに危惧しているかについては、日本国内でも話題となった。

#ジョナサン・メジャース解雇

マーベル・シネマティック・ユニバースの新たなラスボスである征服者カーン役を演じていたジョナサン・メジャースは、暴行容疑で有罪となったためディズニーから解雇された。MCUが計画変更を余儀なくされるなど、影響は甚大だ。

メジャースは3月、当時の交際相手グレイス・ジャバリとタクシー車内で口論となり、揉み合いに発展。その際ジャバリが外傷を負ったことで、メジャースは翌日逮捕されていた。

逮捕ののち、メジャースは所属プロダクションから契約を解除されたり、内定していた映画やCMから降板を余儀なくされたりしていた。公判が11月に設定されると、ディズニーはメジャースが主演する映画『Magazine Dreams(原題)』の12月公開予定を取り下げた。

法廷ではメジャースがジャバリに対して過去に行ったモラハラ的なメッセージや音声も持ち出された。第三級加重性暴行罪およびハラスメントで有罪となり、判決は2024年2月6日に言い渡される。最大で1年間の禁固刑の可能性があるが、専門家らは実刑を免れる可能性が高いと見ている。

控訴の可能性も

カーン役解雇によって、MCUでは予定されていたクロスオーバー大作『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ』(2026)に大きな不安がかかる。カーン役をリキャストするか、あるいは別のラスボスを新たに用意するか、現時点ではそのどちらもありうる状態だ。

もしもリキャストするのなら?

さて、2024年はどんなニュースが飛び出すだろう?新年も、全力でお伝えしてまいります。引き続き、THE RIVERをよろしくお願いします。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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