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2023年を総括、洋画シーン6つの重大キーワードを振り返り解説

2023年もさまざまなニュースがあった一年だった。この記事は2023年の締めくくりとして、今年の重要なニュース・トレンドを6つ解説する。これを読めば、2023年の洋画関連の話題がだいたいわかる!

#エブエブ

2023年(第95回)アカデミー賞では、アジア系キャスト主体のA24映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、通称『エブエブ』が快挙。作品賞のほか、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、編集賞を席巻し、最多7部門受賞を果たした。

もともとアメリカではわずか10館のみの上映でスタートし、話題が話題を呼んで拡大上映。最大2,220館で上映されると、2,000万ドル程度とされる制作費に対して1.4億ドル超のヒット作に大化けした。

2020年に韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞などを受賞したことに続き、国際的な場でアジア系作品が大きく注目される機会を創出。ミシェル・ヨーの主演女優賞受賞はアジア人初。キー・ホイ・クァンの助演男優賞はアジア人史上2人目、38年ぶりの快挙となった。

ヨーは長年の功労がついに結実したようなところもあり、またクァンは一時俳優業から離れていた歴史もあって、感動的な受賞となった。授賞式スピーチで、ヨーは「女性のみなさん、誰にも『歳を取り過ぎた』なんて言わせてはいけません。諦めないで」「この受賞を私の母に、そして世界中のお母さんたちに捧げます。なぜなら、彼女たちこそがスーパーヒーローだからです」とメッセージ。クァンも「夢を信じて」と熱く語った。

『エブエブ』作品解説

#バーベンハイマー

アメリカで7月9日に同日公開されたワーナー・ブラザース『バービー』とユニバーサル・ピクチャーズ『オッペンハイマー』を同時に楽しもうというファン活動が社会現象に。それぞれ14億ドル超、9.5億ドル超のスーパーヒットに繋がった。2023年公開全作において、『バービー』は1位、『オッペンハイマー』は3位となる偉業を成し遂げ、コロナ禍以降の映画興業における英雄となった。

しかし日本では、『バービー』米公式X(Twitter)アカウントが『オッペンハイマー』と組み合わせて作成されたファンアートに好意的なリプライを寄せたことで大炎上。ワーナー・ブラザース本国が謝罪文を出す事態となり、来日したグレタ・ガーウィグ監督まで批判される流れとなった。もともと日本ではバービー人形がアメリカほど馴染んでいないこともあり、映画は本国のようにはヒットしなかった。

『バービー』騒動の考察、謝罪文の解説

一方の『オッペンハイマー』は日本公開がなかなか決まらない状況が続いていたが、水面下ではさまざまな動きがあったようだ。ついに引き受けたのはビターズ・エンド。「さまざまな議論と検討の末、日本公開を決定いたしました」との声明が発表されている

現時点で『オッペンハイマー』の日本公開予定は2024年とのみ発表されており、詳細日は不明。新情報が入り次第お伝えする。

オッペンハイマー解説

#スーパーヒーロー疲れ

2023年は、マーベルやDCによるスーパーヒーロー映画の不振が取り沙汰された1年だった。MCUの『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は世界興収4.7億ドルに留まり、Rotten TomatoesではMCU史上最低の批評家スコアに。この不評ぶりにはマーベル・スタジオ内部でも動揺が広がったという。

『マーベルズ』はわずか2億ドル。製作費用は2億ドル以上と伝えられており、MCU史上初の赤字作品となった。

DC映画『ザ・フラッシュ』はDC最高傑作と喧伝されたものの、蓋を開けてみれば世界興収2.7億ドルに終わった。こちらも同じく2億ドルほどの製作費だったため、収支面では赤字である。

ジェームズ・ガン、「ヒーロー映画疲れ」語る

アメコミ映画に大異変が起こっていることは間違いない。作品数の急増に観客がついていけていないことや、制作が追いつかずに品質が低下していることなど、さまざまな原因が指摘されている。これに反動するように、2024年の劇場公開作はMCUが『デッドプール3』のみ、DCは『ジョーカー』続編のみ。来年はアメコミ作品にとって静かな年になる見込みだ。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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