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2017年版『オリエント急行殺人事件』到着前に!古今「オールスターキャスト映画」を振り返る

ケネス・ブラナーが製作・監督・主演を務め、ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファーら豪華キャストが共演した『オリエント急行殺人事件』(2017)の日本公開日が2017年12月8日に決定したとの報が入りました。本作は前述のように豪華キャストが見どころのエンターテイメントで、さながらシドニー・ルメット監督による同じ原作の作品を思わせます。

そこで今回は『オリエント急行殺人事件』に関連して、古今製作されてきたオールスターキャストで話題になった作品をピックアップしてご紹介しましょう。

『史上最大の作戦』(1962)

主な出演者
ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス、リチャード・バートン、ショーン・コネリー

第二次世界大戦における連合国軍のノルマンディー上陸作戦を、連合軍、ドイツ軍、フランスのレジスタンスの視点から描いた超大作映画です。前述のとおり、数多くのスター俳優が出演しています。

映画は当時、高く評価されたようですが、率直に言って今見ると古臭い印象があります。戦争映画につきものの流血が無く、どことなく戦場での死が嘘くさく見えるのです。『プライベート・ライアン』(1998)の過激な表現を経た現代の感性で見ると物足りなさが否めません。

アメリカ映画界は1968年に年齢別レイティングシステムが導入され表現の幅が大きく広がりました。
それまでの映画は流血や性描写に厳格な制限が設けられており、古い映画の表現が生温く感じてしまうのは時代を考えると仕方のないことではありますが、私は1960年代前半ごろまでの古典的名作と言われているものは現代において過大評価だと思っています。稀に今見ても本当に素晴らしいものはありますが、これらの作品は現代において「歴史的価値」であり純然たる作品そのものの価値ではないと思います。

とはいえ、『史上最大の作戦』の歴史的影響は見逃せません。
まず、直接的影響として戦争映画の名作トラ・トラ・トラ!』(1970)が製作されました。同作の製作は『史上最大の作戦』も手掛けたダリル・F・ザナック。プロデューサーとして三度のアカデミー賞を受賞した映画史に残る敏腕プロデューサーです。『トラ・トラ・トラ!』は内容的な高評価の一方、興行的には振るいませんでしたが、そもそも『史上最大の作戦』を製作しなければザナックも『トラ・トラ・トラ!』を作ろうとは思わなかったのではないでしょうか(ザナックは『史上最大の作戦』の成功で20世紀フォックスの社長に返り咲いている)。

そして何より大きかったのは『史上最大の作戦』が興行的に大成功を収めたということです。20世紀フォックスは『クレオパトラ』(1963)で会社が傾くほどの赤字を出しましたが、持ち直したのは『史上最大の作戦』が世界的にヒットしたからだと言われているほどです。巨費を投じたオールスター映画は続く1970年代にも製作されていますが、内容的には70年代の作品群の方が充実しています。しかし、後続の作品群が生まれたのもきっと『史上最大の作戦』のような成功例があればこそでしょう。

『タワーリング・インフェルノ』(1974)

主な出演者
スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア

1970年代中期にはパニック映画が数多く製作されました。その中でも『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)と双璧を成す存在と言えるのがこの『タワーリング・インフェルノ』です。

個人的にシリアスとオールスターは相性が良くないように感じます。登場人物を増やしすぎることで一人ひとりのドラマへの突っ込みが甘くなるからです。大作戦争映画『遠すぎた橋』(1977)がその例で、魅力的な俳優が数多く出ているにも関わらず誰もあまり印象に残らないという消化不良の作品となっています。
本作は登場人物の数を控えめにし、舞台を「高層ビルで火災が発生する」という限定的なシチュエーションに絞ったことで緊密なドラマを生み出しています。
ダブル主演といえるポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンはいつも通りハードボイルドな魅力を醸し出し、脇を固めるウィリアム・ホールデンやフレッド・アステアも十全に持ち味を発揮しています。

監督のジョン・ギラーミンはアクション大作をほぼ専門としていた職人で素材の持ち味を損なうことなく手堅く料理しています。

『オーシャンズ』シリーズ(2001-2007)

主な出演者
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ、アル・パチーノドン・チードル、ケイシー・アフレック、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、アンディ・ガルシア

Writer

ニコ・トスカーニ
ニコ・トスカーニMasamichi Kamiya

フリーエンジニア兼任のウェイブライター。日曜映画脚本家・製作者。 脚本・制作参加作品『11月19日』が2019年5月11日から一週間限定のレイトショーで公開されます(於・池袋シネマロサ) 予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=12zc4pRpkaM 映画ホームページ → https://sorekara.wixsite.com/nov19?fbclid=IwAR3Rphij0tKB1-Mzqyeq8ibNcBm-PBN-lP5Pg9LV2wllIFksVo8Qycasyas  何かあれば(何がかわかりませんが)こちらへどうぞ → scriptum8412■gmail.com  (■を@に変えてください)

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