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MCUは『アベンジャーズ/エンドゲーム』が絶頂期だったのか ─ マルチバース新展開「観客は辛抱すべき」とジョー・ルッソ監督

アベンジャーズ/エンドゲーム
© 2019 MARVEL

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は変革のさなかにある。フェーズ5の開幕作『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)は、マルチバース・サーガの大型ヴィラン・征服者カーンの初登場作として物語の方向性を指し示した一作。しかし批評家や観客の評価は伸び悩み、観客の間では『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)がMCUの絶頂期だったとする声も少なくない。

では、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』を手がけたアンソニー&ジョー・ルッソ監督はMCUの現状をどう考えているのか。英Radio Timesにて、ジョーは、自分たちの関与していた当時と今ではストーリーのタイミングが異なることを強調した。

「僕たちが関わったフェーズでは、非常に具体的な物語が展開されていて、しかもそのフェーズで物語は完結していました。しかし、今は新しいストーリーを語る時間。それがマーベルの目指している方向性であり、(当時とは)まるで異なる、新しいストーリーを語っているんです。」

ルッソ兄弟がMCUに初参加した『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)はフェーズ2の中盤を担う作品だったが、全体の物語は、翌年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で着地した。また『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2015)はフェーズ3の開幕作であり、やがて『エンドゲーム』に結実するアベンジャーズの物語の皮切りとなったのである。ジョーの言葉を借りるなら、2人は「非常に具体的な物語」を語る役目を担ったのだ。

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長に対し、ジョーは「彼以上のストーリーテラーはいない」と全幅の信頼を寄せる。だからこそ、「観客は方向性の再定義にも辛抱すべきだと思う」との持論を述べてもいるのだ。

「(マーベルは)同じ物語を何度も語り直すことはできないし、また観客を失うこともできない。だから彼らは大きな挑戦をしているし、(映画の)トーンで実験をしているし、誰もがストーリーの中に居場所を得られる多様性を推し進めているんです。大スケールのストーリーテリングという点で、これらは大成功をもたらしますよ。」

現在のマルチバース・サーガで進行している物語は、2025年『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)』と2026年『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』にて集大成を迎える。残り時間は2~3年だが、これは『シビル・ウォー』から『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』までの期間とほぼ同じだ。

ジョーの言うように、MCUは再び「大成功」を実現することができるか? マルチバース・サーガ全体とは関わりを持たないという『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を経て、物語は『マーベルズ』へ続いていく。

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Source: Radio Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。