『アベンジャーズ/カーン・ダイナスティ』征服者カーンの孤独と傷を描く? ─ 『シャン・チー』監督との相性は「完璧」

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の公開を受けて、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、いよいよ次なる集大成『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)』に向けて動き出した。両作の脚本を執筆するジェフ・ラブネスによれば、やはり『カーン・ダイナスティ』は“征服者カーン”の物語になるようだ。
ラブネスが注目するのは、『カーン・ダイナスティ』の監督を務めるデスティン・ダニエル・クレットン。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)を手がけたのちの抜擢だが、ラブネスには“クレットンならカーンを的確に描ける”という信頼がある。米io9のインタビューでは、作り手とキャラクターの親和性をこのように強調した。
「デスティンはカーンを素晴らしい形で扱ってくれると思います。なぜなら、カーンは非常に静かで、とても孤独で、大いに傷ついているから。そして情熱と衝動を抱えているからです。カーンの幅広い感情を捉えるうえで、デスティンは完璧な監督だと思います。」
ここに見え隠れするのは、かつて『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)がサノスの物語だったように、『カーン・ダイナスティ』がカーンの物語になるという予兆だ。企画の当初から、ラブネスとクレットンは共同で脚本作業にあたっているという。思えば『シャン・チー』でも、トニー・レオン演じる父ウェンウーの寂寥感を示す心理描写はとりわけ印象的だったではないか。
ラブネスが特別に言及しているのは、クレットンが手がけた初期の代表作『ショート・ターム』(2013)だ。キャプテン・マーベル役でも知られるブリー・ラーソンやラキース・スタンフィールドが出演した同作を、ラブネスは「非常に素晴らしい脚本と演技、非常にこだわった演出」と絶賛。クレットンの演出力と、カーン役のジョナサン・メジャースの演技が融合することで「歴史に名前を残すヴィランが生まれる」と言葉に自信を込めた。「だから僕は、ふたりの最高の素材を提供したいんです」。
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』では、カーンを演じたジョナサンの演技が早くも高い評価を受けた。圧倒的な強さの片鱗を見せつけながら、わずかな台詞と表情にどうしようもない孤独をにじませる様子は、『カーン・ダイナスティ』でその本領を発揮することだろう。征服者カーンの物語は、まだ始まったばかりなのである。
映画『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)』は2025年5月2日に米国公開予定。