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スカーレット・ヨハンソンが語るブラック・ウィドウの変化 ─ 『アイアンマン2』から『アベンジャーズ/エンドゲーム』直前まで

『アベンジャーズ』ブラック・ウィドウ
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)において、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウという存在はあまりにも大きい。『アイアンマン2』(2010)で初登場したナターシャは、その後『アベンジャーズ』(2012)で、唯一の女性ヒーローとしてチームに加わった。まだ女性ヒーローが現在ほど多くなかった、DCコミックス原作『ワンダーウーマン』(2017)が女性主人公のヒーロー映画として大ヒットする5年前の出来事である。

究極の集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開を控えた2019年4月中旬、米Entertainment Weeklyでは『アベンジャーズ』に登場した6人の出演者による座談会が行われた。ブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソンは、『アイアンマン2』から現在までの変遷を振り返っている。もちろん『エンドゲーム』のネタバレは含まれていないので、安心してお読みいただきたい

アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK / 写真:ゼータ イメージ

ブラック・ウィドウ、キャラクターとしての自立

キャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルやホープ・ヴァン・ダイン/ワスプに先がけて登場したブラック・ウィドウは、MCUにおける女性ヒーロー像を切り開いてきたキャラクターだ。

インタビュアーに「ブラック・ウィドウが女性ヒーローの見方を変えてきたことについて、どう感じていますか?」と問われ、スカーレットは「私にすべてが見えているかどうかはわからないですが」と前置きしてから、『アイアンマン2』当時の印象が自身の中でも変わってきたことを明かしている。

「ナターシャは成長してきました。私が彼女のことを“セクシーな秘書”だと言った時に、ジョン・ファブロー(『アイアンマン2』監督)がちょっとだけムッとしたんですよ。“彼女はスパイなんだよ”って。もちろん、確かにそうなんですけど、『アベンジャーズ』や『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で、彼女は自覚のある女性になる機会を得られたように思うんです。“私、今までの人生で自分から何かを選択したことがなかったんだ”って。」

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』Disney/Supplied by LMK 写真:ゼータイメージ

『アベンジャーズ』でヒーローの一員としてのナターシャを描いたのは、続編『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)でも脚本・監督を務めたジョス・ウェドンだ。MCUの魅力は、複数のフィルムメーカーがキャラクターを多面的に進化させてきたところにもある。

ジョス・ウェドンの存在は大きかったと思います。強い女性キャラクターと、そのストーリーを心から信じていましたね。キャラクターの欠点を祝福して、そこに光を当てようとしていましたから。欠点というか…本当はそうじゃなくても、彼女が欠点だと思っているものを描くのが大切だったんです。(ウェドンの)サポートと描き方が、キャラクターをまったく違うものにしてくれました。」

スカーレットが言及した『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で、ナターシャはスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカや周囲のヒーローたち、または世界との結びつきの中で、まさしく主体的に判断を下していく。同作を手がけたアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』と、いくつものストーリーを通じてナターシャ像に深みをもたらしてきた。

「(今では)女性としての本来の権利を手に入れていると思います。“私は誰で、何がしたいんだろう?みんなとの関係や自分自身に、いったい何を求めてるんだろう?”と言うことができるし、自分の自尊心をきちんとわかっている。みんなの道のりを見つめるという意味でも、自分の過去と折り合いをつけている、道徳の基準があいまいな、欠点のあるスーパーヒーローとして女性が描かれるのを確かめるという意味でも、(MCUの11年間は)とても意義深い日々でした。ほかの女性ヒーローが進んでいける道を示せたと思います。」

こう述べたあと、スカーレットは「別に私の手柄じゃないんですけど」と付け加えている。するとホークアイ役のジェレミー・レナーは「君がきっちり演じた役だよ」と述べ、ハルク役のマーク・ラファロは「そう昔じゃなくても、女性ヒーローは主役になれないと思われていたじゃない。前はそれが業界の常識だった」と話して、ヒーロー映画におけるブラック・ウィドウの重要性を強調している。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』が劇場公開を迎えた現在、マーベル・スタジオはブラック・ウィドウの単独映画を企画しているという。しかし、その全貌はいまだ謎に包まれたまま。インタビュアーがスカーレットから情報を聞き出そうとすると、アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.がマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長に「その話はしていいの?」とすかさず確認。社長は「まだ何も発表してませんよ」と牽制し、情報の流出は未然に防がれている。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

『ブラック・ウィドウ』単独映画、出演者報道も

Source: EW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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