『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、クイーンのベスト曲に変化はあった?キャストが挙げる1曲

日本公開3週目にして、興行収入記録で前週を上回り続ける、つまり週ごとに客入りが増えているという珍しい現象を巻き起こし、iTunesのアルバムチャーではトップ1位から3位までをクイーンのアルバムが独占する(2018年11月25日)という、正真正銘の社会現象を巻き起こしている映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、伝説のバンド・クイーン(Queen)、そしてフレディ・マーキュリー激動のキャリアを彩る名曲の数々が起用されている。
ロック、ポップス、ハードロック、オペラ、ジャズ、フォークなど、クイーンの楽曲には実に様々な表情がある。映画劇中でも、ジョン・ディーコンが「クイーンはひとつのジャンルに収まらない」と語る場面があった。
だからこそ、「クイーンで一番好きな楽曲は何?」という究極の質問にはいつも悩む。1曲だけを選ぶなんてほとんど不可能に近いが、あえて選ばなければならないとしたら、『ボヘミアン・ラプソディ』出演者陣とあなたは何を挙げるだろうか?
ジャパンプレミアで答えた楽曲

『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック、ブライアン・メイ役のグウィリム・リー、ジョン・ディーコン役のジョー・マッゼロは、本作のインタビューで何度かこの質問に答えている。3人は2018年11月7日にはクイーンゆかりの国でもある日本を訪れ、ジャパン・プレミアの壇上で手短に答えていた。この時、彼らが挙げた楽曲は以下の通りだった。
- ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー役):
アンダー・プレッシャー(Under Pressure) - グウィリム・リー(ブライアン・メイ役):
ドント・ストップ・ミー・ナウ(Don’t Stop Me Now) - ジョー・マッゼロ(ジョン・ディーコン役):
愛にすべてを(Somebody To Love)
撮影前と撮影後でお気に入りの楽曲に変化
3人は、このジャパンプレミアに先駆けて2018年10月公開の米Colliderによるインタビューで、「本作の撮影前に好きだった楽曲と、撮影後に好きになった楽曲」について答えている。こちらではメアリー役のルーシー・ボイントンも加わり、各々のクイーン愛についてもう少し詳しく語っている上、ジャパンプレミアで回答した楽曲と異なっている。
グウィリム・リー(ブライアン・メイ役)

本作に登場したクイーンのメンバーの中でも、特に本人に似ていたブライアン・メイ役のグウィリム・リーがもともと好きだった楽曲として挙げているのは「愛にすべてを(Somebody To Love)」。撮影を終えた現在では、「映画の中でカバーした楽曲全てに特別な想いがある」と述べた上で、特に好きな楽曲として挙げたのが「ラブ・オブ・マイ・ライフ(Love of My Life)」。本作の最後の撮影がこの楽曲のシーンだったためだという。「この映画に携わった全てのキャストとクルーの最後の瞬間を象徴するようでした。」
ジョー・マッゼロ(ジョン・ディーコン役)

ベースのジョン・ディーコンを堅実に演じたジョー・マッゼロが「この映画でやった曲は、全曲新たなお気に入りになりました」と語ると、メアリー役のルーシーもうなずく。ジョーはこう続ける。「演じてみると、楽曲の弾き方なんかを学ぶことになるから、”あぁ、これは好きだなぁ”ってなる。製作中ずっとそう感じていました。」
ルーシー・ボイントン(メアリー・オースティン役)
フレディ永遠の理解者メアリーを演じたルーシーは、『シング・ストリート 未来へのうた』(2016)に続けてのUKロック映画ヒロイン役。元よりのお気に入りは「セイヴ・ミー(Save Me)」で、撮影後は「伝説のチャンピオン(We Are The Champions)」が好きになった。「撮影初日がライヴ・エイドのシーンで、心奪われたからです。」
ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー役)

フレディ・マーキュリーの魂を蘇らせたラミ・マレックは、本作のために振付を覚えた初めての曲が「レディオ・ガ・ガ(Radio Ga Ga)」だったと言い、「特別な思い入れがある」と語る。続けて「愛にすべてを(Somebody To Love)」を挙げ、更にグウィリム・リー同様「撮影最終日にやった『ラブ・オブ・マイ・ライフ(Love of My Life)』」と答えた。「だから3曲ありますね、それぞれに特別な思い入れがあります。」

あなたにとってのクイーン・ベスト・ソングは?
さて、あなたが好きなクイーンの楽曲には、本作の鑑賞前と鑑賞後で何か変化はあっただろうか。ちなみに筆者は、本作以前は「ショウ・マスト・ゴー・オン(The Show Must Go on)」がベストだった。物心ついた頃には既にフレディが死去していた筆者にとって、フレディの存在はやや悲劇的な結末を迎えた伝説のロック・アーティストといった印象が強かった。実質的な遺作である「イニュエンドウ(Innuendo)」を締め括る同曲は(決意に満ちた歌詞や、既に体調が悪化していたフレディのため新規撮影ができなかったプロモーション・ビデオの存在もあって)「伝説」としてのクイーンを強く象徴するようだったからだ。
『ボヘミアン・ラプソディ』を複数回鑑賞した今となっては、「ラブ・オブ・マイ・ライフ(Love of My Life)」にこれまで感じられなかった鼓動を聴くようになった。それは、本作が「伝説」と感じていたフレディ・マーキュリーを活き活きと蘇らせ、健気で、不器用な1人の人間として描いていたからだろう。この裏には、血の通ったフレディを演じたラミ・マレックの名演技がある。ラミは本作の来日記者会見で、次のように語っていた。
「フレディって、何千万もの人を手の平で転がすような人です。僕にすれば超人ですよ。どうすれば人間として地に降ろすことができるのかと考えました。
で、こう思ったんです。彼は何千万もの人を手の平で転がしながら、同時に誰かの手の平で包んで欲しいと願う人物なのだろうと。こう考えればフレディとつながれると思いました。フレディだって、人間臭い複雑さや、自分を見出すことに苦しんでいる1人の人間なんです。」
きっと決められないだろうが、あえて聞こう。あなたが好きなクイーンの楽曲を、『ボヘミアン・ラプソディ』鑑賞前と鑑賞後でそれぞれ1曲ずつ挙げるとしたら?
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『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/