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【完全レポート】『ボヘミアン・ラプソディ』会見 ─ ラミ・マレックは、いかにして超人フレディの魂を宿したのか(写真81枚)

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

伝説のバンド、クイーン(QUEEN)を描く映画『ボヘミアン・ラプソディ』の日本公開(2018年11月9日)を記念して、ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー役)、グウィリム・リー(ブライアン・メイ役)、ジョー・マッゼロ(ジョン・ディーコン役)が初来日を果たした記者会見が開催された。世界中を回った本作プレス・ツアーの最終地として、クイーンの伝説を見事に演じた3人が11月7日、東京の地に登場。なお、来日予定だったロジャー・テイラー役ベン・ハーディは、新作映画のヨーロッパ撮影が悪天候のためスケジュール変更となり、直前になって残念ながら来日キャンセルとなった。(記事最後に撮影写真ギャラリー81枚。)

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

前夜(11月7日)にはジャパンプレミアのカーペット・イベントでファンとの交流を楽しみ、舞台挨拶を行った3人。この日は記者会見としては少々珍しく、屋外での実施。映画のラッピングバスをバックに、パープルをあしらったテーブルが設置された。

予定時刻から10分ほど遅れて、ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー役)、グウィリム・リー(ブライアン・メイ役)、ジョー・マッゼロ(ジョン・ディーコン役)が登場。揃ってサングラスをかけた3人は、さながらロックスターめいた堂々たるオーラをまとっている。

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

クイーンへの愛と感謝が止まらない

はじめに挨拶を求められた3人が語った内容は、前夜に開催されたジャパンプレミア 舞台挨拶時とほぼ同じものだ。ラミはクイーンと日本の関係がいかに深いか、来日をどれだけ喜んでいるかを語り、グウィリムはクイーンの1975年の日本武道館公演の重要性を挙げ、来日について「夢なんじゃないかと思う」と喜ぶ。ジョーは今作撮影の初期に「プロモーションで日本に行けたらどんなに良いか」と話していたエピソードを改めて語った。

通訳が話し終えるのを待つと、ジョーは「もうひとつ。今回はベンが来られなかったけれど…」と背後にあるラッピングバスにプリントされたロジャー・テイラー役ベン・ハーディの姿を指さしながら「あれを切り取ってここに降ろしてきて、椅子に座らせたいですね。そうしたらバンド全員集合だ」と笑いを誘い、残念ながら新作映画の撮影スケジュールの都合で来日がキャンセルになったメンバーを思いやった。

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

「クイーンのどんなところをリスペクトしているか」という質問が投げられると、ジョーは「リスペクトしていないところを答えるほうが簡単ですね」と笑い、次のように答える。

「彼らの音楽は世代やジャンルや文化を超越しているんです。僕たちは皆、成長していく中でクイーンの思い出がありますし、彼らの楽曲から影響も受けています。

ブライアン・メイやロジャー・テイラーとお会いして、クイーンへの想いが2倍にも3倍にもなりました。2人は非常に温かく迎えてくださいました。僕たちのことを勇気づけ、鼓舞してくださいました。自分たちには、彼らを演じるに値する価値があるのだと感じさせてくださいました。彼らのレガシーの一部を共有し、楽曲がどうやって作られたのか、どういう意味を持っていたのかを学ぶことができました。クイーンの楽曲に対する有難味が、新たに生まれたようでした。

撮影が終わったとき、もうクイーンの曲はお腹いっぱいかなと思ったんですが、アメリカに帰国してロードトリップに出かけたとき、車の中でクイーンだけ聴いていたんですよ(笑)。作品の中ではカバーできなかった曲や、ライブの音源なんかを聴きながら、友人と”これ良いよね!これ聴いて欲しいよね!”なんて盛り上がって。だから、クイーンへの愛と感謝がどんどん高まっていくんです。たぶん止まらないと思いますね。」

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

映画『ボヘミアン・ラプソディ』はクイーンの先進性の証明だ

続けてラミ・マレックも、クイーンと、自身が演じたフレディ・マーキュリーへの思いを丁寧に語る。

「映画の中でも描かれますが、楽曲『ボヘミアン・ラプソディ』は当初、批評家たちに受け入れられなかったんですよね。それって、クイーンやフレディ・マーキュリーがどれだけ時代の先を行っていたのか、革命的だったのかの表れだと思います。だからこうして2018年に映画にもなって、世界中の興行収入記録を席巻しているわけですよね。僕たちがやったことって、彼らの音楽を新しい世代に語り継ぐためのごくごく小さな役割です。まるでベートーヴェンやガリレオの真価が、後になって気付かれたようなもの。彼らの遺産は何百年も生き続けるんです。クイーンもそうなることは、疑いようがありません。

フレディ・マーキュリーの役を演じ終えた時、これは僕たちみんなそうだと思うのですが、すごく自由になった気がしたんです。ステージ上だけでなく人間としても、これまで自信がなかったようなことも出来るような気がしたんです。音楽の力なんでしょう。クイーンは、音楽だけでなく、人間としてのステレオタイプも破壊したんです。彼は、1つのものに縛られることを拒みました。文化的にも時代の先を行っていたと思います。

フレディ・マーキュリーとクイーンがステージ上で見せたもの、音楽を通じて観客とつながっていたもの、それはありのままの自分を見出す力なんです。彼らは、最も自然体の生き様を見せてくれました。人に自由を与え、なりたい自分になることを教えてくれました。誰かを演じるにあたり、また音楽を聴くにあたり、これほどの開放感を覚えたことはありません。」

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

リスクを取る勇気をくれた

グウィリム・リーも、同じ質問にこう答える。

「クイーンの音楽は、あらゆることを祝福していると思います。批評家や他のロック・ミュージシャンが何を言おうが気にしない。自信や確信に満ちていて、才能に対する確固たる信頼があるんです。リスクを取って、ひとつのジャンルに自分たちを固定することを嫌いました。劇中でも語られますが、ジョン・ディーコンいわく、”クイーンにジャンルはない(Queen isn’t any one thing)”んです。(ジョンを見ながら”ゴメンね、セリフ借りちゃった”、ジョン”いいセリフだったよ”と返す)

彼らは、1つの特定の場所に留まろうとしなかったんですよね。僕はこの役を演じるにあたり、そんなところに着想を得ました。リスクを取る勇気を貰えました。映画を通じて、観客にもそんな影響を与えられたらいいと思います。

この映画の良いところは、家族で鑑賞できるところです。親が子供を連れていける。子供と一緒に劇場に出かけて、子供たちに情熱を与えることができると思います。クイーンの音楽は世代を超越していますから、子供たちにも理解できるはずです。そうやって、クイーンの音楽は永遠に生き続けるんです。日本の皆さんにも、同じように伝わることを願っています。」

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

ブライアン・メイ並のギターを弾く

記者から、実在の人物を演じるにあたって難しさを感じたかと尋ねられると、まずグウィリムが「はい(笑)」と笑う。

「責任とプレッシャーを感じました。ストーリーの中でブライアンを正しく演じることはもちろんですが、ファンの存在も気になりました。でもそれがかえってやる気になりましたね。プレッシャーを感じたときこそ集中です。これまでの仕事の中でも特に一生懸命取り組みました。僕たちみんな、やることは山程ありましたね。ブライアン並の腕前でギターを弾くとか(笑)。

開放感を感じられたのは、撮影の初期の頃、ブライアンとロジャーが現場に来てくださって、祝福してくださったことです。批判的な目を向けるのではなくて、受け入れてくださって、愛情を注いでくださいました。自由を与えられたようでした。」

どうすれば超人フレディを演じられるか

続けてラミ・マレックはこう説明する。

「脚本を読み進めると、22ページ目にこう書いてあったんです。”フレディ・マーキュリー、逆さまにピアノを弾く”。こんな難しいことがあるのかと(笑)。フレディって、何千万もの人を手の平で転がすような人です。僕にすれば超人ですよ。どうすれば人間として地に降ろすことができるのかと考えました。で、こう思ったんです。彼は何千万もの人を手の平で転がしながら、同時に誰かの手の平で包んで欲しいと願う人物なのだろうと。こう考えればフレディとつながれると思いました。フレディだって、人間臭い複雑さや、自分を見出すことに苦しんでいる1人の人間なんです。

それに、彼の始まりは地味な移民でもあります。18歳のころにロンドンにやって来て、両親はロックスターになって欲しいなんて考えもしなかった。むしろ弁護士か医者になってくれればと思っていた。僕の家族もエジプトからアメリカへの移民です。僕の両親も、東京でこのようなバスの前でフレディ役の記者会見をやるだなんて思いもしなかったでしょう(笑)。

つまり、不可能はないということだと思います。大変なことがあっても、やり遂げられるんです。今作には、偉大なる希望と信念を頂きました。」

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

熱狂的なファンの知識に驚き

ジョーも、伝説的なバンドのメンバーを演じるにあたってのチャレンジを、ユーモアたっぷりに話した。

「実在の人物を演じた経験はありますが、これほどの著名人は初めてです。大勢いるクイーンのファンの皆さんに対して責任を感じていました。

ひとつ、ジョンがダンスをしていたので、その動きを取り入れてみたことがあったんです。そうしたらその映像が予告編に使われて、ファンがSNSで”ジョンはこんな動きしないぞ”って書き込んでいたんです。そうしたら瞬間的に10人くらいのファンが、”1981年のモントリオールだ”ってレスしてたんです(笑)。何年何月何日のどの公演のどの動きか、ファンはそういうレベルで把握してるんですよ。

これこそが頑張る動機になりましたね。細部まで気にされるファンがいるんです。それが僕たちに課せられた責任。実在の人物を演じるには、モチベーションとエナジーがより必要になる。毎日、最善を尽くしました。」

フレディの母の話し方まで研究した

時間が迫り、次が最後の質問だと告げられると、ラミは「あぁー、最後ですか」と残念がった。そんなラミに渡された質問は、「フレディを演じるにあたって、最も参考になったもの」について。ラミは「ヒゲをつければ、それで充分」と笑いを誘い、次のように明かす。

「フレディ役は、しっかり時間をかけなければ無理だと思いました。時々、1週間の準備で足りることもありますが、この役の準備には1年かけましたね。

フレディの映像は全て見ています。ラジオインタビューも全て聞いて、ライブ映像も全てみました。日本でのライブも。日本のファンが撮った映像も見ています。

何よりも、彼は最も自発的なエンターテイナーだと思います。ステージ上だけでなく、私生活においてもそうです。全ての瞬間において、誰よりも目が離せないような人物でした。だから、彼の瞬間、瞬間を追ってはいけないと思いました。彼と同じように自発的である必要があるんだと。振付師はつけずに、動きの研究に没頭しました。フレディのアクセントがどこから来ているのかを知るため、彼の母親の話し方も研究しました。また、彼が小さい頃に観て、影響を与えたボブ・フォッシーや、歌手でダンサーのライザ・ミネリの研究もしました。

彼の動きって、まるで子供として楽しんでいるみたいじゃないですか。フレディはよく拳を突き出しますけど、(ここでラミが拳を突き出すと、カメラマンが一斉にカメラを向ける。)今もこうしてバッチリ撮ってもらっていますが(笑)、これは子供の頃に彼がボクシングをやっていたからなんですね。全て、彼が受け継いだものが発展した結果なんです。

僕はフレディをコピーしようと思ったことはありません。フレディ・マーキュリーの進化を突き止めようとしたのです。毎日絶えず取り組み、帰宅してからも続けました。プロとして努めた次第ですが、フレディという人間に対して裏切りがないよう、称えたいという思いでした。毎日あらゆる意味で、過去を超えるため、またクイーンという特別な存在に少しでも近づくべく、精進しました。」

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox

最後にラミは、「すみません、もうひとつだけ」として、全方位に向けた感謝の言葉を述べた。

「メイクアップ・アーティストやコスチューム・デザイナー、ライブ・エイドほかライブシーンを再現していただいた方々、プロダクション・デザイナーといった皆さんのおかげで今日があります。映画作りとは、多くの才能と個性が集まって出来上がるものです。伝説のバンドの物語を伝えるにあたって、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

20世紀フォックスにも感謝です。多くのスタジオが見送るなか、フォックスだけは信じてくださいました。今日こうしてここに来られたのも、フォックスのおかげ。日本のフォックスの皆さんも、頑張っていただいてありがとうございます。それから、今日のようなちょっぴり寒い日にお集まりいただいた皆さんも、ありがとうございます。」

『ボヘミアン・ラプソディ』来日記者会見
©THE RIVER

会見終了後、3人は写真撮影のため、クイーンの世界観を再現した内装と展示物が詰まったラッピングバスの車内へ。窓からひょっこり顔を出したり、自分が演じた役のプリントと並んで見せるなど、茶目っ気を振りまいた。撮影を終えバスを降りたラミは、たまたま通りがかったギャラリーに向かって「アリガトウゴザイマス」と声をかけるなど、愛嬌たっぷり。笑顔で手を振りながら、和やかなムードで会見を終えた。

ギャラリー

映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、2018年11月9日(金) 全国公開。

『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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