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もしも『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART4』が製作されたら ─ マーティとドク、2015年に出現していた

バック・トゥ・ザ・フューチャー
Photo by MsSaraKelly https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Graffiti_in_Shoreditch,_London_-_Back_to_the_Future_by_Graffiti_Life_(9422242223).jpg

もしも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985-1990)の続編が製作されたとしたら、観てみたい?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といえば、映画史に残るSFアドベンチャーの傑作シリーズだ。主人公のマーティと科学者ドク(エメット・ブラウン博士)がデロリアンに乗って、過去や未来を越えて胸躍る大冒険を繰り広げる。1985年に伝説的な第1作が公開されると全米で大ブームを巻き起こし、1989年に『PART2』が、1990年に『PART3』が連続公開された。

3部作として美しくまとまった『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の“その後”を、現代の最新技術を用いて新たに映画化するとしたら……?このトピックは、アメリカのファンの間でも交わされている。2018年に発表された調査では、「新作が最も望まれている映画」が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』であることも明らかになった1980年代のSFのロマンが詰まった昔懐かしい冒険の新たな復活を望むファンは多いのだ。

ドク役のクリストファー・ロイドも再演の意欲はあるようで、「(出られたら)うれしいです。4作目には出たいですよ」と口にしている。ただし、「ロバート・ゼメキス(脚本・監督)やボブ・ゲイル(脚本・製作)がもう一本やりたがるかどうか。それから一番大切なのは、二人が優れたアイデアを考え出せるかどうかです」とも配慮していた。

それでは、ロバート・ゼメキスやボブ・ゲイルのやる気はどうか。

ゼメキス監督は「ボブと私が死ぬまではありえない」と絶対に反対のようだ。実際にユニバーサル・ピクチャーズからリブート製作の打診を受けていたそうだが、断り続けているとのこと。ボブ・ゲイルの方も、「皆さん、やたらと続編を作りすぎてしまって、”あれは止めとけばよかったのにね”って言われているのを見たことがあるでしょう」というスタンスだ。

つまりゼメキス監督とボブ・ゲイルには、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を名作としてのまま残しておきたい、強いこだわりがあるのだ。ふたりは最近も続編の可能性について言及する機会があった。コロナ禍を受けて名作映画のキャストがオンラインで再結集する企画「Reunited Apart」に登場した際、企画ホストのジョシュ・ギャッドに「もしも新作が製作されるなら、どんなアイデア?」とのお題を出される一幕があったのである。

マーティの母ロレイン役のリー・トンプソンが「コロナ禍前の(2020年)1月に戻りたい」と時事ジョークを披露した後、ボブ・ゲイルは「ドクとマーティが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の新作が製作されると知って、そんなクレイジーなことをしようとする我々を止めに来る話」と皮肉。続いてゼメキス監督も「真面目な顔してボブにプレゼンできるようなアイデアがあったら、もうやってるよ」と言っていることから、続編製作の意志は今もさらさら無い様子だ。

2015年に帰ってきたバック・トゥ・ザ・フューチャー

一方、「(出られたら)嬉しい」とコメントしていたクリストファー・ロイドのように、キャスト陣は再演についてオープンだから、ちょっとした特別企画で新しい『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を楽しむ機会はある。

例えばマーティ役のマイケル・J・フォックスとクリストファー・ロイドのふたりは2015年、米人気トーク番組の「Jimmy Kimmel Live!」にゲスト出演して、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の再現劇を披露している。この放送日は2015年10月21日、『PART2』に登場した未来と同じ日付というわけだ。

この日の放送では、おなじみとテーマ曲と共に番組スタジオにデロリアンが出現し、中から本物のマーティとドクが大歓声に包まれて登場。「ドク、ここはどこだ?」「わたしの計算が正しければ、ここは2015年、未来だ!」「2015年だったら、みんな空飛ぶ車に乗っているはずだね」とやりとりするふたりに番組ホストのジミーが歩み寄り、「いえ、実際に空飛ぶ車は作られていないんです」と気まずそうに声をかけるコントを披露してくれた。

ふたりが「今の人たちはトイレの中でスマートフォンを使ってテレビを観るんです」と教えられて困惑したり、「中東はもう平和になったか?」と聞いて「いいえ」と返されてしまったり、初めて観るスマートフォンに「小さなスーパーコンピューターだ!」と目を丸くするなど、時代のギャップのユーモアを効かせたやりとりの数々でファンを楽しませた。

1980年代の名作映画の続編が製作されたり、新たにリブートされる企画は数多い。例えば『スター・ウォーズ』や『ターミネーター』、『ゴーストバスターズ』に『ブレードランナー』や『プレデター』……。クラシック作品からの新作は、ネームバリューを活かして大ヒットを記録することもあれば、往年のファンを幻滅させてしまうことも。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の希少性は、ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルの強い意志によって、1980年代の名作のままで保護されている。その伝説は、絶対に超えられないのだ。

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Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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