『バットマン vs スーパーマン』に『ヒート』の影響、ザック・スナイダーが振り返る

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)では、バットマン/ブルース・ウェインとスーパーマン/クラーク・ケントの禁断の対決が描かれたが、ここにはマイケル・マン監督の名作『ヒート』(1995)からの影響があったようだ。ザック・スナイダー監督と、脚本を共に執筆したクリス・テリオがバーチャル・イベントで話している。
『ヒート』は、アル・パチーノが演じる刑事ヴィンセント・ハナと、ロバート・デ・ニーロが演じる強盗グループのボス、ニール・マッコーリーの対決を描いたクライム・アクション。2大俳優が対峙する、171分の大作だ。
「僕たちとベン(・アフレック)で、マイケル・マンの『ヒート』について話したよね?」とテリオは切り出している。「パチーノとデ・ニーロが、ちょっとだけ一緒になるところ。あれを観て、バットマンにも同じトーンがあるよねって話があったね」。
これを受けてスナイダー監督も「そうだね!『バットマンvsスーパーマン』の最初のミーティングでも、『ヒート』の影響を取り入れるって話を少ししたよね」と認めている。

テリオの言う「パチーノとデ・ニーロが、ちょっとだけ一緒になるところ」とは、ふたりが演じる刑事ヴィンセント・ハナと犯罪者ニール・マッコーリーが、ダイナーでコーヒーを共にするシークエンスと見られるだろう。それまで殺すか殺されるかの大捕物を繰り広げていたふたりだが、夜のダイナーでは一対一の接触。お互い探りを入れながら会話を進めるうち、対極にいるはずのふたりは、価値観の似た者同士であることに気付いていく。リアリティを演出するため、リハーサルなしで撮影されたという逸話も残る、緊張感や妙な安心感の味わえる名場面だ。
パチーノ演じる熱血刑事のヴィンセント・ハナはこのシークエンスで、仕事のために家族や私生活を犠牲にしていることを話している。ハナをバットマン/ブルース・ウェインに置き換えることもできるだろう。犯罪組織のボスであるニール・マッコーリーをそのままスーパーマン/クラーク・ケントに置換することはできないが、対極のふたりが奇妙な形で向き合う『ヒート』のこの名場面の影響を、バットマンとスーパーマンの物語に取り入れようとするねらいには納得だ。あるいはバットマンにとって、宿敵ジョーカーとの表裏一体性というテーマに紐づけて考えられていたとしても、じゅうぶん頷ける。
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Source:JusticeCon