Menu
(0)

Search

マーベル・エンターテインメント C.B.セブルスキー氏インタビュー ─マーベル採用舞台裏、若手アーティストへの助言まで

マーベル 副社長 C.B.セブルスキー氏 インタビュー

とてもスペシャルなインタビューが実現した。

2017年4月7日(金)、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューにて、マーベル史上最大規模の大型総合展『マーベル展 時代が創造したヒーローの世界(以下マーベル展)』がオープンこれに合わせ、マーベル・エンターテインメント、シニア・バイスプレジデント&エグゼクティブ・エディター、トム・ブリーヴォートと、同社バイス・プレジデント、アジアにおけるブランド管理&開発担当のC.B.セブルスキーの両氏が来日。「マーベル展」プレオープン日の4月6日(木)にはプレスツアーが催され、両氏と共に会場を巡ることができた。その時のレポートはこちらから。

マーベル社バイス・プレジデントと巡る『マーベル展』徹底解説ガイド!『ホームカミング』劇中小物、コミック生原画まで全力レポート!

そしてこの度、両氏に1名ずつインタビューさせて頂くという、特別な機会を得ることができた。本記事でお届けするのは、C.B.セブルスキー氏へのインタビューだ。

セブルスキー氏といえば、2016年12月に開催された『東京コミコン』の際にも来日されており、日本カルチャーへの深奥な理解と尊敬を示しながら、「日本には優れたストーリーテリングの伝統があり、語るべき物語があるのだから、もっと世界に向けて発信すべきでは」と目の覚めるような語りで大きな反響を呼んだ。

あれから約4ヶ月が経った2017年4月、こうして直接対談させて頂き、改めてセブルスキー氏の深く大きな日本愛と、マーベルの持つ素晴らしい魅力に気付かされた。たっぷりお楽しみ頂きたい。

 


アーティストなら、自分のPRも大切です!SNSでの採用活動を通じて

中谷セブルスキーさんはTwitterを通じてアーティストを見つけ、そのまま採用に至ることもあるそうですね。こういったSNSを使った人事採用活動はアメリカでは普通だったりするんですか?

セブルスキー氏はい。今やより多くのアーティストたちがソーシャルメディアを利用しています。私は、いつも若いアーティストにこうアドバイスしています。“どれだけあなたにアートの才能があろうが、誰にも見られないなら何の意味も無い”、と。また、私は大学で講演することもあるのですが、若者たちにこう伝えています。”アートに集中してください。そして、自分自身のマーケティング・マネージャーになることも絶対に忘れてはいけません”

あなたは、自分自身のPRをしていかないといけない。どれだけ才能があっても、それを外の世界に発信しなければ、誰にも発見されずに終わります。アーティストには、残念ながらそれが得意でない人もいます。頭の中で考え込み、目の前のことに集中しすぎるあまり、その外側で自分を表現することができなくなってしまう。まるで、暗闇の中でひとりで絵を描いているようなものです。そこから抜け出してください。

今や、以前ほどコンベンションに売り込む必要もありません。作品を見せるなら、パソコンやスマホでも出来るんですからね。

もちろん、今でもコンベンション経由でアーティストを発掘しています。例えば、2016年12月の東京コミコンでは、3人のアーティストを採用しました。SNSのプロフィールだけでは、やはり人となりまではわかりません。一緒に座って、相手の眼を見ながら”これを描くのにどれくらいかかったんですか?”と聞けば、その人についていろいろなことがわかります。このあたりは人と人としての感覚ですかね。そういうわけで、今でもコンベンションでアーティストを発掘しています。

マーベルの製作に関わる人間は、毎月世界で1,500人?

中谷アーティストと会うためにアジア中を飛び回っているんですよね。

セブルスキー氏日本からシンガポールまで、それが私の担当地域です。

中谷日本人アーティストとは英語でやりとりをしているんですか?

セブルスキー氏半々ですね。何人かの方は少し話せます。あまり英語が得意でない方は、通訳さんやマネージャーさんと話す場合もあります。マーベルでの仕事は、コミュニケーションから脚本まですべて英語オンリーですから。

中谷しかし、世界各国のアーティストたちとコミュニケーションを取り続けるなんて、凄すぎますよね(笑)。一体どうやっているのですか?

セブルスキー氏そうですね、まずマーベルからは毎月80冊のコミックが発売されます。それぞれのコミックには6人の担当チームがついているので、全部で480人の人間がいます。2冊を同時進行することもあるので、2倍して約1,000人に上ることもあります。
この数字にはビデオゲームのデザイナーやカバー・アーティスト、グラフィック・デザイナーは含んでいませんから、それらもひっくるめると、毎月1,500人ほどの人々と仕事を共にしているということになります。それも世界中、フィンランド、サンパウロ、メキシコに東京、ジャカルタ。アーティストがあちこちにいるんですよね。

やりとりは大量のメール。これが一番楽なやり方ですね。図式やグラフ、チャート、それに深夜の電話も大量に。

中谷異国の地で信頼できるビジネス・パートナーを探さなければならないわけですが、ポイントは?

セブルスキー氏皆さん信頼できる方たちですよ。常に直接お会いするのが一番だと思っています。よく言われますように、結婚の前にはデートしないとね、ということです。相手となる企業の規模や認知度に関係なく、まずは小さなプロジェクトからスタートします。そこで、契約書はちゃんとすぐ作ってくれるかとか、支払いに遅れはないかとか、商品や成果物の質などを見極めて、問題がなければさらに大きなプロジェクトに進んでいくようなプロセスになります。

マーベルは今ではディズニー・ファミリーの一員です。私たちも初めてのことが多く、特にアジア圏において私たちはまだまだ新顔。対してディズニーには長年の経験があって、良いパートナーを知り尽くしています。映画、アニメ、ゲーム、グッズにおいても、ディズニーの同僚たちと共に進められるので、ビジネスとしては非常にやりやすいですね。

「子供たちの表情を見るのが何よりも嬉しい」

中谷アジア圏にマーベル文化を広めていくにあたって、一番嬉しい瞬間はなんですか?

セブルスキー氏一番嬉しい瞬間は…、世界中どこにいても同じなのですが、子供達の顔を見た時ですかね。コミックを読んで、映画館に出かけて、ゲームを楽しんで、それこそ、「マーベル展」に来てくれた子供達も。入場して、5メートルの大きなアイアンマンを見上げて、子供達が口をアングリ開けて見入っているんですよ。これこそ最高の瞬間です。スパイダーマンのコスチュームが展示してあるエリアでも、子供達が”スパイダーマンだぁ!うわぁ〜!”って駆け寄っていて…。私はそういう瞬間が見られるのが最高に幸せなんですよ。子供達にとって忘れられない瞬間になってくれて、生涯マーベルのファンになってくれたらいいな。

中谷では逆に、一番難しいこととは?

セブルスキー氏:成長速度に限度があることです。すべての国にはその国独自の文化が根付いています。多くの国々はローカル文化に集中しているので、外から持ってきた文化に対してあまりオープンではありません。本当はもっとマーベルを各国のテレビや劇場などで展開していきたいのですが、その国で生まれたコンテンツへの愛着の方が強いので、”マーベルよりもお国のコンテンツを”という風潮は感じています。

これは私たちに責任があると思っているので、啓発活動が必要だと考えています。マーベルって、派手なコスチュームを着て、スーパーパワーを持っているヒーローの物語だとよく誤解されてしまうのですが、それだけではないんですね。コスチュームの下の人間の物語なんです。ピーター・パーカーにトニー・スターク、スティーブ・ロジャース…彼らはみな人間で、心や人間性がある。ここをご理解いただければ、各国でももっと受け入れて頂けるんじゃないかと思います。難しいことだとは思いませんが、”挑戦”と捉えています。「マーベル展」を通じて、日本の皆さんにもマーベルの深奥さや歴史を知って頂ければ嬉しいです。

中谷僕が子供の頃、ピーター・パーカーは親友でした。

セブルスキー氏(感慨深げに)おぉ…。

中谷日本でももっとマーベルの楽しさが広まって欲しいと願っています。でも、僕の周りでもあまり映画やポップカルチャーを楽しんでいる人は少ないような気がしていて…。

セブルスキー氏他のみなさんはいつも何をしてるんですか?

中谷うーん、仕事をしているんじゃないでしょうかね。

セブルスキー氏だからカロウシになっちゃうんですね、働きすぎだ(笑)。解決策ができましたね、“カロウシになるな、マーベル映画を観に行け”ってね(笑)

世界が日本カルチャーに注目している

中谷日本人はグローバルに弱いのは英語が話せないからだと言われていますが、それよりも日本人が生真面目すぎて、海外の方と語るべき”共通の話題”を持っていないのが一番の問題だと思っているのですが…。

セブルスキー氏私は違う意見を持っていますよ。今や世界中が日本に注目しているじゃないですか。世界中の人々が日本を訪れているでしょう。日本がユニバースの中心だと思います。みなさんが思っている以上に、たくさんの人が日本を理解していますよ。私たちの間ではこんなジョークがあります。日本人とレストランに出かけると、“寿司って知ってる?お箸の使い方わかる?”と必ず聞かれるという。(注:つまり日本人が思っている以上にお寿司やお箸は欧米人にとって親しまれている、ということの例え)日本人はもっと、世界で自分たちの文化がどれだけ深く受け入れられているのかを自覚すべきです。日本の企業も海外ですごく根付いていますよ。古くはソニーが、今は食文化で言えば一風堂なんかも。どこ行っても一風堂がありますからね。ニューヨークでは”いきなりステーキ”がオープンして、ニューヨーカーたちが二時間半並んでるんですよ(笑)。こういう成功事例を、日本の企業や役者がもっと追随してくれることを願っています。


「マーベル展」会場においても、訪れたファンらとの記念撮影に気さくに応じるなど、ファンサービスに溢れるC.B.セブルスキー氏。日本への奥深いリスペクトを感じさせながら、時にマーベル社バイス・プレジデントの立場から、また時にはファンとして同じ立場から、ひとつひとつの質問に親身になって答えて下さった。

セブルスキー氏は、Twitterアカウント@CBCebulskiで世界中のファンらとのコミュニケーションを大切にしている。また、食べることも大好きなセブルスキー氏は、個人ブログ”EATAKUで、世界中で食べた美味しいものを記録するのも日課。

『マーベル展 時代が創造したヒーローの世界』は、2017年4月7日(金)〜6月25日(日)、六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー(六本木ヒルズ 森タワー52階)にて開催。会期中無休、10時〜22時(最終入場:21時30分)。入場料は一般¥1,800、高校生・大学生¥1,200、4歳〜中学生¥600、シニア(65歳以上)¥1,500。※展望台(屋上スカイデッキは別料金)、森美術館入館料を含む。

公式サイト:http://www.tokyocityview.com/marvel-exhibition/

©THE RIVER

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Comment

Ranking

Daily

Weekly

Monthly