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【ネタバレ】『チップとデールの大作戦』攻めすぎ爆笑カメオをぶっ込む ─ まさかの「黒歴史ネタ」が話題に

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ
©2022 Disney Enterprises. Inc.

この記事には、『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』のネタバレが含まれています。

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ
©2022 Disney Enterprises. Inc.

『チップとデールの大作戦』あのキモいソニックがまさかの登場

『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』の舞台は現代のロサンゼルス。(現実にも存在する)人気シリーズ『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』のヒットによってテレビスターになったチップとデールだが、2人はいわゆる「方向性の違い」ってやつで決別状態となっていた。今や、チップはサラリーマン生活、デールはCG手術を受け、昔の栄光に思いを馳せていた。

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そんな中、有名アニメのキャラクターたちが次々と誘拐され、海賊版にされて売り飛ばされるという事件が発生。姿を消したかつての仲間モンティを救うため、チップとデールは再びタッグを組んで、レスキュー・ミッションに乗り出す。

劇中、デールは少し懐かしい有名キャラクターたちが集う「ノスタルジア・コンベンション・サーキット」で、自身のブースを出展して商売をしていた。隣のブースは、なんと『美女と野獣』のルミエール。そして向かいに出展していたのは……「アグリー・ソニック」という名の、顔がキモいソニック・ザ・ヘッジホッグだ

ソニックといえばSEGAが放った世界的有名ゲームキャラとして知られ、最近では実写版映画も大ヒット。しかしこのアグリー・ソニックは、映画のデザインとはかなり様子が違い、妙に生々しい姿をしている。

アグリー・ソニックは「この前の映画じゃ“人間の歯だ”と大炎上した」と自虐。人々から散々馬鹿にされてきたらしいアグリー・ソニックだが、サッパリした性格で、今度はFBIと共同のリアリティ番組を持つという。デールはその意外な活躍に驚くが、それよりもやっぱり“人間の歯”にしか見えない不気味な口元が気になって仕方ない……。

アグリー・ソニックって何者?

映画『ソニック ザ・ムービー』で描かれた愛らしいソニックとは明らかに違う風貌のこのアグリー・ソニックとは一体何者?実はこの奇妙なソニック、2020年の実写映画化の際、(信じられないことに)一度あのデザインで実際に進められてようとしていたシロモノだ。当時のティザーポスターが残っている。

ソニック・ザ・ムービー
©2018 Paramount Pictures Corporation and Sega of America, Inc. All Rights Reserved.

製作側の意図としては、実写の現実世界に馴染ませるためにリアル路線にしたのだという。ところが、予告編やティザーポスターが公開されるや「これじゃない」「気持ち悪い」「怖い」と大ブーイングの嵐。YouTubeの公式予告編には低評価が高評価に対して2倍近く寄せられた。その映像もYouTubeで「sonic original trailer」と検索すると見つかるので、改めて観てみよう。

あまりの不評ぶりに、ジェフ・フラワー監督はTwitterでデザインを変更すると宣言。しかしその時点で、予定された映画の米公開日まで半年に迫っていた。メインキャラクターのCGデザインの大幅な修正となれば、それは映画のほぼ全編を作り直すのに限りなく近しい。土壇場で、前代未聞の異常事態となった。

そんな中、同じく人気ゲームキャラクターを初めて実写化した『名探偵ピカチュウ』が公開され大ヒット。原作通りのデザインで立体化されたピカチュウが人気を博した。『名探偵ピカチュウ』の監督であるロブ・レターマンもこの対岸の火事に対し、「自分だったらやりたくない。厳しい状況になりましたね……」と同情するほどだった。

その後、やっぱり修正が間に合わず映画の公開は延期に。約3ヶ月引き伸ばして、2020年2月への変更となった。世界はその後コロナ禍が到来し、公開延期はさほど珍しいことではなくなったが、この当時の製作都合上の延期は、今とは捉えられ方が違ったのだ。(ちなみに、公開日が遅かった日本はそのままコロナ禍に突入し、2020年6月まで待つこととなった。)

プロデューサーのティム・ミラーは後に、「僕は彼(ジェフ監督)に、“1番大事なことは、『僕は失敗しました』って言うことですよ”と伝えたんです」と明かし、最初のデザインが「失敗」であったことを暗に認めた。修正に踏み切ったことは「完全に正しかった」と振り返っている。

こうして、現在のバージョンである新デザインのソニックが無事に登場。人間みたいな歯が気にならなくなったことはもちろん、目の大きさや手脚、頭身もゲーム版に近いものとなり、改めての予告編が公開された。ファンも納得の仕上がりになったことで、ジェフ監督も「ありがとうございました」と胸を撫で下ろしたのだった

紆余曲折を経て、満を持して米公開された『ソニック・ザ・ムービー』は、ゲーム原作となる映画史上最高の興行収入を叩き出す大ヒットとなった。一時は監督に心配された『名探偵ピカチュウ』すらも超える記録となり、続編『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』まで公開される運びとなった(日本公開2022年8月19日予定)。かくして、実写版ソニックは世界中のファンに愛されるキャラクターとなった……。

ソニック・ザ・ムービー
©2019 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

──の、一方で。大不評を買って放り出された“アグリー(醜い)・ソニック”は、その不名誉な知名度を逆手にとって彼なりに活路を見出していた……。というのが、『チップとデール』の毒々しいユーモアだ。

アグリー・ソニックはお腹が少し出ていたので、たるんだ生活を送っていたことが窺える。会場ブースの壁面には彼のブロマイド写真が貼られていたが、これらは見たところボツ予告編の姿をそのまま流用しているようだ。

アグリー・ソニックの登場はカメオ程度かと思いきや、映画の後半にも大事な場面で再登場。意外にも物語のキーパーソンとなっている。つまり本作は、「セガ実写版ソニック映画のボツになったキモい方が出てきて、しかも地味に活躍するディズニー映画」なのである。

本作はアグリー・ソニックの他にも、ディズニー関連に収まりきらないイースターエッグの数々がブチ込まれていた。『チップとデール』がこんなにも破天荒な作品になるだなんて、一体誰が予想できただろう?

『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は、ディズニープラスで独占配信中。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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