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あのシーンだけじゃない!『キャプテン・アメリカ:シビルウォー』と『スターウォーズ 帝国の逆襲』の共通点を探る

「ねぇ知ってる?!超古い映画なんだけど、『帝国の逆襲』ってやつ!

氷の惑星で、ウォーカーにこうやってた!」


【注意】

この記事では、映画『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』のネタバレとなる内容を含んでいます。

https://quaedam.wordpress.com/tag/the-empire-strikes-back/
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『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』では、映画『スターウォーズ / 帝国の逆襲』のパロディとなるシーンがあった。

『帝国の逆襲』氷の惑星ホスにて反乱軍は、厚い装甲と圧倒的火力をもってエコー基地に向かって進撃する帝国軍のAT-ATウォーカーに対し為す術がなかった。スノースピーダーのブラスターではウォーカーを食い止められなかったのだ。
機転を利かせたルークはワイヤーケーブルをウォーカーの四本足に絡ませ転倒させるという作戦に出る。ルーク機はこの作戦の提案直後に被弾、後部席で砲手を務めていたダクを失いながらも、ローグ・スリーのウェッジと協力しながら敵機足元めがけケーブル発射。見事ウォーカーを落とす。

http://wegotthiscovered.com/movies/yet-another-piece-captain-america-civil-war-concept-art-empire-strikes-back-reincarnate/
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『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』では、空港におけるチーム・キャップとチーム・アイアンマンの戦闘時、上述のように高校生であるピーター・パーカー(スパイダーマン)が『帝国の逆襲』を「超古い映画」として持ち出し、巨大化したアントマン(=ジャイアントマン)対策としてこの「ワイヤー作戦」を実行する。
スパイダーマンがクモ糸をジャイアントマンの足に絡ませ、バランスを崩しかけたところにアイアンマンとウォーマシンがダブルパンチをお見舞いし、ジャイアントマンを沈めたのだ。

今や共にディズニー・ファミリーの一員となった『マーベル』と『スターウォーズ』を楽しい形でリンクさせる象徴的なシーンとなったが、『シビル・ウォー』と『帝国の逆襲』の接点は更に見つけ出すことができそうだ。海外ポップカルチャー・メディアBIRTH.MOVIES.DEATHの編集長、デヴィン・ファラシ氏はこの2作のエンディングには似たポイントがあると指摘する。この意見を元に考えてみよう。

暗いながらも希望を感じさせるエンディング

デヴィン氏が指摘する「共通点」とは、物語のフィナーレを包むトーンだ。両者とも、ダークでありながらも一筋の希望を感じさせるものであった。

どちらも根底には深い絶望が広がっている。『帝国の逆襲』では、盟友ハン・ソロがカーボン冷凍され、奪われた。そしてルークは右腕を斬り落とされ、ライトセーバーも失った挙句、父は殺されたのではなくダース・ベイダーこそが実の父であるという残酷な事実を知らされる。
「なぜ教えてくれなかった、ベン…」ルークに待っていたのはあまりにも暗い現実であった。

友を奪われた。そして悪が勝った。正義は叩きのめされた。
それでも、映画のエンディングは観客が希望を感じられる仕上がりとなっていた。義手を取り付ける手術を終えたルークは、新しい腕をレイアの肩に回し、C-3PO、R2-D2と共にミレニアム・ファルコン号を見送る。ファルコン号にはチューバッカと、新たな友ランドが乗っており、奪われた親友ハン・ソロを取り戻すべく飛び去っていく。そこには確かに希望があって、この後続く冒険の興奮を予感させるものだった。また物語の最高潮で区切りをつけ、『続きが見たくてたまらない』という渇望感を煽る脚本も見事だった。

http://www.bustle.com/articles/111531-star-wars-the-force-awakens-might-have-a-post-credits-scene-so-what-if-the-original-star
http://www.bustle.com/articles/111531-star-wars-the-force-awakens-might-have-a-post-credits-scene-so-what-if-the-original-star

『シビル・ウォー』のエンディングも、この手法とよく似ている。こちらの場合は、どちらが善でどちらが悪かを決めつけることはできないが、物語終盤のトーンは明らかに重苦しいものであった。
トニーにとっては、両親を殺害した犯人がスティーブがかばうバッキーであることが判明してしまい、何よりもスティーブがそれを隠し続けていた事実が辛い。父についての真相をオビ=ワンがルークに隠していたように。

スティーブがシールドをトニーに突き刺そうとする瞬間、トニーは間違いなく「彼は自分の信念のために、本気で私を殺す気だ」と直感している。デヴィン氏は、『バットマンvsスーパーマン』でのヒーロー同士の殺し合いは自然なものと言えるが、MCUの場合彼らは共につるんだりパーティーもする仲であったはずであるのに、という違いを指摘している。

スタークはスティーブに盾を置いていけと告げ、彼もそれに従う。ヒーローが自らの象徴を捨て去るというのはただ事ではない。それはヒーローとしての己のアイデンティを失い、これまでの目的を失う事を意味している。このシーンはキャプテン・アメリカの引退を示唆しているという声が挙がるのも無理はない。

 

しかし、『帝国の逆襲』同様、物語は完全な闇の中で幕を下ろしたわけではない。そこには確かに希望があった。
スタン・リー扮するFedEX配達員によって、トニーの元にスティーブ・ロジャースから小包が届く。配達員は「トニー・スカンクさん?」と呼び間違えているが、あれはきっと彼の老眼による間違いではない。スティーブがわざと「スカンク」と書いたのだろう。(英語ではスカンクではなく”Stank”)ギリギリの殺し合いをし合った相手に対し、かつての「おふざけ」のきっかけを先に与えたのはスティーブの方だった。

小包には、携帯電話と共にスティーブからの手紙が入っていた。その内容はこうだ:

「トニー

本部に戻ったようで良かった。家でひとりきりでは寂しいだろう。
人には家族が必要だ。アベンジャーズは君の家族だ。僕の家族である以上に。

僕は18歳のときからひとりだった。どこに所属してみても、馴染めなかった…軍隊でも。
僕が信じているのは組織ではなく、一人ひとりの個人だ。
僕が信じている人達には、裏切られた事はない。
だから僕も裏切りたくない。

鍵を取替えたいだろうが、そのままにしておけ。
君を傷つけてしまった。ご両親の事を黙っていたのは君のためだったんだが、僕自身を守るためだったのかもしれない。
すまなかった。いつか分かってくれたらと思う。

できれば協定にサインしたかった。本当だ。

君は信じた道を行け。
それぞれ、信じた道を進もう。

これだけは言える。何があっても、僕らを…僕を必要とした時は…
駆けつけるよ。」

絶望的とも見られたスティーブとトニーの関係性だが、最後はスティーブ側から手を差し伸べることで一段落する。袂は分かつ結果に終わってしまったが、まだお互いは信用し合っている。それは決して綺麗事ではない証拠に、スティーブは連絡用の携帯電話という極めて実用的で具体的なアイテムを同梱した。

悪玉バロン・ジモはまだ生きていて、意味深な言葉を残す。ヒーローの親友バッキーはハン・ソロよろしく冷凍凍結され表舞台から消える。
しかし物語の最後は、ルークとレイアが笑顔だったように、スティーブからの贈り物を受けたトニー、そしてスティーブを出迎えるサム・ウィルソン(ファルコン)の笑顔でエンドロールを迎える。まだ、希望はあるのだ。

トニーとスティーブの友情はここで和解したと筆者は考えている。彼らの間にあった最大の障壁とは、ソコヴィア協定を巡る考えの違いではなく、トニーの両親の死に関する真実をスティーブが知りながら黙っていた事だ。彼は手紙でその事をはっきり謝罪しているし、トニーもそれを少なくとも拒否しているようには見えない。

さて、『帝国の逆襲』に続く『ジェダイの帰還』でルークは未だ見ぬ最大の敵ダース・シディアスと対峙した。同じく『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』では、彼らが未だ経験したことのない最強の脅威サノスの魔の手が差し迫ることになる。
ダークながらも新たな希望の道筋を垣間見させて終えた『シビル・ウォー』に続いて、どんな世界を切り開いてくれるのか。『ドクター・ストレンジ』などMCU作にも注目しながら、楽しみに待つとしよう。

Source:http://birthmoviesdeath.com/2016/09/21/about-that-phone-at-the-end-of-captain-america-civil-war

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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