『シビル・ウォー』にアイアンマンが登場しない可能性あった ─ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』に続く伏線誕生の舞台裏

「友情が友情を切り裂く」アベンジャーズ禁断の戦いを描いた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)は、「ソコヴィア協定」の是非をめぐってキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースとアイアンマン/トニー・スタークが対立した。大まかな構図は原作コミック「シビル・ウォー」通りではあるが、実写映画が必ずしもコミック通りになる保証はなかった。ジョー&アンソニー・ルッソ監督が米Varietyに語ったところによると、アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.が本作に無事出演できたのは、彼らによる交渉の賜物だったという。
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というのも、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はそのタイトルから分かるように、キャプテン・アメリカのシリーズに属する作品。アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.とマーベル・スタジオの契約には含まれていなかったのだ。それも、劇中では主人公であるキャップと対立する役割で、ジョー・ルッソ監督の表現を借りれば「悪者(a bad guy)」の役。これもあって、「ロバート・ダウニーを説得する必要があった」とジョー。アンソニー・ルッソによれば、「マリブで何度も会議をした」という。
ジョー・ルッソの回顧によれば、製作陣はロバート・ダウニー・Jr.に「今回はとてもリスキーなことに挑みます。(アベンジャーズを)解体して、エッジを効かせて、ストーリーに緊張感を持たせるんです」といった調子で『シビル・ウォー』の概要を熱弁。「演じるのはヴィランだけど、これで今後の作品数本がもっと面白くなるんです」と売り込んだという。
結果として、『シビル・ウォー』では「チーム・キャップ」と「チーム・アイアンマン」の陣営に分かれたアベンジャーズ分裂の戦いを描き、決別したスティーブとトニーは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でも再会を果たさず、『エンドゲーム』まで持ち越しとなった。2人の関係の行方が大きな見どころのひとつとなっていたから、今となってはトニーが登場しない『シビル・ウォー』というのは想像もつかない。
ファンが期待する物語を映像化するには、このような知られざる苦労がその舞台裏には数多あるのだろう。マーベル・シネマティック・ユニバースはこうした努力を11年間分連ね、『アベンジャーズ/エンドゲーム』という大作を贈り届けてくれた。スクリーンに登場するひとりひとりのヒーローの存在感を噛み締めよう。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
Source:Variety