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『007』降板のダニー・ボイル監督、大作映画は「向いていない」と実感 ─ 「いい勉強になりました」

ダニー・ボイル
Photo by Cheryl Corman https://www.flickr.com/photos/montclairfilmfest/46888208605/ Remixed by THE RIVER

『007』シリーズ最新作『BOND 25(仮題)』を2018年8月に降板したダニー・ボイル監督が、同作での経験を振り返った。

ボイル監督は『トレインスポッティング』(1996)や『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)、『スティーブ・ジョブズ』(2015)などで高く評価される、スタイリッシュな映像や作家性の強さで、映画ファンから厚い支持を受けるクリエイター。2018年5月に『BOND 25』に就任したが、プロデューサーとの創造性の不一致によって企画を降板。後任者には『ビースト・オブ・ノー・ネイション』(2015)のキャリー・ジョージ・フクナガ監督が就任し、2019年6月現在、撮影が進められている。

最新作『イエスタデイ』のため、英Metroに登場したボイル監督は、『007』での経験について「(大作映画に)僕は向いていないですね」と振り返った。「いい勉強になりました。でないと、また同じ失敗をしてしまう。メインストリームのシリーズ映画はやらない方がいいんだな、というのが正直なところですね」。

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2019年3月の時点で、ボイル監督は英Empireにて「(『007』を通して)自分自身について多くを学んだ」と語っていた。その際の教訓が、“大作映画に自分は向いていない”というものだったのだろう。しかし当時のインタビューで、ボイル監督は、自身の企画していた『007』最新作は「すごく良い内容だったと思います。完成させられませんでしたが、とても良いものにできたんじゃないかと」とも語っていた。

「本当に一生懸命やりましたが、彼ら(プロデューサー陣)は僕たちと同じ道を行きたがらなかった。だから離れることを決めたんです。でも、それがどんな内容だったかを言うのはアンフェアになりますね。僕たちはキャリーがどんな映画を作ろうとしてるのか知りませんから。彼からはとても良いメッセージをもらいましたし、僕からは成功をお祈りしました。…(実現できず)とにかく残念ですよ。」

降板後、ボイル監督と脚本家のジョン・ホッジによる脚本はお蔵入りとなり、アイデアだけはニール・パーヴィス&ロバート・ウェイドによる新脚本に活かされたと伝えられている。ちなみにボイル監督が参加していた際、悪役は中東系の人物だとして、モロッコ系の『ワンダーウーマン』(2017)サイード・タグマウイが起用されていた。現在の『BOND 25』で悪役を演じるのは、エジプト系の『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)ラミ・マレック。俳優は変更されたが、悪役のルーツが中東にあるという設定はボイル版から継続されているようだ。ただし、人物の設定やストーリーにどれほどの変更が加えられたかはわからない。

なお『BOND 25』は、現役を退きジャマイカにて穏やかに暮らしていたジェームズ・ボンドが、旧友のCIAエージェントであるフェリックス・ライターの訪問を受け、誘拐された科学者を救い出してほしいと依頼するストーリー。想像を超えるミッションの中、ボンドは最新技術を操る正体不明の敵へと導かれていくことになるという。

映画『BOND 25(仮題)』は2020年 日本公開予定。

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Sources: Metro, Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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