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『パシリム:アップライジング』監督、アンチの声に「ライアン・ジョンソンやザック・スナイダーも頑張ってる」

『パシフィック・リム:アップライジング』ジョン・ボイエガとスティーヴン・S・デナイト監督インタビュー
©THE RIVER

Netflixドラマ「デアデビル」(2015)や、『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)で知られるスティーブン・デナイト監督が、Twitter上で繰り広げた”アンチ”とのレスバトルを機に、意義深いコメントを残している。

「嫌なら見るな」

ことの発端は、実写映画化が噂される人気ゲームの『ゴッド・オブ・ウォー』の話題。スティーブン監督はこの企画に関心を示しており、主演にはデイヴ・バウティスタを起用したいという具体的なプランまで飛び出していた


Twitterユーザーの@jorgeaba19はこれに反対する。どうやらこのユーザーは、デナイト監督がシリーズ前作のデル・トロ監督よりバトンを引き継いだ『アップライジング』が好みでなかったようで、同監督による『ゴッド・オブ・ウォー』実写化に強い反意を抱いているようだ。

「スティーブン・デナイトよ、頼む、マジで頼む。あんたは『パシフィック・リム:アップライジング』を駄作にしたんだから、『ゴッド・オブ・ウォー』の映画化なんて絶対に考えないでくれ。サンタモニカ・スタジオ(ソニー)も、この男に映画化させるんじゃないぞ、頼む。」

これに対して、デナイト監督は強い口調で反論。監督は普段よりTwitter上でファンとのコミュニケーションに積極的であったものの、このように毅然としたレスを返すことはそう多くないはずだ。

「まず一つ目に、礼儀をわきまえろ。二つ目に、映画がどうやって作られるのかを勉強しろ。三つ目に、君は僕が20年間この仕事を続けてきて、ネット上の輩の声で挑戦を止めると本当に思うか?嫌なら見るな。

ライアン・ジョンソンやザック・スナイダー引き合いに

もちろん、『アップライジング』をどう受け止めたかはファンひとりひとりに委ねられる。実際、穏やかでないレスバトルを聞きつけて、デナイト監督のファンらは「『アップライジング』は一作目より楽しかった。アンチは気にしないで!」「『アップライジング』はiTunesで配信されてから、ほぼ毎日観てるよ!」などの好意的な声を寄せている。

しかし、なぜデナイト監督は、無視すれば良いような批判の声をわざわざ拾い上げ、強い口調で反論するに至ったのか。「急にアンチに食いついて、どうしたんですか?」と尋ねる声に対し、監督は「ライアン・ジョンソンやザック・スナイダー、その他大勢の僕が尊敬する人たちも頑張ってるんだから、僕にも出来る!」と答えている。

『パシフィック・リム:アップライジング』ジョン・ボイエガとスティーヴン・S・デナイト監督インタビュー
『パシフィック・リム:アップライジング』スティーヴン・S・デナイト監督 ©THE RIVER

ここでデナイト監督が指摘しているのは、SNS時代における映画監督/クリエーター対アンチによる対立構造の最新例だ。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』脚本・監督のライアン・ジョンソンは、その賛否分かれる映画の内容から一部ファンによる厳しい批判にさらされ、映画公開直後からこうしたヘイトスピーチとの付き合いを余儀なくされていた。
この騒動は映画の出演者にまで飛び火し、アジア系ヒロインのローズ・ティコを演じたケリー・マリー・トランのSNS個人アカウントに差別や誹謗中傷のコメントが殺到。耐えかねた当人がアカウント上の全投稿を削除することでタイムラインを去ってしまい、ライアン監督らも遺憾の意を表明するにまで至っていた

ザック・スナイダー監督は、『マン・オブ・スティール』(2013)から『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)をはじめとするDCコミック原作の実写映画を手がける重要人物で、DC映画におけるダークでシリアスな作風 ──観客によって好みが大いに分かれ、対マーベル映画の明暗を分かつもの──を決定付けたといっても過言ではない。ザック監督もまた、DC映画シリーズの興行成績を引き合いに、批評にさらされることの多い人物だ。デナイト監督は、この2人の監督の名を挙げながら、“アンチ”の誹謗中傷にくじけない精神を語っているのである。

ただし、ライアン・ジョンソンとザック・スナイダー共に、彼らの作品を高く評価し、強く支持するファンらが大勢いるのだと、ここで強調しておく。事実、熱心なDCファンと見られる@The_Meatball_84はこの件に対し、「ザック・スナイダーが叩かれている、というのは真実じゃない」と弁明する。

「10年後には、ザック・スナイダーはマスターとして見なされると思うよ。ジェームズ・キャメロンやクリストファー・ノーランの2人だって、先見の明があったと言うはず。僕が思うに、彼は新たなデヴィッド・フィンチャーだ。『バットマンvsスーパーマン』だって傑作だった。」

もし90年代にネットがあったら

ダークな世界観で知られるデヴィッド・フィンチャーもまた、映画監督として”数奇な人生”をたどる人物だ。映画監督デビュー作となった『エイリアン3』(1992)は制作中からトラブルが多発し、公開後には「シリーズ最高駄作」の烙印を押される。しかし『セブン』(1995)『ファイト・クラブ』(1997)の成功で一気にイメージアップを果たし、名監督として現在に至っている。「僕はフィンチャーのことをよく考える。」デナイト監督は思いを馳せる。

「もしも『エイリアン3』(1992)当時、今みたいにネットがあったらどうなっていただろう。もしも彼が、批判やファンの声やガヤを聞いていたら、折り合いがつけられずにTVコマーシャルやミュージック・ビデオの仕事に戻っていたのではないだろうか。『ファイト・クラブ』(1999)や『セブン』(1995)も、世に出なかったのではないか。

他の素晴らしい映画もそうだ。一打席目でいきなりホームランを打つフィルムメーカーもいるし、そうでない場合もある。いずれにせよ、挑戦したということに、極めて重要な学びとしての意義がある。成功失敗問わず、僕はそこから得られる学びを大事にしている。」

一方そのころライアン・ジョンソンは

ところで、『最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督は、アンチから殺害予告を受けてもなお「最初は怖かったですが、人々が怒っていることにも誇りを持つべきだと気づきました」とポジティブにとらえ、こうした批判の声は「全員の希望を叶えようとうまく処理するなんて不可能」ゆえのものであると割り切っていた

デナイト監督はこうした”鋼メンタル”を敬ったのだろう。しかし非常にタイミングの悪いことに、「ライアン・ジョンソンも(アンチとの付き合いを)頑張っているんだ」とデナイト監督がツイートするわずか13分前、ライアンはこんなつぶやきを投稿してしまっていた。

「クソ野郎どものブロック開始。チョーーー気持ちいい。」

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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