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マーベル・スタジオ「多くを学んだ、ドラマ『エコー』は物語を最後まで描き切る映画的構成に」

エコー
Alaqua Cox as Maya Lopez in Marvel Studios' Echo, exclusively on Disney+. Photo by Chuck Zlotnick. ©Marvel Studios 2022. All Rights Reserved.

マーベル・スタジオが原点回帰を意識した。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で、複数の映画やキャラクターが共演するという“ユニバース”構造を発明した彼らだが、一方でユニバース拡張を試みる際には弊害も生じていた。

それは、ストーリーラインがあまりにも乱立し、複雑化したことだ。マーベル・スタジオはコロナ禍による小休止を経て、2021年ごろより製作ペースを一気に高めた。ディズニープラスでのドラマ作品の配信も開始すると、一年に9本ものリリースを行う年が連続した。

これは、観客の疲弊や、リソース不足による品質低下を招いた。映画の興行収入は低下し、『マーベルズ』はMCU始まって以来の赤字作品となった。

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2024年1月10日よりリリースする新ドラマ「エコー」では、他の作品を見ていなくても楽しめる、ストリート・レベルの物語を描くという新機軸。スタジオがこの作品に懸ける思いは強い。直近の試練から、「多くのことを学びました」と、マーベル・スタジオのエクゼクティブ・プロデューサー、ブラッド・ウィンダーバウムは語っている。「エコー」の現地記者会見での発言を、米Comicbook.comが報告している。

「たくさんのコンテンツを、非常に素早く製作しました。そして我々は、もともと映画製作会社なのです。ですので、最初のラウンドの番組(=「エコー」)では、非常に映画的な構成になっていることがお分かりになると思います。つまり、キャラクターの物語を最後まで描き切るということです。独立したリミテッドシリーズのように感じられることでしょう。」

ドラマ「ミズ・マーベル」や「シークレット・インベージョン」では、一応の物語を完結させながら、映画『マーベルズ』へと誘導するような作りになっていた。また、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、ドラマ「ワンダヴィジョン」で描かれた出来事を知っておくことが事実上必須となる内容だった。今やマーベル・スタジオのドラマは、映画に対するブリッジのような役割となっていることが少なくないのだ。

「エコー」ではこうした構造から離れ、起承転結が整った独立作品になるということだ。全5話を一挙配信するというMCUドラマとしては初の試みも、映画的な鑑賞体験を促したい狙いがあるのだろう。

このほかマーベル・スタジオは、2025年配信予定のドラマ「デアデビル:ボーン・アゲイン」の大部分の撮影を終えてから製作チームを刷新し、テレビドラマの伝統的な製作手法に則ってショーランナー(シリーズの製作過程全てを統括する役割)を起用して再挑戦に至っている。改めて、基本に忠実であることの重要性が認識されているようだ。

ドラマ「エコー」は2024年1月10日よりディズニープラス独占配信。

Source:Comicbook.com

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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