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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』アイアンマンの◯◯に秘められた◯◯ ─ なぜ◯◯◯◯だったのか、監督と脚本家が完全解説

アベンジャーズ/エンドゲーム
ⒸMarvel Studios 2019

この記事には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれています。

トニー・スタークという人間の物語

The New York Timesのインタビューにて、脚本家のマルクス&マクフィーリーは、トニーの物語に別の結末を用意することは考えなかったと明かしている。マクフィーリーは『エンドゲーム』について、「トニーの最後の作品になることは誰もが分かっていた」と述べているのだ。しかし、トニーの死はマーベル・スタジオ側が要求したものではなく、あくまで物語上の必然にのっとった結果。マルクスいわく「死なせずに済む良い理由があったなら、そちらの結末を楽しんでもらっていたでしょう」

二人が強調するのは、トニー・スターク/アイアンマンとスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカの物語が常に鏡のような関係であることだ。それゆえマクフィーリーは、『エンドゲーム』の結末には「非常に力が入った」と米Fandangoにて語っている。

「MCUを振り返れば、スティーブとトニーは、それぞれ人物として完成するにつれて別々の道を進んでいました。スティーブの物語で大切なのは、自分の人生を見つけるということ。長いあいだ他者のために生きてきたスティーブは、いつになったら自分自身の人生を生きられるようになるのか。利己的でないとはどういうことか、いかにしてその境地に至るのか

その一方、トニーは自分本位のプレイボーイから、他者のために生きる人へと変わっていく。自ら進んで、自分の人生を犠牲にするようになっていくんです。二人の道は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)の中盤で交わっていますが、結末にふさわしいのは、トニーが以前(『アイアンマン』)と同じように、自分の意志で、自分の人生を差し出すこと。そしてスティーブは先へ進み、人生を手に入れるということでした。」

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(c)2018 MARVEL

『アイアンマン』ではエゴイスティックな武器商人だったトニーは、自分の命が危機にさらされたことをきっかけに、アイアンマンとしてヒーローの道を進んでいく。自分自身と折り合いをつけながら、時にはエゴイストだと批判されながら、その自己愛すらも武器として、他者のために戦うヒーローになっていくのだ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)や『シビル・ウォー』で見せた、キャプテン・アメリカとの間で妥協できない姿は、その最たるものだっただろう。しかし『エンドゲーム』において、妻や娘との生活を守ろうとしていたトニーは、自分の人生を差し出して、すべてを守ることになる。

USA Todayにて、ジョー・ルッソ監督は「最後にトニーは最大の犠牲を払うことを決断し、そして敵を葬るんです」という。「『アイアンマン』第1作でのトニーと、その最期を見比べてみてください。これは映画史上、最も優れた物語のひとつだと思います」

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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