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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』初期脚本、ブラック・ウィドウに複数の別アイデアあった ─ 冒頭設定からホークアイとのシーンまで

アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK 写真:ゼータ イメージ

惑星ヴォーミアにサノス軍が登場

米国のポッドキャスト「Happy Sad Confused」に登場したルッソ兄弟は、『エンドゲーム』の脚本について「クリストファー・マルクス&スティーブン・マクフィーリー(脚本家)、そしてケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)と一緒に、ありとあらゆるシナリオを検討しました」と語っている。そして、「映画に登場したシーンにもいろんなアイデアがあった」と。

ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの場合、その代表的なシーンは惑星ヴォーミアで自分を犠牲にする場面だ。ナターシャとクリント・バートン/ホークアイは、ヴォーミアにて番人のレッドスカルから「ソウル・ストーンを手にするには愛するものを差し出さねばならない」と語られる。二人はお互いに自分が命を絶つと決め、相手を死なせるまいと争った。しかし最後には、崖から飛んだクリントをナターシャが押さえようとしたため、二人そろって崖からぶら下がる。クリントは懸命に訴えるが、ナターシャは真っ逆さまに落ちていったのだ。

ジョー監督は、ヴォーミアにおけるブラック・ウィドウとホークアイのシーンには「別のバージョンがあった」と明かす。二人の争いではなく、さらに複雑なシーンにすることが検討されていたのだ。

(ヴォーミアに)サノス軍が現れ、ブラック・ウィドウは厳しい試練を受けるんです。崖から飛び降りるという試練とともに、彼女は(サノス軍に)銃撃されることにもなる。ですが、それではこのシーンで一番大切なところに集中できないと思ったんです。つまり、友情関係の二人がいて、そのうち一人は死ななければならず、お互いに自分が死ぬ側になるんだと戦う。ここから焦点が逸れていってしまうんです。」

こちらのバージョンでどんなセリフが語られ、どんな展開が待っていたのかはわからない。しかしサノス軍とナターシャ&クリントがソウル・ストーンの争奪戦を繰り広げていたとすれば、二人の命とソウル・ストーン、自分たちの目的とサノス軍の追手という要素が絡み合っていたとも考えられる。なお、監督たちが完成版の展開を選んだのは、ナターシャとクリントに絞り込むほうが「よりエモーショナルで、より物語にふさわしい」との理由だったそうだ。

惑星ヴォーミアのシーン、徹底解説

ナターシャ&クリント、モラグにも登場

同ポッドキャストでは、ナターシャ&クリントが初期脚本では惑星モラグでのミッションに参加していたことも明かされている。

映画本編ではナターシャ&クリントはモラグに一時降り立ち、ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシンとネビュラを送り出したのち、二人でヴォーミアに向かっている。しかし当初の案では、4人が揃ってパワー・ストーンの回収に動いていた。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)冒頭、ピーター・クイル/スター・ロードの登場以前を狙ってモラグを訪れたところ、惑星全体が水に浸かっているという設定だったのだ。

監督によれば、モラグという惑星には潮の満ち引きがあり、クイルの登場以前はちょうど陸地が水没しているという展開だったそう。そこで4人は、パワー・ストーンを目指し水中を通って寺院を目指すのだ。ジョー監督いわく「ブラック・ウィドウとホークアイ、ネビュラ、ローディの全員が関わるアクションシーンだった」。ちなみにアンソニー監督によれば、初期のアイデアには「巨大なアナゴが出てくる可能性があった」という。

ともあれ、モラグのシーンは結果的に大幅改変された。チームは二手に分かれ、最終的にローディがクイルを殴って気絶させるというシンプルな展開になったのだ。そのきっかけを、ジョー監督はこのように振り返る。

「ある時、“何をやってるんだろう?”と思ったんです。クイルがいるじゃないか、クイルを登場させて、ぶん殴ってから先にストーンを持っていけばいいんだって。」

ちなみに脚本家のスティーブン・マクフィーリーも、この決断については「ピーター・クイルの顔面をパンチするのは絶対に面白いと思った」と以前語っていた。クイルの扱いよ……。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。