『ワイルド・スピード』スタントマン転落事故、製作陣に1.5億円の罰金 ─ 命綱外れ8メートルの高さから落下、脳損傷患う

ハリウッドの人気アクション映画『ワイスピ』シリーズ第9作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021)の撮影中に発生したスタントマンの転落事故を受け、製作陣が英裁判所から80万ポンド(約100万ドル)の罰金を課せられたことがわかった。米BBCが報じている。
2019年7月、英ハートフォードシャーにあるワーナー・ブラザース・スタジオで行われていた撮影中、スタントマンのジョー・ワッツが8メートルの高さからコンクリートの床に落下。ワッツは脳への損傷を患った。
既報によれば事故発生時、ヴィン・ディーゼル演じるドミニク・トレットのアクションシーンのリハーサルが実施されていた。建物のバルコニーで行われた該当のシーンでは、ワッツが相手役のスタントマンから投げ飛ばされるスタントが組まれており、リハーサルは何度も行われていたが、撮影直前になってスタントの内容に変更が生じたという。
変更後に実施されたリハーサル中、ワッツの胸部に取り付けられていた命綱は外れ、当人は地面へ垂直落下。地面に敷かれていたマットの位置もずれていたと伝えられている。
英国安全衛生庁(HSE)は、ユニバーサル・ピクチャーズの子会社であるFF9 Picturesを相手取った訴訟を起こし、被告側も過失を認めたとのこと。タルウィンダー・バター判事は、直前でスタント内容を変更した上に然るべき対応がなされていなかったことを「思いがけないことだ」と非難し、罰金80万ポンド、日本円にして約1億5,037万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
ワッツは、英国拠点のスタントグループThe British Stunt Registerに所属し、2016年頃からスタントマンとして活動をスタート。「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)や『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)、『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017)といったメジャー作品に参加していた。