Menu
(0)

Search

「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のストーリー、コロナ禍でどう変わったか ─ 脚本家「もともとの要素を現実に繋げた」

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズファルコン&ウィンター・ソルジャー(2021)は、もともと『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を経て、最初に配信されるテレビ作品となるはずだった。「ワンダヴィジョン」(2021)と順番が入れ替わったのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、撮影の中断を余儀なくされたためだった。

では、コロナ禍によって「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の物語に大きな影響は生じなかったのか? この問いかけに、監督のカリ・スコグランドと、脚本・製作総指揮のマルコム・スペルマンが答えた。

この記事では、ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の内容に言及しています。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

コロナ禍で変わったこと、変わらなかったこと

「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の撮影は2019年10月にスタートし、2020年3月にコロナ禍の影響で中断。情勢を鑑みつつ、同年の夏ごろに撮影は再開され、10月23日に終了した。ファンの間では、コロナ禍を受けて“ウイルスにまつわるストーリーが削除されたのではないか”との噂も流れたが、スコグランド&スペルマンは口を揃えてこれを否定している。

ポッドキャスト「Fade to Black」にて、スペルマンは削除されたストーリーがあったことを認めつつ、「パンデミックとは無関係だった」と述べていた。「コミックでやってもらえないかと思っているんです。ケヴィン(・ファイギ)はやってくれると思うから。それに、この話はしないで欲しいと言われていますしね」

スコグランド監督が米Colliderに語ったところによると、撮影の中断以前に撮り終えていたのは全体の75%ほど。エピソード単位ではなくシリーズ全体を同時に撮影したため、ストーリーを大きく変えることはできず、テーマもそのまま維持したという。ただし、製作チームは中断期間を利用して編集作業に取り組み、シリーズの全体像を把握。そこで、今後どんなシーンが必要なのかを検討し直し、再開後の撮影に活かしたのである。

「変えた部分はキャラクターの微調整だけだったと思います。カーリ(・モーゲンソウ)をもう少し描きたくて、カーリとドヴィッチ(注:フラッグ・スマッシャーズのメンバー)が、血清を打ってどうだったかと話すシーンを追加しました。彼らの人物像や歴史をもう少し感じ取りたかったし、二人が考えていること、感じていることに迫りたかったんです。[中略]

それから、ジョン・ウォーカーの考えを掘り下げるために、ウォーカーとレマーの場面も追加し、調整したように思います。撮影の中で、ウォーカーがどんな人間なのかが分かりました。彼はあらゆる意味で、正しいことをしようと熱心な男。ただ、そのための手段と精神を持っていない。そんな内面に、レマーとのやり取りを深めることで踏み込めたと思います。」

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
© 2021 Marvel

ただし、スコグランド監督が「あくまでキャラクターに基づく調整がすべてだった」と言う一方で、脚本家のスペルマンはコロナ禍を作品に反映しようとしたことを米Deciderにて認めている。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で描かれた“指パッチン”の余波に焦点を当てたことで、本作は「世界が混沌に陥り、地球全体が同じ問題を抱えたらどうなるか」という物語になった。これが図らずもコロナ禍の世界に大きく重なったのだ。

「コロナ禍で撮影が中断された時、“やってやろう”と。もともとストーリーに入っていた要素を、もっと直接的にコロナ禍と繋ぎました。本当に偶然なのですが、最初から近い内容ではあった。中断されてから、はっきりと比較して考えたのです。」

ちなみに本作では、コロナ禍との類似のみならず、フラッグスマッシャーズとQアノン(極右の陰謀論)にまつわる現実が似ていることも指摘されていた。スペルマンはこれも偶然だとしながら、「僕たちの誰もがポップカルチャーに集中していたから、としか言いようがありません」と説明している。「僕が“ポップカルチャー”と言う時、それはエンターテインメントだけを指すわけではありません。“カルチャー”とは、この地球において大衆的であるもののことだと思います」

Source: Collider, Fade to Black, CBM, Decider

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。外部寄稿に『TENET テネット』『ジョーカー』『シャザム!』『ポラロイド』劇場用プログラム寄稿など。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly