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洋画吹替の醍醐味とは ─ レジェンド声優、江原正士&山寺宏一に聞いた『ジェミニマン』妙技

映画『ジェミニマン』江原正士、山寺宏一

声優としてのウィル・スミス像

── 過去何作もウィル・スミスの声を演じてきたおふたりですが、声優だからこそ感じられるウィル・スミスの個性はどんなところにありますか?

山寺:僕は、この人だからこう、というよりは、作品ごとに(個性を)感じます。ウィル・スミスの魅力は、クールだけど、すごくチャーミング。人間性が演技に表れているなと、ご本人に実際にお会いして、改めて思いましたね。クールで冷血な役をやっていても、どこかに人間味が垣間見れるという。チャーミングという言葉がピッタリだと思います。そういうところを吹き替えでも出せればと思って演技しています。あと、切ない表情がすごく良い。『ジェミニマン』でも注目して欲しいですね。見ていてグッと来るんですよねぇ……。そういう場面での感情や息遣いまでを再現したいなと。

江原:山寺さんの言う通り、ウィル・スミスの魅力はチャーミングさで、全作品に一貫して表れていると思います。その優しさや温かみが少しでも出せればいいかなと。そして、作品ごとに彼が挑戦している、こんなところを出したいのかなというところを上手く掴みたいですね。そこを日本語でうまく立体化したいので、日々努力してます(笑)。

若き声優たちへ「自分の表現を信じて」

── 『ジェミニマン』ではひとりの俳優を、レジェンド声優のおふたりが演じられていますから、声優を志す人にとっては非常に貴重な作品だと思います。おふたりのような声優を目指している方や、若手声優に向けて、アドバイスをお預かりできれば。

山寺:アドバイスかぁ…。どう?

江原:いやぁ、難しいですね(笑)。

山寺:今回の23歳のウィル・スミスは、「俺がやったほうがいい」って思っている若手の方はいると思いますよ。20代、30代で上手に表現できる人はいっぱいいると思うので、何もアドバイスなんてしたくないですね、そんなやつらに(笑)。

江原:(笑)。表現者としてやっていきたいなら、僕がやっていることを見ても「いや、俺ならこうやる」ってやってくれると思うんですよ。それがいいことだと思います。自分なりのものが表現できるか、です。乗り越える気持ちで、挑戦してほしい。僕らもそうやってきたわけですから。アドバイスというよりは、「頑張って、一緒にやっていこうよ!」ということですかね。

山寺:今の若手の声優、特にアニメをやっている方たちも、吹き替えをやりたいかどうかは分かりませんが、今作を観て色々考えることがあると思います。「この人のここは好きだけど、ここは好きじゃない」とか、そういうことを見つけて欲しい。どの作品でもそうですけどね。先輩にも良いところ、悪いところはあるので。

江原:良い・悪いを乗り越えて、「俺はこういう表現がしたいんだ!」っていう気持ちで挑戦していくのが楽しいじゃないですか。「俺はあの表現は違うと思う!」っていうのが出てくれば、そういうことだったのか!って僕も勉強しますよ。

山寺:「自分では良くないと思っているけど、先輩はこうやってるから、これで良いのか」という風には思わないで欲しいですね。僕も、はじめは先輩の真似ばかりしてきたけど、「これは違うんじゃないか」って自分なりの感じ方を見つけてきましたから。

江原:自分の信じた表現を信じて、さらに走れ!はっはっは(笑)。僕らだって、いっぱいいっぱいでやってきたもんねぇ。

山寺:はい。いつも、いっぱいいっぱいですよ。

映画『ジェミニマン』は2019年10月25日(金)全国ロードショー

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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