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『ゴジラvsコング』怪獣絶対優位の怪獣映画、人間ドラマの作り方とは ─ 主演俳優「僕を目当てに観る人はいない」

© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

映画『ゴジラvsコング』は、そのタイトル通り、怪獣王ゴジラとキングコングが真っ向勝負を果たす「モンスターバース」の最新作。二大怪獣の激突を正面から描いた本作は、いわば“怪獣絶対優位”の一作である。そんな中、“人間代表”である主演のアレクサンダー・スカルスガルドは、米UPROXXにて「身の程を思い知った」と語っている。

本作でスカルスガルドが演じたのは、研究機関・モナーク(MONARCH)の任務に参加する地質学者のネイサン・リンド。コングを長年研究し、その動機や目的にも理解がある男だ。モナークの一同は、人々の脅威となったゴジラを抑え込むべく、地上の怪獣を地底の空洞(Hollow Earth)に送り返す計画に着手する。しかし、リンドらのチームがコングの南極移送を試みたところ、その航路にゴジラが出現するのだ。

まさしく王道の怪獣映画である『ゴジラvsコング』への出演について、スカルスガルドは「僕みたいにナルシスティックな俳優には屈辱的な仕事でしたね」とジョークを込めて語った。「身の程を思い知るというか、現場に行けば、僕を目当てにこの映画を観る人はいないことがわかるというか。自分が主演だとか、ネイサン・リンドを見に来る人がいるとか、そういう思い込みはできなかったですよ」

前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)に続いて登場するマディソン・ラッセル(ミリー・ボビー・ブラウン)が“チーム・ゴジラ”だとすれば、スカルスガルド演じるリンドは“チーム・コング”。したがって劇中ではコングとの共演シーンが多いが、この役柄を「観客がコングを知るための受け皿」だと考えたという。「コングの新たな一面、コングの感情を見せたり、準備したりする役どころ。それが僕の仕事だと思いました」。

監督のアダム・ウィンガードは、本作を作るうえで「人間と怪獣の要素を常に絡み合わせることが何よりも大事だった」と米CBRにて語っている。

「人間がこっちにいて、怪獣があっちにいて、あっちをやったりこっちをやったり、という感じには絶対したくなかった。人間の登場人物には、それぞれの興味がある怪獣にずっと集中してほしい。チーム・ゴジラとチーム・コングはお互いに絡み合いつつ、それぞれ怪獣にいつも集中しています。ファンが観たいのはそういうもの。彼らが観たいのは怪獣バトルとテクノロジーです。だから登場人物は怪獣に集中していて、常に怪獣の近くにいなければいけない。けれども怪獣が戦い始めたら、もう人間をいちいち見せなくてもいい。戦いが始まったら何も隠さず全部を見せる。みんなが観たいもの、僕が観たいものをすべて見せようということです。」

ウィンガード監督は「一瞬たりとも退屈な瞬間がない」「密度の高いジェットコースター」を目指したというが、スカルスガルドは「戦いっぱなしの約2時間」と表現した。監督も主演俳優もきっちりと理解している、完全なる怪獣優位の怪獣映画なのだ。

Sources: UPROXX, CBR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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