ヒュー・ジャックマン、ウルヴァリンにどう別れを告げたか ─ 『LOGAN/ローガン』ラストシーンの舞台裏

『グレイテスト・ショーマン』(2017)や『プリズナーズ』(2013)など、さまざまな作品に出演するヒュー・ジャックマンは、今もなお『X-MEN』シリーズで演じたウルヴァリン役の印象が強い俳優だ。『X-MEN』(2000)から『LOGAN/ローガン』(2017)まで、20年近くにわたって断続的に演じ続けてきたのだから、それもやむを得ないことだろう。
米Varietyの対談企画「Actors on Actors」にて、ヒューは女優アン・ハサウェイから『LOGAN/ローガン』について尋ねられている。長きにわたって演じてきたウルヴァリンという役柄に、ヒューはどのようにして別れを告げたのか。ヒューの口からは、本作のラストにまつわる撮影秘話が飛び出した。
この記事には、映画『LOGAN/ローガン』のネタバレが含まれています。
『LOGAN/ローガン』のラスト、ウルヴァリン/ローガンは、凶暴な自らのクローンであるX-24と激しい戦いを繰り広げる。ところが、追い詰められたウルヴァリンは、X-24によって致命傷を負ってしまうのだった。ウルヴァリンはそのまま座り込むと、ともに旅をしてきた少女ローラが涙を流すなか、ゆっくりと息を引き取る。ハサウェイはこのシーンを「ヒューが役柄と別れ、同時にローガンが自分の人生と別れる場面」と形容した。ヒューも「ずいぶん長く演じてきたから、(自分自身と役柄が)重なったことはとてもたくさんあった」と振り返っている。
「でも脚本が書かれる前から、この映画で最後にしようと決めていたんです。自分で決意した。大きな期待を背負っていたし……そういうことを感じていたのは15年もなかったかもしれないけど、この役はこの映画で最後にしようと。スタジオが許してくれるのか、観たいと思ってもらえるのかどうかはわからなかったけれども、それがキャラクターを正しく扱うことだと思っていたんです。つまり、すっかり自分を捧げていたんですね。」
もっとも、ローガンの死を演じる日は唐突にやってきた。もともと別のショットを撮る予定だった日、撮影地では雷が鳴り響き、予定されていたスタントを撮れなくなってしまったのだ。「そしたらジム(ジェームズ・マンゴールド監督)が“死ぬシーンを撮ろう”って言うんですよ。“えっ、今?”って言うと、“君とダフネ(・キーン/X-23役)がいれば撮れるから”って」。この監督の判断について、ヒューは「それが一番だとジムには分かっていたんです。いざ撮影前日の夜になったら、すごく不安になるだろうから」と振り返った。
「ダフネは11歳で、すばらしかったな。彼女の撮影が2テイクで終わったから、彼(監督)が“やろう、別のショットだ”って言いだして。僕が“本当にやるの?ちょっとなあ…”とか言ってたら、彼は“ちょっと時間を止めるだけだ、何も心配することなんてない”って。“これで19年が終わる、30分座っていて”と言って、カメラを回し始めたんです。
僕はいろんなことを心配してて……時間のことも気になったし、太陽が沈むのは見えるし、まだ撮っていないショットもあったし。だけどあの時、彼は僕に、俳優として、ヒュー個人として、あの瞬間を覚えておくことを許してくれたのだと思う。贅沢な時間だったし、決して忘れませんよ。30分間のどこかが映画に使われたんだと思うんですが、あの時に深呼吸して、背負っていた期待を肩から下ろさせてもらった感じがします。」
『LOGAN/ローガン』をもってウルヴァリン役を去ったヒューは、その後、復帰の可能性を一貫して否定している。ディズニーと20世紀フォックスの事業統合により、マーベル・シネマティック・ユニバースでウルヴァリンが再登場する可能性はあるが、そこでは新たなキャストがウルヴァリンとなる見込み。誰よりもヒュー自身が、新たなウルヴァリンの登場を強く望んでいるのだ。
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Source: Variety, Comicbook.com